事業会社マーケティングの志望動機|未経験・第二新卒の例文6パターンと落ちる書き方【2026年版】
〜「上流に関わりたい」「作る側に回りたい」で終わる志望動機が、なぜ全部同じに見えるのか。例文6パターンを全文で置いておきます〜
事業会社のマーケティング職は、第二新卒の転職先として人気が集中する職種です。代理店から、営業から、販売から、あらゆる方向から応募が来ます。
そして、その大半が同じ一文で始まります。
「クライアントワークではなく、事業の当事者として上流から関わりたいと考えています」
言いたいことはわかります。でも採用側から見ると、この文は志望動機として何の情報も持っていません。「上流」が何を指すのか、その会社で上流に何があるのかが書かれていないからです。
この記事では、未経験・第二新卒が事業会社マーケの志望動機を書くときに何を書けば読まれるのかを、例文6パターンの全文つきで整理します。
1. 結論:志望動機に入れる要素は3つだけ
事業会社マーケの志望動機に入れる3要素
① 前職で「数字を見て打ち手を変えた」具体的な場面(=検証できる人か)
② マーケティングのどの領域を志望しているかを区別していること(=職種理解)
③ その会社の商材・顧客・獲得経路を見たうえでの理由(=なぜこの会社か)
未経験者が落とすのが②、圧倒的に差がつくのが③です。
逆に、書かなくていいものもはっきりしています。「上流に関わりたい」「事業の当事者として」「ユーザーに近いところで」の3つは、書いても加点されません。全員が書いているからです。
2. なぜ「作る側に回りたい」で止まると落ちるのか
2-1. マーケティングは1つの職種ではない
「マーケティング職」と一括りにすると、それだけで職種理解が浅いと判断されます。実務は最低でも次に分かれています。
| 領域 | 主な業務 | 追う数字 |
|---|---|---|
| 広告運用・獲得 | 広告出稿、媒体配分、クリエイティブ改善 | CPA・獲得件数・ROAS |
| SEO・コンテンツ | 記事設計、サイト改善、検索流入 | セッション・CV・順位 |
| CRM・既存顧客 | メール、LINE、アプリ通知、休眠掘り起こし | 継続率・LTV・再購入率 |
| 商品・ブランド | 商品企画、価格、パッケージ、ブランド設計 | シェア・単価・認知 |
| 事業企画寄り | 市場分析、価格戦略、新規事業 | 売上・利益 |
求人票を読めば、その会社がどこを募集しているかは必ず書いてあります。そこに寄せずに「マーケティング全般に興味があります」と書くと、何をしたいか特定できない人になります。第二新卒で入口が最も広いのは広告運用・獲得とSEO・コンテンツです。
2-2. 「上流」の中身を言語化できているか
代理店出身者が「上流に行きたい」と言うとき、実際に指しているのは次のどれかです。
- 予算の配分を決める側になりたい
- 施策の成否を、売上や利益で確認したい
- 単発の施策ではなく、年間の設計に関わりたい
- 商品そのものの改善に意見を出したい
このどれなのかを書くだけで、他の応募者と明確に差がつきます。「上流」という言葉を使わずに、やりたいことを具体的に書いてください。
2-3. 事業会社は「作る」より「決める」仕事
未経験者が誤解しやすい点です。事業会社のマーケは、制作物を自分で作る仕事ではありません。限られた予算の中で、どこに配分するかを決めて、その結果に責任を持つ仕事です。制作は外注や社内デザイナーが担うことが多く、事業会社側の役割は判断と検証に寄ります。
だから志望動機では、「作りたい」ではなく「判断した経験」を書くほうが刺さります。
3. 実例:私が「数字を見て配分を変えた」場面
私は新卒で広告営業をしていました。代理店側の立場ですが、配分を変えて結果が動いた経験があり、これは事業会社マーケの志望動機にそのまま使えます。
入社2年目・冬の振り返り
上司「今期、担当してる店舗の掲載継続率が高いよね。何かやってる?」
私「特別なことはしてないです。掲載が始まって1か月後に電話してるくらいで」
上司「その電話で何聞いてるの」
私「反響が来てるか、対応で困ってないか、社内で誰が数字を見てるか、の3つです」
上司「3つ目、なんで聞いてるの」
