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職業訓練を使うか|離職中の選択肢として【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月6日 読了 約15分
職業訓練を使うか|離職中の選択肢として【2026年版】

離職して転職活動をしていると、「職業訓練」という選択肢を目にすることがあります。

無料または低額で、数か月間、技能を学べる公的な制度です。ITやデザイン、事務、介護など、分野は多岐にわたります。

一方で、この制度を使うと数か月間、転職活動の主軸がそちらに移ります。その期間、応募を止めるのか、並行するのかで、活動全体の進み方が変わります。

そして、訓練を受けたことが転職で評価されるかどうかは、分野と使い方によります。

この記事では、制度の概要、判断の基準、転職活動との並行、そして向いている人と向いていない人を整理します。なお、制度の内容や条件は変わることがあるため、必ずハローワークで最新の情報を確認してください。

1. 結論:判断は3つ

①学びたい分野が明確か。「何かスキルを付けたい」という漠然とした動機だと、受けても活かせません。

②転職活動を数か月止められるか。訓練中も応募は可能ですが、時間の配分が変わります。

③その分野の求人が実際にあるか。訓練を修了しても、求人がなければ意味がありません。

「時間があるから受ける」という判断は避けてください。数か月を使う決断です。

2. 制度の概要

公的な職業訓練には、大きく2つの種類があります。

種類対象特徴
公共職業訓練主に雇用保険の受給者期間が長めのものもある
求職者支援訓練雇用保険を受給していない人など一定の条件で給付金の制度がある

どちらもハローワークが窓口です。受講の申し込み、相談、修了後の求人紹介まで、ハローワークを通します。

受講料は無料または低額ですが、テキスト代などは自己負担になることがあります。

分野の例

分野内容の例
IT系プログラミング、Web制作、ネットワーク
事務系経理、簿記、パソコンの基本操作
デザイン系画像編集、Webデザイン
介護・医療介護職員の資格、医療事務
建設・製造施工管理、機械の操作、電気工事

期間は、短いもので2〜3か月、長いもので1年以上あります。

具体的にどの訓練が受けられるかは、地域と時期によって変わります。ハローワークで確認してください。

3. 編集長の実体験:受けた人と受けなかった人

私の知人に、離職後に職業訓練を検討した人が2人います。仮にIさんとJさんとします。

Iさんは、事務職から未経験でIT系を目指していました。

Iさん「独学で3か月やったんですが、一人だと詰まったときに進まなくて」

私「訓練を受けるんですか」

Iさん「6か月のコースがあります。ただ、その間は転職活動が止まるので迷っています」

Iさんは、ハローワークで相談したうえで受講を決めました。決め手は、修了生の就職の状況だったそうです。

Iさん「窓口で、そのコースの修了生がどこに就職しているか聞きました。実際に入っている企業の名前まで教えてもらえました」

6か月後、Iさんは訓練で作ったものをポートフォリオにして応募し、3か月で内定を得ました。

Iさん「訓練を受けたこと自体が評価されたわけではないです。作ったものと、学習を継続できたことが材料になりました」

Jさんは、受講を見送りました。

Jさん「分野を決めきれていなかったんです。営業か事務か、まだ迷っていて」

私「それなら、受けても方向が定まらないですね」

Jさん「はい。まず応募してみて、市場の反応を見ることにしました」

Jさんは、2か月で営業職の内定を得ました。

訓練が良い・悪いではなく、分野が決まっているかどうかで判断が分かれました。

4. 判断の基準

状況判断
学びたい分野が明確検討する価値がある
未経験の分野に移りたい検討する価値がある
独学で止まっている検討する価値がある
分野が決まっていないまず応募して反応を見る
経験のある職種を続ける訓練より応募を優先
早く決めたい訓練は期間がかかる

最も向いているのは、未経験の分野に移りたく、独学で止まっている人です。

逆に、経験のある職種を続ける場合、訓練を受ける意味は小さくなります。実務経験のほうが評価されるためです。

確認すべき3点

受講を検討する場合、ハローワークで次を確認してください。

  1. そのコースの修了生の就職の状況
  2. 修了後に応募できる求人の実際の数
  3. 期間中の生活面の制度

1番目が最も重要です。修了しても就職につながっていないコースもあります。

5. 転職活動との並行

訓練中も応募は可能です。ただし、時間の配分が変わります。

項目訓練中の状況
平日の日中訓練に出席
面接の日程夕方以降か、休みを取る
応募の時間夜と休日
学習の時間訓練が中心

訓練は出席が求められるため、平日の日中の面接が難しくなります。

面接の日程調整では、その旨を伝えてください。

「現在、職業訓練を受講しており、平日の日中は出席しております。夕方以降、または土曜であれば調整可能です。」

訓練を受けていることは、隠す必要はありません。学習を継続している事実として、むしろ説明材料になります。

修了を待たずに就職する場合

訓練の途中で内定が出ることがあります。その場合、就職を優先して途中で辞めることは可能です。

むしろ、訓練の目的は就職なので、途中就職は制度上も想定されています。ハローワークに報告してください。

6. 転職で評価されるか

評価される点評価されにくい点
訓練で作ったもの「受講した」という事実だけ
数か月継続したこと修了証そのもの
学んだ内容を説明できることコース名を挙げるだけ
就職への意思の明確さ「時間があったから」

