第二新卒のキャリアを深掘りする。
業界・職種研究

動画編集者への未経験転職|第二新卒が知る仕事の実態と入口【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月5日 読了 約17分
動画編集者への未経験転職|第二新卒が知る仕事の実態と入口【2026年版】

〜「動画編集は稼げる」という情報の大半は、副業の話です〜

動画編集は、未経験から目指す人が多い職種です。需要が伸びている、在宅でできる、スキルが目に見える。魅力的な要素が揃っています。

ただ、ネット上の情報の多くは「副業としての動画編集」の話であり、「職業としての動画編集」の話ではありません。この2つは、収入の構造も、求められるスキルも、キャリアの伸び方も違います。

第二新卒が正社員として動画編集の仕事に就く場合、実態はどうなのか。この記事では、そこに絞って整理します。

1. 結論:押さえるべきは3つ

① 正社員の求人は「制作会社」と「事業会社の社内制作」の2種類

制作会社は、クライアントから受注した動画を作ります。案件数が多く、技術の幅が広がります。事業会社の社内制作は、自社のマーケティング動画やSNS動画を作ります。労働時間が比較的安定します。

② 未経験なら、ポートフォリオが実質的な応募条件

「これから学びます」では、まず通りません。編集した動画を3〜5本用意することが、書類選考の前提です。逆に言えば、ポートフォリオさえあれば、未経験でも応募できます。

③ 編集だけでは、年収が伸びにくい

カット・テロップ・BGMの作業だけを続けると、3年経っても年収が伸びません。企画、構成、撮影、モーショングラフィックス、あるいはマーケティングの数字。編集の周辺に何を足すかで、その後が決まります。

2. 動画編集の仕事の3つの形

何をするか未経験の入りやすさ年収の目安(入社時)
制作会社(映像制作)受注した動画の編集・制作280〜380万円
事業会社の社内制作自社のマーケ動画・SNS動画320〜420万円
広告代理店のクリエイティブ広告用の動画制作330〜450万円
フリーランス・副業案件を個別に受注◎(ただし収入は不安定)案件単価による

第二新卒が正社員として入るなら、制作会社が最も現実的な入口です。未経験可の求人が一定数あり、案件数が多いため経験が早く積めます。

ただし、制作会社は労働時間が長くなりやすい領域でもあります。納期が集中する時期、修正が繰り返される案件では、深夜作業が発生することがあります。面接で「直近3ヶ月の平均残業時間」と「繁忙期はいつか」を必ず確認してください。

事業会社の社内制作は、労働時間が安定しやすい一方、求人数が少ないです。マーケティング部門の中に動画担当が1〜2名という構成が多いためです。

3. 編集長の実体験:知人が制作会社に入って気づいたこと

前職の広告営業時代、取引先の映像制作会社に、未経験から入社した方がいました。前職はアパレル販売でした。

入社半年後に聞いた話

「動画編集の学習は、独学で4ヶ月やった。YouTubeで教材を見ながら、自分で5本くらい作って、それをポートフォリオにして応募した」

「実際に入ってみて、想像と違ったことはありますか」

「2つあります。1つは、編集作業の時間が思ったより短いこと。1本の動画で、実際に編集ソフトを触っている時間は3割くらい。残りは、素材の整理と、修正の対応と、確認のやり取りです」

「もう1つは?」

修正が想像の10倍来る。クライアントから『ここの間をもう少し詰めて』『このテロップの色を変えて』が何往復もある。技術より、修正を効率的に回す段取りのほうが重要でした」

さらに、こんな話もありました。

「同期で入った人が3人いて、1年後に残ったのは自分ともう1人。辞めた人は、『クリエイティブな仕事だと思って入ったけど、実際は指示通りに直す作業だった』と言っていました」

「自分が続いているのは、たぶん『どうすれば修正が減るか』を考えるのが面白かったから。初稿の時点で意図を確認しておくとか、複数パターンを先に出しておくとか。それをやったら、修正回数が半分になって、担当できる案件数が増えた」

この最後の部分が、この職種の本質だと思っています。

「動画を作る仕事」ではなく、「クライアントの意図を形にして、合意を取る仕事」。この理解があるかどうかで、続くかどうかが分かれます。

そして、面接で語るべきなのもここです。「クリエイティブな仕事がしたい」ではなく、「意図を確認して、修正を減らす進め方をしたい」と語れると、実務を理解している応募者として見られます。

4. 必要なスキルと、準備の順番

使うソフト

ソフト用途優先度
Adobe Premiere Pro編集の標準。求人でも最も指定が多い◎ 必須
Adobe After Effectsモーショングラフィックス、エフェクト○ あると差がつく
Adobe Photoshopサムネイル、静止画素材の加工
Adobe Illustratorロゴ、図版の作成
DaVinci Resolve編集・カラーグレーディング△ 無料版がある

