Webディレクターの志望動機|未経験・第二新卒の例文5パターンと落ちる書き方【2026年版】
〜Webディレクターに必要なのは、Webの知識ではなく段取りです〜
Webディレクターは、未経験から目指す人が多い職種です。ものづくりに関われる、企画から関われる、専門性がありそう。そして「デザインもコードも書けなくてもなれる」というイメージがあります。
このイメージは、半分正しく、半分危険です。
正しいのは、手を動かして作る職種ではないこと。危険なのは、「作れないからディレクター」という動機で応募すると、ほぼ確実に落ちることです。
Webディレクターの中核業務は、クライアントの要望を要件に落とし込み、制作メンバーに指示を出し、期日と品質を管理することです。つまり、進行管理と翻訳の仕事です。
この記事では、その理解を示す志望動機の書き方を、例文5本つきで整理します。
1. 結論:Webディレクターの志望動機は3ブロック
ブロック①:前職で「複数の関係者を動かして、期日までに何かを仕上げた経験」
これが土台です。Web業界の経験である必要はありません。イベントの運営、複数部署をまたぐ業務、社内資料の取りまとめ。「関係者を巻き込んで、締切までに完成させた経験」があれば書けます。
ブロック②:曖昧な要望を、具体に落とし込んだ経験
これがディレクターの中核業務です。「もっと見やすくして」「いい感じにして」といった抽象的な要望を、実行できる指示に変換する。前職でも、似た場面は必ずあります。
ブロック③:なぜこの会社か(制作会社か事業会社か)
制作会社(受託)と事業会社(自社サイト)では、仕事の中身が違います。求人票がどちらかを判別して、志望動機を合わせてください。
2. Webディレクターの実際の業務
| 業務 | 具体的に |
|---|---|
| 要件の整理 | クライアントの要望をヒアリングし、実現できる形に落とす |
| 提案・見積り | 構成案、スケジュール、費用の提示 |
| 制作の進行管理 | デザイナー・エンジニア・ライターへの指示と進捗確認 |
| 品質管理 | 成果物の確認、修正の指示 |
| 期日管理 | 納期からの逆算、遅延時の調整 |
| クライアント対応 | 進捗報告、修正のやり取り、合意形成 |
| 公開後の運用 | 数字の確認、改善提案 |
この中で最も時間を使うのは、「調整」です。
クライアントは「もっとインパクトのある感じに」と言い、デザイナーは「具体的にどうしたいか分からない」と言う。この間に立って、双方が動ける形にするのがディレクターの仕事です。
制作会社と事業会社の違い
| 項目 | 制作会社(受託) | 事業会社(自社サイト) |
|---|---|---|
| 相手 | 社外のクライアント | 社内の各部門 |
| 案件数 | 同時に3〜10件 | 自社サイトを継続的に |
| 求められるもの | 進行管理、提案、見積り | 数字の改善、社内調整 |
| 未経験の入りやすさ | ○ | △ |
| 身につくもの | 案件を回す力、業種の幅 | 継続的な改善、数字を読む力 |
第二新卒が未経験で入るなら、制作会社が現実的な入口です。案件数が多く、未経験可の求人が一定数あります。
3. 編集長の実体験:制作会社のディレクターから聞いた話
前職の広告営業時代、Webサイトの制作を外注する際、制作会社のディレクターと何度も打ち合わせをしました。その中の1人に、未経験からディレクターになった方がいました。前職はブライダルのプランナーです。
私「Web業界って、未経験からだと大変じゃないですか」
ディレクターの方「技術の話は、正直まだよく分かってないところもあります。でも、この仕事の8割は段取りなので」
私「段取り、ですか」
「ブライダルのプランナーと構造が同じなんですよ。お客様が『素敵な感じにしたい』って言う。それを、装花の種類とか、進行の時間とか、具体的な指示に落とす。で、当日までに全部揃える。Webも同じです。『いい感じのサイト』を、ワイヤーフレームと納期と予算に落とす」
さらに、こんな話も聞きました。
ディレクターの方「未経験で入ってきて辞める人は、だいたい同じ理由です。『クリエイティブな仕事だと思ってた』って」
私「実際は違うんですか」
「クリエイティブなのはデザイナーとエンジニアです。ディレクターは、その人たちが動ける状態を作る仕事。自分でデザインを決めることはほぼないです。決めるのはクライアント」
この2つの話が、Webディレクターの志望動機で語るべき内容そのものです。