私「……数字を見てる人がいる店舗のほうが、反響への反応が早い気がして」
その「気がして」を実際に集計してみたら、社内で数字を見ている担当者がいる店舗は、継続率が明確に高いことがわかりました。そこで、掲載前の提案段階から「誰が数字を見るか」を確認する運用に変えたところ、継続率が部署平均を上回りました。
このエピソードが志望動機の①として使えるのは、「感覚を集計で確かめて、行動を変えた」構造だからです。マーケティングの仕事そのものと同じ形をしています。
4. 例文6パターン(全文)
4-1. 前職:広告代理店の営業 → 事業会社マーケ
前職では広告代理店で、中小企業向けの媒体営業を担当していました。掲載継続率が部署平均を上回っていた理由を集計したところ、社内で広告の数字を見ている担当者がいる企業は、継続率が明確に高いことがわかり、提案段階で「誰が効果を確認するか」を必ず確認する運用に変えました。この経験から、施策そのものより「効果を見て次を決める体制があるか」で結果が変わると考えるようになりました。代理店の立場では、提案が採用された後に売上へどうつながったかまで追える機会が限られます。貴社は◯◯という商材で、獲得から継続までを自社で見ていると理解しており、判断と検証を一貫して担う側で経験を積みたいと考え志望しました。
4-2. 前職:法人営業 → 事業会社マーケ(獲得担当)
前職では中小企業向けに広告商材を担当し、新規開拓から契約まで担当していました。2年目に失注案件を業種と規模で集計したところ、店舗数3〜10のチェーンだけ成約率が約3倍高いことがわかり、アプローチ先をその層に寄せて、商談数を維持したまま成約数を1.7倍にしました。この経験から、成果は行動量より、どこに時間を配分するかで決まると実感しています。マーケティングも、限られた予算をどの経路に配分するかを決める仕事だと理解しており、営業で身につけた考え方をそのまま持ち込めると考えています。貴社は◯◯経由の獲得が中心と伺っており、配分の見直しに関わりたいと考え志望しました。
4-3. 前職:店舗販売・EC運営 → 事業会社マーケ(CRM・既存顧客)
前職ではアパレル店舗で接客販売を担当し、店舗売上と再来店率を追っていました。新規獲得より再来店に課題があると考え、購入時に次回の入荷時期を伝えて名刺にメモして渡す運用を自分から始めたところ、3か月で担当分の再来店率が店舗平均を上回り、店舗全体の運用として採用されて再来店率が前年同期比9ポイント改善しました。一度接点を持った相手ともう一度つながる設計に手応えがあり、それを店舗という単位ではなく事業全体で行いたいと考えています。貴社はリピート購入が売上の中心と伺っており、CRMの領域で継続率と再購入率に責任を持つ役割で貢献したいと考え志望しました。
4-4. 前職:Webディレクター・制作 → 事業会社マーケ
前職では制作会社でWebディレクターとして、クライアントのサイト制作と改修を担当していました。公開後にアクセス解析まで見られる案件が少ない中、担当した1社で問い合わせフォームの離脱が入力項目の多さに起因していると仮説を立て、項目を9つから5つに減らす提案を通し、フォーム完了率を約1.6倍に改善しました。制作した後の数字まで見た経験はこの1件だけでしたが、作ることより、公開後に何を変えるかのほうが結果を左右すると強く感じています。貴社は自社サービスのサイト改善を内製されていると理解しており、公開後の検証まで担える環境で力をつけたいと考えています。
4-5. 前職:営業事務・アシスタント → 事業会社マーケ(アシスタント/運用)
前職では営業アシスタントとして、見積作成・受注処理と、広告レポートの集計を担当していました。毎月の集計に時間がかかっていたため、媒体別の数値をひとつのシートに統合し、前月比と目標差分が自動で出る形に組み替え、作業時間を月あたり約12時間削減しました。この過程で数字を毎月見続けたことで、どの媒体が伸びていてどこが落ちているかが自分でも読めるようになり、マーケティングの仕事に関心を持ちました。数字を正確に扱い、変化に気づいて共有することは既にやってきた業務です。貴社では運用のオペレーションを支えながら、判断の材料を作る側から入りたいと考えています。
