Uターン・地方転職|第二新卒が求人の少なさを埋める探し方【2026年版】
〜地方転職で最初につまずくのは、求人の数ではなく「探す場所」です〜
地元に帰りたい。実家の近くで働きたい。都市部の生活に区切りをつけたい。第二新卒でUターン転職を考える人は、決して少なくありません。
ただ、実際に動き出すと、いくつかの壁に当たります。求人が少ない。年収が下がる。面接のたびに移動が必要。そして最も多いのが、「探し方が分からない」という壁です。
都市部で使っていた転職サイトを、そのまま地方の条件で検索すると、求人数が10分の1以下になります。これは地方に仕事がないからではなく、地方の求人が集まる場所が違うからです。
この記事では、地方転職の実態と、求人の探し方を整理します。
1. 結論:押さえるべきは3つ
① 求人の探し場所を変える
大手の転職サイトだけでは、地方の求人は拾いきれません。地域特化の転職サイト、ハローワーク、県の移住支援窓口、企業の採用ページ。この4つを併用すると、見える求人数が数倍になります。
② 年収は下がることが多い。ただし可処分所得では逆転しうる
額面の年収は、都市部より1〜2割程度低いのが一般的です。一方、家賃・駐車場・生活費が下がるため、手元に残る金額では変わらない、あるいは増えるケースもあります。額面だけで判断しないでください。
③ 都市部での経験が評価される職種を狙う
地方では、都市部の企業で標準的だった業務経験が希少な場合があります。SaaSの営業、Webマーケティング、業務システムの導入、人事の採用実務。「都市部では普通、地方では希少」な経験を持っていると、条件面でも有利になります。
2. 都市部と地方の実際の差
| 項目 | 都市部 | 地方 |
|---|---|---|
| 求人数(同条件) | 基準 | 1/5〜1/20程度 |
| 年収の水準 | 基準 | 1〜2割程度低い傾向 |
| 職種の選択肢 | 幅広い | 限定的(IT・企画職は特に少ない) |
| 家賃 | 高い | 都市部の半分以下のことも |
| 通勤 | 電車 | 車が前提の地域が多い |
| 転職市場の流動性 | 高い | 低い(次の転職先が限られる) |
最後の項目が、実は最も重要です。地方では、その地域の同業他社の数が限られます。つまり、入社後に合わなかった場合の選択肢が、都市部より少なくなります。
したがって、地方転職では「入社前の確認」の重要性が、都市部より高くなります。面接での確認項目(第7章)を、必ず実行してください。
年収について補足
| 項目 | 都市部(例) | 地方(例) |
|---|---|---|
| 年収 | 450万円 | 380万円 |
| 家賃(1LDK) | 月10万円 | 月5.5万円 |
| 駐車場 | ー | 月0〜5,000円 |
| 車の維持費 | ー | 月2万円程度 |
年収が70万円下がっても、家賃で年54万円下がる場合、差は縮まります。ただし、車が必須の地域では維持費が加わるため、その分も計算に入れてください。
3. 編集長の実体験:Uターンした知人の話
前職の同僚に、東京から地元(北陸)へUターンした人がいます。転職活動の相談を何度か受けました。
最初の相談(活動開始2ヶ月目)
「大手の転職サイトで地元の求人を検索してるんだけど、条件に合うのが8件しかない。しかも、そのうち4件は同じ会社の別ポジション」
私「ハローワークは見た?」
「見てない。あんまり良い求人がないイメージで」
私「地方だと逆だよ。掲載が無料だから、地元企業はまずハローワークに出す。転職サイトに載せるのは、採用予算がある会社だけ」
その後、彼は探す場所を変えました。
1ヶ月後
「ハローワークのインターネットサービスで検索したら、条件に合うのが70件くらいあった。あと、県が運営してるU・Iターン向けの就職支援サイトがあって、そこにも30件くらい。探す場所を変えただけで、10倍になった」
面接での出来事
「面接で『東京でSaaSの営業をしていた』と言ったら、面接官が身を乗り出してきた。『うちもクラウドのシステムを入れようとしてるんだけど、社内に分かる人間がいない』って」
「東京だと、SaaSの営業経験なんて何万人もいる。でも、この地域だと珍しいらしい。それだけで、想定より上の条件を提示された」
この2点が、地方転職の要点です。
1つ目は、探す場所。地方では、ハローワークと自治体の窓口が求人の主要な集積地です。
2つ目は、都市部での経験の希少性。都市部で「普通」の経験が、地方では「そこにしかない経験」になることがあります。これを志望動機と自己PRの中心に置くと、条件面でも有利になります。
4. 求人を探す4つの場所
① ハローワーク(インターネットサービス)
地方転職では、最も求人数が多い場所です。掲載が無料なので、地元の中小企業がまず出します。
ハローワークインターネットサービスは、全国どこからでも検索できます。実際の相談・紹介は、居住地のハローワークでも可能です。遠方から応募する場合、「◯◯県の求人に応募したい」と現在地のハローワークで相談すれば、手続きできます。