「段取りの仕事である」という理解と、「自分で作る仕事ではない」という理解。この2つに触れた志望動機は、「Webに興味があります」から始まる志望動機とは、まったく違って読まれます。
4. 前職の経験を、ディレクターの言葉に翻訳する
| 前職での経験 | ディレクター業務への翻訳 |
|---|---|
| イベント・企画の運営 | 進行管理、関係者との調整、期日管理 |
| 複数部署をまたぐ業務 | 社内調整、要件の取りまとめ |
| 営業(提案・見積り) | 要件のヒアリング、提案、見積り |
| 店舗運営(シフト・発注) | リソース管理、スケジュール管理 |
| 顧客の要望のヒアリング | 要件定義、抽象的な要望の具体化 |
| クレーム対応 | 修正対応、期待値の調整 |
| 資料の取りまとめ | 仕様の整理、ドキュメント作成 |
| SNS・サイトの運用 | 公開後の運用、数字の確認 |
ブライダル、イベント、旅行、不動産、人材、広告。この5業種の出身者は、Webディレクターと親和性が高いと言われます。理由は、いずれも「顧客の抽象的な要望を、具体的な形にして、期日までに実行する」仕事だからです。
5. 例文5パターン
例文①:ブライダルプランナー → Web制作会社のディレクター
前職ではブライダルの企画会社で、プランナーとして2年半勤務しました。年間で約40組を担当し、打ち合わせから当日の進行管理までを一貫して担当しています。
この仕事では、お客様の要望が「温かい雰囲気にしたい」といった抽象的な形で出てくることがほとんどでした。そのまま各業者に伝えても動けないため、装花の色数、照明の明るさ、進行の間の取り方といった具体的な項目に分解し、それぞれの業者へ指示する形で進めていました。当日までの準備は、約8社の業者との調整が必要でした。
担当2年目に、打ち合わせの回数が想定より増えて準備が逼迫する案件が続いたため、初回の打ち合わせで確認する項目を20項目に整理したシートを作成しました。導入後、打ち合わせ回数の平均を6回から4回に減らすことができました。
Web制作は未経験ですが、抽象的な要望を具体的な指示に分解し、複数の関係者を期日までに動かすという進め方は、前職と共通していると理解しています。制作の技術については入社後に学びながら、まず進行管理から担当したいと考えています。
例文②:広告営業 → Web制作会社のディレクター
前職ではメディア広告の営業として2年間、飲食・宿泊業界のお客様を担当していました。担当は年間約40社です。
営業として掲載の提案を行う一方、掲載する原稿の内容についてもお客様と相談しながら決めていました。「うちの良さが伝わる感じで」といった要望をそのまま制作に渡すと差し戻しが多発するため、掲載の目的(新規集客か、単価向上か)と、想定する読み手を先に確認してから原稿の方向を決める進め方に変えました。この結果、原稿の修正回数が平均4回から2回程度に減りました。
この経験から、要望を整理して制作に渡す部分に手応えを感じ、Webの制作進行に関わりたいと考えるようになりました。
貴社は飲食・小売業界のサイト制作を多く手がけられていると伺っています。前職で同じ業界のお客様と接してきた経験は、要件のヒアリングで活かせると考えています。
例文③:事務職 → 事業会社のWeb担当
前職では商社の営業部で、営業事務として2年間勤務しました。見積書・請求書の作成と、営業資料の取りまとめが主な担当業務です。
業務のなかで、部門のWebサイトの更新を任されるようになりました。当初は依頼された内容を更新するだけでしたが、アクセス解析を確認したところ、更新頻度の高いページと閲覧数の多いページが一致していないことが分かりました。閲覧数の多いページを優先して更新する運用に変更し、あわせて問い合わせフォームまでの導線を1段階減らしたところ、問い合わせ数が月あたり約1.5倍になりました。
この経験から、Webサイトを数字を見ながら改善する仕事に関心を持つようになりました。
貴社では自社サイトの運用と改善を担当されると伺っています。前職で数字を確認しながら更新の優先順位を決めてきた経験を、より本格的な形で活かしたいと考えています。
例文④:イベント運営 → Web制作会社のディレクター
前職ではイベント企画会社で、企業の展示会出展の運営を2年間担当しました。年間で約25件の案件を担当し、企画の立案から当日の運営までを行っています。