4-6. 前職:カスタマーサポート → 事業会社マーケ(SEO・コンテンツ)
前職ではSaaSのカスタマーサポートで、月間約600件の問い合わせに対応していました。同じ内容の質問が繰り返し来ていたため、過去6か月の入電理由を分類したところ上位3項目で全体の41%を占めることがわかり、ヘルプ記事を3本書き直して該当の問い合わせを月間約80件減らしました。書いた記事が検索から読まれ、問い合わせ前に自己解決される状態を作れたことが、コンテンツの仕事に関心を持った出発点です。ユーザーが何につまずくかを、実際の声から知っていることが自分の強みだと考えています。貴社は検索流入を主要な獲得経路とされていると理解しており、その設計に関わりたいと考え志望しました。
5. 志望動機を1時間で作る手順
5-1. 【20分】「数字を見て打ち手を変えた場面」を掘る
次の3つに答えてください。
- 前職で、数字や記録を見て、やり方を変えた場面はどこか
- 何を数えて、何がわかったか
- 変えた後、数字はどう動いたか
3つ埋まれば、それがブロック①です。「感覚でやっていたことを、集計して確かめた」形がいちばん強く効きます。
5-2. 【20分】応募先の「獲得経路」を調べる
| 見る場所 | 読み取ること |
|---|---|
| サービスサイト | 誰が使う商材か、単価帯 |
| 求人票 | 募集領域(広告/SEO/CRM/商品)と追う指標 |
| 実際に検索してみる | 自然検索で上位に出るか、広告が出ているか |
| SNS・LINE | 発信の頻度と力の入れ方 |
「その会社の名前と、商材のカテゴリ名で実際に検索してみる」を必ずやってください。広告が出ているのか、記事が上位にあるのか、何もないのか。ここまで見て書かれた志望動機は、読めばすぐわかります。
5-3. 【20分】3ブロックに流し込む
志望動機の型(250〜350字)
ブロック①:前職で数えたこと+変えたこと+数字(130字)
ブロック②:そこからマーケのどの領域に関心が向いたか(70字)
ブロック③:貴社の獲得経路を踏まえて、なぜここか(110字)
ブロック③だけは毎回書き換えてください。商材名の差し替えだけでは、調べていないことが伝わります。
6. 落ちる志望動機の型5つ
| NG型 | 具体例 | なぜ落ちるか |
|---|---|---|
| 上流型 | 「上流から事業に関わりたい」 | 全員が書く。中身が特定できない |
| 作りたい型 | 「面白い企画を考えたい」 | 事業会社の仕事は判断と検証 |
| 全般型 | 「マーケティング全般に興味があります」 | 領域を選べていない |
| 商材惚れ型 | 「サービスのファンです」だけ | 数字と顧客の話がない |
| 逃避型 | 「クライアントワークに疲れた」 | 前職否定になっている |
特に代理店出身者は逃避型に注意してください。「数字を握れない」「提案が通らない」という不満は事実でも、そのまま書くと「環境のせいにする人」と読まれます。「効果を確認する側に回りたい」という前向きな形に変換してください。
7. 面接で必ず追撃される3問
7-1. 「代理店ではなく、なぜ事業会社なんですか」
代理店出身なら100%聞かれます。代理店を下に見る答え方は絶対に避けてください。
「代理店は複数の業界を短期間で経験できる点で、いい環境だったと思っています。ただ、提案が採用された後に売上へどうつながったかまで追える案件は限られていました。打った施策の結果を、事業の数字で確かめられる側で経験を積みたいと考えています」
7-2. 「マーケティングの経験はないですよね。何ができますか」
「勉強しています」で終えると弱くなります。前職の経験を、そのまま使える形で提示してください。
「広告運用の実務経験はありません。ただ、記録を集計して、どこに時間や予算を寄せるかを判断した経験は前職でしてきました。前職では失注案件を業種別に集計してアプローチ先を絞り、商談数を変えずに成約数を1.7倍にしています。ツールの操作は入社後に覚えられますが、この考え方の部分は持ち込めると思っています」
7-3. 「弊社のマーケティング、どこに課題があると思いますか」
