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建築設計から転職する|狙える職種と経験の書き方【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月6日 読了 約15分
建築設計から転職する|狙える職種と経験の書き方【2026年版】

建築設計の仕事から転職を考えるとき、多くの人が最初に思うのは「設計しかやってこなかった」です。

実際にやっていることは、図面を描くことだけではありません。施主の要望を聞き取り、法規と予算の制約の中で案をまとめ、施工側と調整し、期限までに納める。これは、企業の言葉では要件定義とプロジェクト管理です。

この記事では、設計の業務を企業の言葉に翻訳する対応表から始めて、狙える職種と面接での答え方を整理します。

1. 翻訳表:業務を企業の言葉に置き換える

設計での業務企業での言い方
施主へのヒアリング顧客の要望の把握、要件定義
基本設計・プラン作成要件を形にする、企画の立案
実施設計・図面作成詳細設計、仕様の確定
法規のチェック制約条件の確認、コンプライアンス確認
コスト調整・VE予算内での仕様調整、原価管理
施工側との打ち合わせ社外の関係者との調整
各種申請行政手続き、書類の作成と提出
プレゼン・提案提案営業、資料作成
スケジュール管理工程管理、納期管理

最も強い材料は1行目と5行目です。

施主へのヒアリングは、「こういう家にしたい」という曖昧な要望から、具体的な仕様に落とす仕事です。これは、システム開発の要件定義や、法人営業の提案とまったく同じ構造です。

コスト調整は、限られた予算の中で何を残し何を削るかを決める仕事です。企業の言葉では、優先順位の判断と原価管理です。

9行目のスケジュール管理も、設計職の強みです。複数の案件を並行して、それぞれ別の期限で進める。プロジェクト管理そのものです。

2. 数字の作り方

探す場所出てくる数字
担当した件数「年間〇件を担当」「同時進行〇件」
案件の規模「延床面積〇㎡」「工事費〇千万円規模」
期間「基本設計から竣工まで平均〇か月」
関係者数「1件あたり平均〇社と調整」
コスト調整の実績「予算超過を〇%圧縮」
使用ソフト「CAD・BIMの使用歴〇年」
指導した人数「新人〇名の指導を担当」

1行目と4行目の組み合わせが効きます。「年間12件を担当し、1件あたり平均6社と調整」と書くと、業務の密度が伝わります。

書き方の例です。

ビフォー 「設計事務所にて2年6か月勤務し、住宅の設計を担当しました。」

アフター 「設計事務所(所員12名)にて意匠設計を2年6か月担当。年間約12件(延床面積100〜200㎡規模)を担当し、常時3〜4件を並行して進めていました。基本設計から竣工まで平均8か月で、1件あたり構造・設備・施工など平均6社との調整を担当。予算超過が生じた案件では、仕様の優先順位を施主と整理し、要望の中心を残したまま約8%の圧縮を行いました。CAD使用歴2年6か月、BIM使用歴1年。」

数字:12名、2年6か月、12件、100〜200㎡、3〜4件、8か月、6社、8%。8つ入っています。

3. 編集長が相談を受けた話:「削る判断」が評価された

設計事務所から法人向けサービスの企業に転職した方から、話を聞きました。

相談者「面接で一番聞かれたのが、コストの話でした」

私「どんな質問ですか」

相談者「『予算が足りないとき、どうやって決めるんですか』と」

私「なんて答えました?」

相談者「まず施主が何を一番大事にしているかを確認します、と。優先順位が分からないまま削ると、後で必ず揉めるので」

私「そこから話が続いた?」

相談者「はい。『うちの仕事も同じです』と言われて」

「制約の中で何を残すか決める」経験が評価されました。

企業の仕事でも、予算、人員、期限は常に足りません。その中で優先順位を決めて進める人が求められます。ところが、実際にその判断を日常的にしている人は多くない。

設計職は、毎案件でその判断をしています。本人にとっては当たり前ですが、外から見ると希少です。

「削る判断をどうしていたか」を、必ず書類と面接で出してください。

4. 狙える職種

職種活きる経験難易度
施工管理図面が読める。工程管理
建材・設備メーカーの営業設計側の事情が分かる
不動産・デベロッパー建築の知識が直接活きる
住宅・リフォームの営業プラン提案ができる
建設系のITサービス業務を知っている強み
プロジェクト管理・PMO工程管理、関係者調整
インテリア・空間デザイン設計の経験が直結
一般の法人営業要件のヒアリング、提案

上4行が最も接続が良いです。建築の知識がそのまま使える領域では、設計経験は明確な武器になります。

5行目は伸びている領域です。建設業界向けのシステムやサービスを提供する企業では、「現場の業務を知っている人」が営業でも導入支援でも求められます。

6行目のプロジェクト管理は、業界を離れる場合の有力な候補です。複数の関係者を、期限と予算の制約の中で動かす経験は、業界を問わず使えます。

5. 退職理由をどう答えるか

避けたい答え方 「残業が多くて」「給与が見合わなくて」

事実であっても、これだけだと次も同じ理由で辞めると受け取られます。

使える型

回答例:「2年6か月、意匠設計として年間約12件を担当しました。施主の要望を聞いて、制約の中で優先順位を決めていく部分に手応えを感じています。ただ、設計事務所では、関われるのは着工までの期間が中心です。その先、実際に使われてからどうなるかまで見られる仕事に移りたいと考えて、建材メーカーの営業を志望しました。」