1件あたり、施工業者・映像制作・人材派遣など5〜8社との調整が必要で、準備期間は約2ヶ月でした。担当当初、直前の変更対応に追われることが多かったため、確定すべき項目を「1ヶ月前」「2週間前」「1週間前」の3段階に分けたチェックリストを作成し、クライアントとの確認をこの期限に合わせて進める形に変えました。導入後、直前の仕様変更が案件あたり平均3件から1件程度に減りました。
Web制作は未経験ですが、複数の外部パートナーを動かして期日までに仕上げるという進め方は、前職と同じ構造だと理解しています。
貴社では1人のディレクターが複数案件を並行して担当されると伺っています。前職でも常時4〜5件を並行していたため、進行の管理については対応できると考えています。
例文⑤:Webデザイナー(経験1年半)→ ディレクター
前職ではWeb制作会社でデザイナーとして1年半勤務し、企業サイトとランディングページの制作を担当しました。年間で約20件の制作に携わっています。
デザイナーとして制作するなかで、修正が多発する案件と、そうでない案件の違いが気になるようになりました。担当した案件を振り返ったところ、初回の打ち合わせで「誰に、何をしてほしいサイトか」が確認されている案件は、修正が明らかに少ないことが分かりました。この気づきをディレクターに共有し、初回のヒアリング項目に加えてもらったところ、担当案件の修正回数が減りました。
この経験から、制作の前段階である要件の整理に関わりたいと考えるようになりました。
デザイナーとして手を動かしてきた経験があるため、制作側の作業量を踏まえたスケジュールを引けることが、自分の強みになると考えています。
6. 落ちる志望動機の型5つ
| 型 | 具体例 | なぜ落ちるか |
|---|---|---|
| 「作れないから」型 | 「デザインはできませんが、ディレクションなら」 | 消去法。ディレクションの理解がない |
| クリエイティブ憧れ型 | 「ものづくりに関わりたい」 | 実際は調整と管理の仕事 |
| Web好き型 | 「Webサイトを見るのが好きで」 | 見ることと作ることは別 |
| 進行管理の経験なし型 | 期日と関係者を扱った経験が書かれていない | 中核業務の適性が測れない |
| 制作会社と事業会社を混同 | どちらの求人か判別していない | 求人を読んでいないと判断される |
1番目が最も多い失敗です。「手を動かせないのでディレクター」という消去法の動機は、面接で必ず見抜かれます。
ディレクターは、消去法で選ぶ職種ではありません。複数の関係者を動かし、期日と品質に責任を持つ、独立した専門性のある職種です。
7. 面接で追撃される3つの質問
Q1.「クライアントが『いい感じにして』と言ってきたら、どうしますか」
ディレクター職の面接で最頻出の質問です。
答え方の例
「まず、そのサイトで誰に何をしてほしいのかを確認します。目的が集客なのか、資料請求なのか、既存顧客への説明なのかで、方向が変わるためです。そのうえで、参考になるサイトを2〜3件お見せして、方向性のずれを早い段階ですり合わせたいと考えます。」
Q2.「納期に間に合わない見込みになったら、どうしますか」
進行管理の実務理解を測る質問です。「頑張ります」は答えになりません。「早い段階でクライアントに共有し、優先順位の高い機能を先に公開する案と、納期を延ばす案を並べて提示します」のように、選択肢を出す形で答えてください。
Q3.「制作メンバーと意見が対立したら、どうしますか」
ディレクターは、制作メンバーの上司ではありません。「指示します」ではなく、「なぜその案がよいと考えているかを聞いたうえで、クライアントの目的に照らして判断します」のように、目的を基準に置く答え方が期待されます。
8. 準備しておくこと
| 準備 | 期間 | 効果 |
|---|---|---|
| 制作の工程を理解する | 1週間 | 「要件定義→設計→デザイン→実装→テスト→公開」の流れ |
| ワイヤーフレームを1枚作る | 2時間 | 手を動かした証明。無料ツールで可 |
| アクセス解析の基本用語 | 3時間 | セッション、直帰率、コンバージョンなど |
| 自分でサイトを1つ作る | 2週間 | 制作側の作業量が体感で分かる |
| 応募先の制作実績を3件見る | 1時間 | 面接での質問に直結 |
4番目は、必須ではありませんが強く効きます。ノーコードのツールでも構いません。「自分で1つ作ってみて、想像より手間がかかることが分かりました」と言えるだけで、制作メンバーへの敬意が伝わります。
5番目も重要です。「御社の◯◯様のサイトを拝見しました」と具体的に言える応募者は、ほとんどいません。
9. よくある質問
未経験からWebディレクターになれますか?