ここで実際に検索した結果を出せると、一気に評価が上がります。
「『◯◯(商材カテゴリ)』で検索したところ、自然検索の上位は比較サイトが占めていて、貴社のサイトは見つかりませんでした。一方で広告は出ていたので、獲得が広告に寄っている状態ではないかと推測しています。だとすると、広告費の変動が獲得件数に直結してしまうので、検索からの流入を作ることが中期の課題になるのではないかと考えました」
8. 職務経歴書との書き分け
| 書類 | 書くこと |
|---|---|
| 職務経歴書 | 担当領域、規模(社数・予算・件数)、使ったツール |
| 志望動機 | なぜマーケか、なぜこの会社か |
| 自己PR | 実績1つの、判断と過程 |
マーケ職の書類では「扱った金額の規模」を必ず入れてください。代理店出身なら月間の運用予算、営業なら平均単価と担当社数。規模感がないと比較のしようがありません。書類全体の作り方は第二新卒の職務経歴書テンプレを参照してください。
9. よくある質問
未経験から事業会社のマーケに転職できますか
第二新卒であれば可能です。ただし「数字を追った経験」がまったくないと厳しくなります。売上でなくても、処理件数・再来店率・問い合わせ件数など、何らかの指標を見て動いた経験があれば材料になります。まったくない場合は、代理店や支援会社を経由するルートのほうが現実的です。
広告運用の資格や勉強は、志望動機に書くべきですか
書いても構いませんが、主題にしないでください。Google広告の認定資格などは「勉強しています」の証明にはなりますが、実務の判断ができる証明にはなりません。最後に一文添える程度にとどめ、本体は前職の経験で構成してください。
志望動機は何文字が適切ですか
Webフォームなら250〜350字、職務経歴書に書く場合は400字以内が目安です。第5章の3ブロックが入っていれば300字前後に収まります。
ポートフォリオや自主制作は必要ですか
必須ではありませんが、あると強い領域です。特にSEO・コンテンツ志望なら、自分でブログやSNSを運用して数字を見た経験は、そのまま実績になります。「3か月で月間◯◯セッション」という数字が1つあれば、未経験の壁はかなり下がります。
「事業会社」と「支援会社」で志望動機は変わりますか
構造は同じですが、支援会社では「多様な業界を見たい」が正当な理由になり、事業会社では逆に弱くなります。事業会社では「1つの商材を深く見たい」「結果を事業の数字で確かめたい」に寄せてください。
BtoBとBtoCで、書き方は変わりますか
ブロック②の言葉が変わります。BtoCは「多数の消費者に対する検証と改善」、BtoBは「検討期間が長く、複数人が関わる意思決定への働きかけ」が中心です。求人票の顧客像を読んで、どちらに寄せるかを決めてください。SaaSのBtoBマーケを狙う場合は営業からSaaS業界へ転職する完全ガイドも参考になります。
広告代理店から事業会社へ移る具体的な手順を知りたいです
職種転換の全体像は広告業界から事業会社のマーケへ転職する完全ガイドにまとめています。この記事は志望動機の書き方に絞っているので、キャリア設計から見たい場合はそちらを先に読んでください。
複数社に応募するとき、どこまで使い回せますか
ブロック①②は使い回して構いません。ブロック③だけは必ず書き換えてください。特に「実際に検索してみた結果」は会社ごとに違うので、ここを入れておくと使い回しに見えません。
10. まとめ
事業会社マーケの志望動機は、熱意ではなく数字を見て動いた経験があるかで決まります。
今夜やる3つのこと
① 前職で「集計して、やり方を変えた」場面を1つ、数字つきで3行書く
② 応募先の商材カテゴリで実際に検索してみて、上位に何があるかをメモする
③ 求人票を読んで、募集領域(広告/SEO/CRM/商品)を1つに特定する
②をやった人とやっていない人の志望動機は、読めば区別がつきます。5分で終わるので、必ず検索してから書いてください。
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この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。