まずPremiere Proを1つ習得してください。求人票で最も多く指定されるソフトです。After Effectsができると、応募できる求人の幅が明確に広がります。

学習の順番(3〜4ヶ月)

段階期間内容
12週間Premiere Proの基本操作(カット、テロップ、BGM、書き出し)
21ヶ月練習作品を3本作る(対談、商品紹介、イベント記録など形式を変える)
31ヶ月After Effectsの基礎(テロップアニメーション、簡単なエフェクト)
41ヶ月ポートフォリオ用の作品を2本、質を上げて作る

合計3〜4ヶ月が目安です。独学でも十分に到達できる範囲です。

ポートフォリオの作り方

項目内容
本数3〜5本
形式の多様性インタビュー、商品紹介、SNS縦型、イベント記録など、形式を変える
長さ1本あたり1〜3分。長すぎると最後まで見てもらえない
公開方法動画共有サービスにまとめ、URLを応募書類に記載
添える説明「何を意図して、どう作ったか」を各作品に1〜2文

最後の「添える説明」が、最も差がつく部分です。

説明の例

「商品紹介の動画です。視聴者が離脱しやすい最初の3秒に、商品の使用シーンを先に見せる構成にしました。テロップは、音を出さずに見る視聴者を想定して、全ての発言に入れています。」

技術ではなく、判断を説明してください。これができると、「作業者」ではなく「考えて作る人」として見られます。

素材の入手について

  • 自分で撮影する(スマホで十分)
  • 商用利用可能なフリー素材を使う
  • 知人の店舗・イベントを撮らせてもらう

既存のテレビ番組や他社の動画を編集し直したものを、ポートフォリオにするのは避けてください。著作権の問題があり、応募先によっては即座に評価を下げます。

5. 未経験求人の見分け方

確認項目なぜ重要か聞き方
1年目に担当する範囲編集のみか、企画から関われるか「未経験で入社された方は、1年目にどんな作業を担当されますか」
1人あたりの担当本数業務量の目安「月に何本くらい担当されますか」
直近3ヶ月の残業時間制作会社は繁忙差が大きい「直近の平均残業時間を教えてください」
使用ソフトと環境学習の方向が合っているか「主に使用されるソフトと、PCの環境を教えてください」
修正対応の進め方実務の中心「クライアントの修正は、平均何回くらい発生しますか」

最後の質問は、実務理解を示す質問としても機能します。この質問をする応募者は少ないため、印象に残ります。

注意すべき求人

特徴何を意味するか
「業務委託」「個人事業主」と書かれている雇用ではない。社会保険・労働時間の保護がない
報酬が「1本あたり◯円」出来高制。労働時間あたりの単価が読めない
「未経験から月収50万円」副業の広告であることが多い
業務内容が「編集のみ」と限定的3年後の年収が伸びにくい

第二新卒の1社目としては、雇用契約(正社員)の求人を選んでください。業務委託は、実務経験を積んでから検討する選択肢です。

6. 落ちる志望動機の型5つ

具体例なぜ落ちるか
「動画が好き」型「昔から動画を見るのが好きで」見ることと作ることは別
クリエイティブ憧れ型「自分の表現を形にしたい」受注制作は指示に沿って作る仕事
在宅志望型「リモートで働きたいので」職種選択の理由になっていない
ポートフォリオなし「これから学ぶ意欲があります」未経験可でも作品は前提
副業情報の受け売り「需要が伸びていると聞いて」実務を調べていない

2番目が特に多い誤解です。制作会社の仕事は、クライアントの意図を形にすることであって、自分の表現を出す場面は限られます。「自分の作りたいものを作りたい」という動機は、面接でマイナスに働くことがあります。

7. 志望動機の例文2パターン

例文①:販売職 → 映像制作会社

アパレル店舗で2年半、販売と売り場運営を担当しました。担当していた店舗ではSNSアカウントの運用も任されており、商品紹介の短尺動画を月に10本程度、自分で撮影・編集して投稿していました。

投稿を続けるなかで、最初の3秒で商品を着用した状態を見せるか、たたんだ状態から見せるかで、最後まで視聴される割合が大きく変わることに気づきました。着用シーンから始める構成に統一したところ、平均視聴時間が約1.6倍になりました。

この経験から、映像を「作る」ことより「見てもらう設計をする」ことに関心を持つようになりました。以降、Premiere ProとAfter Effectsを独学し、4ヶ月で作品を5本制作しています(ポートフォリオのURLを職務経歴書に記載しております)。

貴社は商品プロモーション動画を中心に手がけられていると伺いました。販売の現場で、実際に商品が売れる瞬間を見てきた経験を、制作側で活かしたいと考えています。

例文②:営業職 → 事業会社の社内動画制作

前職ではSaaS企業の法人営業として2年間、中小企業向けにシステムの提案を担当しました。

商談のなかで、製品の機能を口頭で説明しても伝わりにくいという課題があり、自分で操作画面を録画して1〜2分の説明動画を作成し、商談後にお客様に共有する運用を始めました。7本作成して営業チーム内でも共有したところ、商談後の追加質問が減り、担当案件の受注までの平均日数が約2週間短縮されました。