なれます。制作会社では、アシスタントディレクターから始まる求人が一定数あります。ただし、「進行管理の経験」が実質的な条件です。Web業界である必要はなく、イベント運営、営業、店舗運営など、期日と関係者を扱った経験があれば応募できます。
デザインやコードは書けなくてもいいですか?
書けなくても務まりますが、理解は必要です。制作にどのくらいの時間がかかるか、その修正が簡単なのか大変なのかを判断できないと、無理なスケジュールを引いてしまいます。基本的な工程と、各工程の所要時間の感覚は、入社前に掴んでおいてください。
制作会社と事業会社、どちらがいいですか?
未経験なら制作会社です。案件数が多く、短期間で経験が積めます。事業会社のWeb担当は、経験者採用が中心で、求人数も限られます。制作会社で2〜3年経験を積んでから事業会社へ移る、というルートが一般的です。
残業は多いですか?
制作会社は、納期前に集中しやすい傾向があります。会社差が大きいため、面接で「直近3ヶ月の平均残業時間」と「1人あたりの同時進行案件数」を必ず確認してください。同時進行が8件を超える場合、業務量はそれなりになります。
年収はどのくらいですか?
未経験入社時で300〜380万円が目安です。経験3年で400〜550万円、5年以上で500〜700万円程度。事業会社のWeb責任者クラスになると、さらに上の水準になります。企業規模と地域で変動します。
ポートフォリオは必要ですか?
デザイナーほど厳密には求められません。ただし、「自分で作ったサイト」または「関わった案件の進行の記録」があると、明確に有利です。個人でノーコードツールを使ってサイトを1つ作り、その企画から公開までの流れを説明できるようにしておくのが実用的です。
「Webが好き」は志望動機になりますか?
それだけでは不十分です。見ることと作ることは別の話です。「前職で◯◯の進行管理をしていて、その進め方をWebの制作で活かしたい」という構成にしてください。Webへの関心は、その後ろに添える形が自然です。
資格は必要ですか?
必須の資格はありません。強いて挙げれば、Webディレクション関連の民間資格や、アクセス解析ツールの認定資格がありますが、実務の経験と成果物のほうが重視されます。資格に時間を使うより、自分でサイトを1つ作るほうが、面接で語れる材料になります。
10. まとめ:今夜やる3つのこと
Webディレクターの志望動機は、「Webが好き」から離れて「段取りの経験」を書いた瞬間に強くなります。
今夜やること
① 前職で「複数の関係者を動かして、期日までに何かを仕上げた経験」を1つ書き出す(業種は問いません)
② 前職で「抽象的な要望を、具体的な指示に落とした経験」を1つ書き出す(「いい感じに」を分解した場面)
③ 応募先の制作実績を3件見て、気づいたことを1行メモする
③をやっておくと、面接で「御社の◯◯のサイトを拝見しました」と切り出せます。Webディレクターの面接では、この一言が最も効きます。制作物を見ている応募者は、ほとんどいないためです。
この先、読むべき記事
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- Webマーケターへの未経験転職|第二新卒の入口と最初の3ヶ月(数字側を狙うなら)
- 動画編集者への未経験転職|第二新卒が知る仕事の実態と入口(隣接領域)
- 未経験職種の志望動機の書き方|第二新卒が3ブロックで作る型と例文6パターン(志望動機の型)
- Webディレクターの面接|第二新卒が聞かれる想定問答12と答え方(面接で聞かれる質問)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。