② 自治体のU・Iターン就職支援窓口
ほとんどの都道府県が、移住・就職の支援窓口を設置しています。東京・大阪に相談窓口を置いている県も多くあります。
| 提供されるもの | 内容 |
|---|---|
| 求人情報 | 県内企業の求人(サイト独自のものもある) |
| 就職相談 | 専門の相談員によるカウンセリング |
| 移住支援金 | 条件を満たすと支給される制度(自治体による) |
| 交通費補助 | 面接のための交通費を補助する制度がある自治体も |
| 住居の情報 | 空き家バンク、家賃補助 |
移住支援金は、条件を満たすと数十万円〜100万円規模で支給される制度があります。ただし、対象となる求人・移住元・移住先・就業期間などの条件が細かく定められており、自治体ごとに異なります。必ず、移住先の自治体の公式情報で最新の条件を確認してください。
③ 地域特化型の転職サイト・エージェント
「◯◯県 転職」で検索すると、地域特化のサイトが見つかります。大手には載っていない地元企業の求人が集まっています。
地域特化のエージェントは、地元企業とのつながりが強く、社風や実態を知っていることが多いです。遠方からの転職では、この情報が特に価値を持ちます。
④ 企業の採用ページ(直接応募)
地方の中小企業では、自社サイトでのみ募集していることがあります。気になる企業があれば、採用ページを直接確認してください。
探し方:地元の商工会議所の会員名簿、地方紙の経済面、県の企業紹介サイト。
5. 地方で強い職種・弱い職種
| 強い職種(求人が比較的ある) | 弱い職種(求人が少ない) |
|---|---|
| 営業(メーカー・商社・保険・不動産) | Webマーケティング |
| 施工管理・建設 | プロダクトマネージャー |
| 製造・生産管理・品質管理 | 経営企画 |
| 介護・医療・保育 | コンサルタント |
| 物流・ドライバー | 広報・IR |
| 経理・総務・人事(1人〜数人体制) | 大規模なIT開発 |
| 社内SE・情報システム | 専門特化した企画職 |
| 小売・飲食の店舗運営 | 外資系企業全般 |
「都市部の経験が希少になる」パターン
| 都市部での経験 | 地方での評価 |
|---|---|
| SaaS・クラウドサービスの営業 | 地元企業のIT導入を担える人材として希少 |
| Webマーケティング | 地元企業のEC・集客を担える人材として希少 |
| 業務システムの導入経験 | 社内DXの推進役として評価される |
| 採用実務 | 人材確保に苦戦する地元企業で重宝される |
| 大手企業での標準的な業務手順 | 業務改善の担い手として評価される |
この表は、志望動機を書くときの材料になります。「都市部で身につけた◯◯を、地元企業で活かしたい」という構成は、地方転職で最も通りやすい志望動機の型です。
6. 進め方とスケジュール
| 時期 | やること |
|---|---|
| 3〜4ヶ月前 | 探す場所を4つ確保(第4章)。求人を眺めて相場をつかむ |
| 3ヶ月前 | 自治体の就職支援窓口に相談(オンライン可の場合が多い) |
| 2〜3ヶ月前 | 応募開始。オンライン面接を希望する旨を先に伝える |
| 1〜2ヶ月前 | 最終面接のタイミングで現地へ。複数社をまとめて訪問 |
| 1ヶ月前 | 内定・条件確認。住居探しを開始 |
| 入社まで | 引っ越し、住民票の異動、各種手続き |
移動のコストを抑える工夫
一次・二次面接はオンラインを希望してください。遠方からの応募であることを伝えれば、多くの企業が対応します。
伝え方
「現在◯◯(都市名)に在住しており、地元である御地への転職を検討しております。一次面接についてはオンラインでご対応いただくことは可能でしょうか。最終選考の際は、現地へ伺います。」
現地訪問は、複数社をまとめて
最終面接の日程を、可能な限り同じ週にまとめてください。交通費・宿泊費が1回で済みます。企業側にも「他社の最終面接と合わせて伺います」と伝えて構いません。むしろ、複数社の選考が進んでいることが伝わります。
面接交通費について
遠方からの応募者に交通費を支給する企業もあります。また、自治体によっては面接のための交通費補助制度があります。応募前に、自治体の就職支援窓口に確認してください。
7. 面接で必ず確認すること
地方転職では、入社後の選択肢が限られるため、確認の重要度が上がります。
| 確認項目 | 聞き方 |
|---|---|
| 業務範囲 | 「1年目に担当する業務を教えてください」 |
| 転勤の有無 | 「勤務地の変更の可能性はありますか」 |
| 残業の実態 | 「直近3ヶ月の平均残業時間を教えてください」 |
| 車の要否 | 「通勤や業務で自家用車は必要でしょうか」 |
| 給与の内訳 | 「基本給と、固定残業代の有無を教えてください」 |
| 定着率 | 「入社1年後の在籍率はどのくらいですか」 |