「訓練を受けました」だけでは評価されません。

評価されるのは、次の2つです。

  1. 作ったもの(成果物、課題、実習の内容)
  2. 継続したという事実(数か月、毎日通ったこと)

面接での説明:

「未経験からこの分野を目指すにあたり、独学では進みが遅いと判断し、6か月の職業訓練を受講しました。訓練の中で〇〇を作り、その過程で〇〇の部分に時間を使いました。実務ではまだ足りない部分があると理解しています。」

「まだ足りない部分がある」と自分から言えると、水準の認識が正確な人だと伝わります。

訓練中に応募を止めない

訓練に集中したくなりますが、応募は続けてください。

理由は2つあります。1つは、修了を待たずに内定が出る可能性があること。もう1つは、市場の反応を見ながら学習の方向を調整できることです。

週1〜2社のペースで構いません。訓練の内容が求人の要件と合っているかを、応募しながら確認してください。

7. 向いていない場合

状況理由
分野が決まっていない受けても方向が定まらない
早く決めたい数か月かかる
経験のある職種を続ける実務経験のほうが評価される
生活の見通しが立たない期間中の収入を考える必要がある
独学で進められている訓練を待つ時間が無駄になる

3番目に注意してください。同じ職種で転職するなら、訓練より応募を優先するほうが早く決まります。

4番目については、期間中の生活の見通しを先に立ててください。給付金の制度がある場合もありますが、条件があります。ハローワークで確認してください。

民間のスクールとの違い

項目職業訓練民間のスクール
費用無料または低額有料
開始の時期決まった時期のみ随時
選考面接や筆記がある基本的にない
内容基礎が中心コースによる
就職の支援ハローワーク経由スクールによる

費用の面では職業訓練が有利ですが、開始の時期が限られます。すぐ始めたい場合は、民間のスクールか独学になります。

受講には選考があることがあります。面接や筆記が行われるコースもあるため、申し込みの前に確認してください。倍率の高いコースでは、受講できないこともあります。

8. 進め方と時間配分

段階時間やること
分野の決定数日学びたい分野を1つに絞る
ハローワークで相談60分コースの内容と就職の状況を確認
求人の確認60分その分野の求人が実際にあるか
申し込み選考がある場合は準備
受講2〜6か月並行して応募も続ける

最初の「分野の決定」を飛ばさないでください。ここが曖昧なまま受講すると、修了後に方向が定まりません。

求人の確認も必ず行ってください。その分野の未経験可の求人が、通勤圏内に実際にあるかを見ます。

9. よくある質問

誰でも受けられますか

種類によって条件が異なります。雇用保険の受給の有無、離職の状況などで、受けられる訓練が変わります。ハローワークで確認してください。

費用はかかりますか

受講料は無料または低額です。ただし、テキスト代などが自己負担になることがあります。金額はコースによって異なります。

期間中の生活はどうなりますか

雇用保険を受給している場合、受給しながら受講できることがあります。受給していない場合も、条件を満たせば給付金の制度があります。ハローワークで確認してください。

在職中でも受けられますか

制度の対象は求職者が中心です。在職中の場合、受けられる訓練は限られます。夜間や休日のコースがある場合もあるので、確認してください。

転職で有利になりますか

「受講した」という事実だけでは有利になりません。作ったものと、継続したことを説明できるかどうかで変わります。

途中で就職が決まったらどうしますか

就職を優先して構いません。訓練の目的は就職なので、途中就職は想定されています。ハローワークに報告してください。

分野が決まっていません

まず応募して、市場の反応を見てください。分野が決まっていない状態で受講しても、方向が定まりません。

どのくらいの期間ですか

2〜3か月から1年以上まで、コースによって幅があります。期間が長いほど、転職活動の開始が遅れることを考慮してください。

10. まとめ:今週やる3つのこと

職業訓練は、未経験の分野に移りたく、独学で止まっている人には有効な選択肢です。

1. 学びたい分野を1つに絞る。決まっていない状態で受講すると、修了後に方向が定まりません。決められない場合は、まず応募して反応を見てください。

2. ハローワークで、修了生の就職の状況を聞く。コースの内容より、実際にどこに就職しているかを聞いてください。これが最も判断材料になります。

3. その分野の求人が、通勤圏内にあるか確認する。修了しても求人がなければ、数か月を使った意味がなくなります。

「時間があるから」という理由で受けないでください。数か月を使う決断です。

なお、制度の内容や条件は変わることがあります。必ずハローワークで最新の情報を確認してください。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。