この経験から、動画が営業やマーケティングの数字に直結することを実感しました。以降、Premiere Proを独学し、練習作品を含めて5本制作しています。

貴社のマーケティング部門では、製品説明動画と導入事例動画を社内で制作されていると伺いました。営業として顧客の疑問点を直接聞いてきた経験は、どの部分を動画で説明すべきかを判断するうえで活かせると考えています。

8. 3年後に何が残るか

積み上げ方3年後の年収その後の展開
編集作業のみを続ける320〜400万円伸びにくい
編集+モーショングラフィックス400〜550万円表現の幅で差別化
編集+企画・構成420〜580万円ディレクターへ
編集+撮影400〜550万円制作全体を担える
編集+マーケティングの数字450〜650万円事業会社・広告側へ

最後の行が、第二新卒には最も現実的な伸ばし方です。「動画を作れる」だけの人は増えていますが、「動画の成果を数字で語れる人」は今も不足しています。

視聴完了率、クリック率、コンバージョンへの寄与。これらを見て編集を変えられる人は、事業会社でも広告側でも評価されます。

入社1年目からできる準備

  • 担当した動画の再生数・視聴維持率を記録する
  • 「なぜこの構成にしたか」を毎回1行メモする
  • 修正回数と、その理由を記録する

この3つを続けると、3年後の職務経歴書がまったく違うものになります。

9. よくある質問

独学でも転職できますか?

できます。重要なのは学習方法ではなく、ポートフォリオの質です。3〜5本の作品と、各作品の意図を説明できることが実質的な条件です。スクールに通うかどうかは、独学で継続できるかで判断してください。

スクールに通うべきですか?

独学で入門レベルの教材を1つ終えられるかを、先に試してください。そこで挫折する場合、スクールの価値があります。逆に、独学で作品を作れているなら、スクールに数十万円を払う必要は薄いです。その費用をPCやソフトのライセンスに充てるほうが実利があります。

PCのスペックはどのくらい必要ですか?

動画編集は負荷の高い作業です。目安として、メモリ16GB以上、SSD、そして専用のグラフィック性能があると快適です。ただし、学習段階なら手持ちのPCで短い動画から始めて構いません。本格的に作業量が増えてから買い替える判断で十分です。

動画編集は飽和していますか?

「副業レベルの編集者」は増えています。カットとテロップだけの作業は、単価が下がる傾向にあります。一方、企画から関われる人、モーショングラフィックスができる人、数字を見て改善できる人は、引き続き不足しています。飽和しているのは、入口の作業レベルです。

在宅・リモートで働けますか?

制作会社では、出社が前提のことが多いです。大容量のデータを扱うため、社内の環境で作業するほうが効率的だからです。事業会社の社内制作や、経験を積んだ後のフリーランスでは、リモートの選択肢が増えます。未経験の1社目では、リモート前提で探すと選択肢が大きく狭まります。

残業は多いですか?

制作会社は、納期前に集中しやすい傾向があります。ただし会社差が大きいため、面接で「直近3ヶ月の平均残業時間」と「繁忙期はいつか」を必ず確認してください。「案件による」としか答えられない会社は、管理されていない可能性があります。

年齢は不利になりますか?

第二新卒の年齢帯(20代前半〜半ば)なら、未経験でも十分に採用対象です。ポートフォリオがあれば、年齢よりも作品の質が見られます。20代後半以降になると、前職の経験(マーケティング、営業、企画)と組み合わせる形のほうが通りやすくなります。

フリーランスから始めるのはどうですか?

実務経験がない段階では、勧めません。案件の獲得、単価の交渉、修正対応の管理をすべて自分で行うことになり、また実務の型を教わる機会がありません。正社員として1〜2年経験を積んでから独立するほうが、単価も安定性も高くなります。

10. まとめ:今夜やる3つのこと

動画編集への転職は、ポートフォリオがあるかないかで、応募できる求人の数が変わります。準備の順番を間違えないでください。

今夜やること

① 転職サイトで「動画編集 未経験」の求人を3件開き、必須条件欄を読む(ポートフォリオの提出が求められているか確認)

② 前職で「動画・写真・SNS」に関わった経験がないか思い出す(店舗のSNS運用、社内資料の作成でも構いません)

③ 編集ソフトの体験版をダウンロードして、5分の動画を1本カット編集してみる

③をやると、自分がこの作業を続けられるかが、その日のうちに分かります。細かい調整の繰り返しが苦にならないかどうかが、この職種で最も重要な適性です。

この先、読むべき記事

この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。