| 事業の見通し | 「今後3年で注力される領域はどこでしょうか」 |
4番目の「車」は、地方では実務的に重要です。自家用車が必須の場合、購入費・維持費・保険料が生活費に加わります。年収の比較をするときに、この分を必ず計算に入れてください。
7番目も重要です。地方では、地域経済の動向がその企業の業績に直結することがあります。入社後に事業が縮小した場合、同じ地域での転職先が限られます。
8. 失敗しやすい5つのパターン
| パターン | 何が起きるか | どう防ぐか |
|---|---|---|
| 大手サイトだけで探す | 求人が10分の1しか見えない | 4つの場所を併用(第4章) |
| 額面の年収だけで比較する | 実際の可処分所得が判断できない | 家賃・車の維持費を含めて計算 |
| 「地元だから」で企業を選ぶ | 業務内容が合わない | 職種を先に決めてから地域で絞る |
| 現地確認をせずに決める | 通勤時間・生活環境が想定と違う | 最終面接の際に周辺を歩く |
| 家族への相談が後回しになる | 引っ越し直前に調整が必要になる | 活動開始時に共有する |
3番目が、地方転職で最も多い失敗です。求人が少ないため、「地元にある求人の中から選ぶ」という発想になりがちです。しかし、業務内容が合わないと、入社後に同じ問題が起きます。
職種を2つに絞り、その職種で探す。求人が見つからない場合、範囲を「地元の市」から「県内」「近隣県」へ広げるほうが、職種を妥協するより結果が良くなります。
9. よくある質問
地方は本当に求人が少ないですか?
職種によります。営業・製造・建設・医療介護・物流は、地方でも求人が豊富です。一方、Webマーケティング、経営企画、コンサルタントなどの職種は、求人数が大きく減ります。自分の希望職種で、実際に検索して件数を確認してください。
年収はどのくらい下がりますか?
同職種・同規模の比較で、1〜2割程度低い傾向があります。ただし、家賃・生活費が下がるため、可処分所得では差が縮まります。「年収」ではなく「年収−家賃−車の維持費」で比較してください。
移住支援金はもらえますか?
条件を満たせば支給される制度がありますが、条件は自治体ごとに細かく異なります。対象となる求人(支援対象法人の求人であること)、移住元の地域、移住後の就業期間などが定められているのが一般的です。必ず、移住先の自治体の公式情報で最新の条件を確認してください。後から申請できない場合もあるため、応募前の確認が重要です。
面接のために何度も帰省するのは大変です。
一次・二次面接はオンラインを希望してください。遠方からの応募であることを伝えれば、多くの企業が対応します。最終面接だけ現地へ行き、複数社をまとめて回るのが効率的です。自治体によっては、面接のための交通費補助制度もあります。
都市部での経験は評価されますか?
職種によっては、大きく評価されます。特に、SaaS・Webマーケティング・システム導入・採用実務など、地方企業が自社で確保しにくい領域の経験は希少です。「都市部で身につけた◯◯を、地元で活かしたい」という志望動機は、地方転職で最も通りやすい型です。
「なぜ地元に戻るのか」を面接でどう答えますか?
正直に答えて構いません。「家族の近くで暮らしたい」「地元に貢献したい」はいずれも自然な理由です。ただし、それだけでは不十分です。「地元に戻ることが前提にあり、そのうえで御社を選んだのは◯◯だからです」と、企業を選んだ理由を必ず添えてください。
車は必須ですか?
地域によります。県庁所在地の中心部なら公共交通で足りることもありますが、多くの地方では自家用車が前提です。面接で「通勤や業務で自家用車は必要か」を必ず確認してください。購入費・維持費は、年収比較の際に計算に入れる必要があります。
入社後に合わなかった場合、次はありますか?
都市部より選択肢は限られます。同業他社の数が少ないためです。だからこそ、入社前の確認(第7章)を丁寧に行ってください。また、地域を「市」ではなく「県」または「通勤圏」で捉えておくと、選択肢が広がります。
10. まとめ:今夜やる3つのこと
地方転職の最初の壁は、求人の数ではなく探す場所です。ここを変えるだけで、見える求人が数倍になります。
今夜やること
① ハローワークインターネットサービスで、希望地域・希望職種の求人件数を数える(大手転職サイトの件数と比べてみてください)
② 「◯◯県 U・Iターン 就職支援」で検索し、自治体の窓口サイトを開く(求人情報と支援制度の両方が載っています)
③ 現在の生活費(家賃・光熱費・交通費)を書き出し、移住先での想定額と比べる(年収の比較はこの後です)
①と②で、求人の全体像が変わります。大手サイトだけを見て「求人がない」と判断していた人ほど、この2つで印象が変わります。
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この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。