要素内容
やってきたこと件数と規模を入れる
面白かった部分優先順位の判断、調整
構造上の限界「関われる期間が限られる」など
だから応募先応募先で何がしたいか

3つめを労働環境ではなく「仕事の構造」で言うのがコツです。構造の話なら、転職先で解消できることが明確になります。

6. 職務経歴書の構成

位置内容
冒頭(要約)4〜5行。件数、規模、並行数、調整先の数
担当案件代表的な3件を、規模・期間・担当範囲・工夫で書く
担当した工程ヒアリング・基本設計・実施設計・申請・監理のどこまで
使用ソフトCAD、BIM、表計算、プレゼン資料の作成ツール
資格建築士、宅建、施工管理技士など

2行目を案件単位で書くのがこの職種の型です。エンジニアの職務経歴書と同じ構造になります。

案件ごとに書く6項目

項目内容
用途・規模「住宅/延床150㎡」
期間「基本設計〜竣工、8か月」
自分の担当範囲「基本設計・実施設計・確認申請」
関係者「構造・設備・施工の3社と調整」
課題と対応予算超過、法規の制約、施主の要望変更など
結果期限内の竣工、コストの圧縮率など

5行目の「課題と対応」が本体です。ここを書かないと、図面を描いた記録で終わります。

3行目の担当工程も明記してください。「実施設計まで」なのか「監理まで」なのかで、経験の幅が変わります。

7. 面接で聞かれる3問と答え方

Q1「設計以外の経験がありませんが、大丈夫ですか」

回答例:「設計以外の職種は未経験です。ただ、施主へのヒアリングから始まり、構造・設備・施工の各社と調整して、期限までに納める流れは2年半続けてきました。相手の要望を確認して、制約の中で形にする部分は共通していると考えています。」

Q2「営業の経験がありませんが」

回答例:「営業として数字を追った経験はありません。ただ、施主へのプレゼンは自分で資料を作って行っていました。年間12件のうち、初回提案から契約に至ったのは8件です。提案して選んでもらう場面は経験しています。」

「数字を追った経験はないが、提案して選ばれた経験はある」という接続の作り方です。

Q3「なぜ設計を続けないのですか」

回答例:「設計の仕事に不満があるわけではありません。ただ、着工までで関わりが終わることが多く、その先で実際にどう使われているかを見る機会が限られます。使われる段階まで関わりたいと考えて、建材メーカーを志望しました。」

「設計が嫌になった」ではなく「関わる範囲を広げたい」という言い方にすると、経験が活きる文脈になります。

8. 勤務条件の変化を確認する

項目設計事務所での一般的な形転職先で確認すること
労働時間納期前は長時間になりやすい月平均の残業時間、繁忙期
休日週休2日だが、納期前は出勤も年間休日日数
年収300〜450万円台が中心未経験入社の初年度と3年後
賞与事務所により差が大きい支給実績(月数)
資格手当建築士に手当がつく場合資格手当の有無
現場への移動打ち合わせ・監理で外出外回りの有無

5行目は見落とされます。建築士の資格手当が給与に含まれている場合、転職先に同種の手当がないと、基本給が上がっても総額が変わらないことがあります。現在の給与の内訳を確認してから、提示額と比べてください。

1行目については、業界を離れても繁忙期がある職種は多いです。「残業が少ない」ことを条件にする場合、面接で月平均の残業時間を確認してください。

9. よくある質問

建築士の資格は転職で評価されますか

建築・不動産・建材の領域では直接評価されます。他の業界でも、資格取得までの学習の継続として評価されます。

二級建築士しか持っていません

十分に材料になります。取得年と、受験までの学習期間も書けます。

CADしか使えません

CADの使用歴は書いてください。加えて、表計算ソフトやプレゼン資料の作成ツールの使用経験も書くと、事務系の職種への接続が作れます。

実施設計しか担当していません

それでも書けます。担当した工程を正確に書いたうえで、その中での判断や工夫を書いてください。

施工管理に移るのは「格下げ」ですか

そうではありません。設計と施工の両方を経験している人は、業界内で価値が高くなります。年収も上がることが多い領域です。

業界を完全に離れられますか

離れられます。ただし建築の知識が使えない分、経験の翻訳がより必要になります。第1章の対応表を使ってください。

在籍2年未満でも転職できますか

できます。ただし、設計職は経験年数で判断される面もあるため、担当した件数と工程を明記してください。

意匠と構造・設備で違いはありますか

基本の書き方は同じです。担当した領域を明記したうえで、案件ごとの課題と対応を書いてください。

10. まとめ:今週やる3つのこと

建築設計からの転職は、「図面を描いていた」で終わらせないことが全部です。

1つめ、第1章の翻訳表を見ながら、自分の業務を書き出す。左に設計での言い方、右に企業での言い方。9行埋めてください。所要30分。

2つめ、代表的な案件を3件選んで、6項目で書く。用途・規模、期間、担当範囲、関係者、課題と対応、結果。この「課題と対応」が、書類で最も読まれる部分です。所要1時間30分。

3つめ、「予算が足りないときにどう決めていたか」を1つ書き出す。第3章の通り、面接で最も評価される部分です。所要20分。

制約の中で優先順位を決める経験は、業界を問わず求められています。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。