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社会人大学院という選択|第二新卒が転職と両立できるかの判断【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月6日 読了 約18分
社会人大学院という選択|第二新卒が転職と両立できるかの判断【2026年版】

〜「学歴を作り直せば変わるのでは」と考えたことがある人へ〜

第二新卒の時期に、大学院や通信制大学の進学を検討する人がいます。理由はさまざまですが、大きく2つに分かれます。

一つは、専門性を深めたいという前向きな理由。もう一つは、今の経歴に自信が持てず、学歴で挽回できないかという理由です。

この2つは、結果が大きく違います。前者は転職の武器になり得ますが、後者は数年と数百万円をかけても状況が変わらないことがあります。

この記事では、どちらの動機なのかを見分ける材料と、進学と転職の順番の考え方を整理します。

1. 結論:判断の軸は3つ

進学を考えるときの3つの軸

目的が「専門性」なら選択肢になる。「経歴の書き換え」なら効かない

転職に直接効くのは、資格や専門職に接続する分野に限られる

進学と転職は、原則として転職が先

③が最も重要です。今の職場が合わないから進学する、という順番だと、卒業後にまた同じ問題に戻ります。

進学は「行きたい場所が決まっていて、そこに必要なものが学位である」ときに機能します。逃げ道として選ぶと、時間と費用の両方を失います。

2. 転職に効く場合と効かない場合

分野転職への効き方
専門職に接続する分野効く(資格や職域が学位と結びついている)
研究職・専門職への転換効く(その道の入口になる)
経営・経済系の大学院中程度(実務経験とセットで意味を持つ)
一般的な学び直し効きにくい(実務経験のほうが見られる)
通信制大学(学士取得)応募要件を満たすためには効く

「大卒以上」という応募要件を満たすために通信制大学へ進む、という使い方は明確に機能します。目的がはっきりしており、達成条件も明確だからです。

一方で、「視野を広げたい」「体系的に学びたい」という動機は、それ自体は良いものですが、転職の選考で加点される保証はありません。ここを混同しないことが重要です。

経営系大学院が「実務経験とセット」である理由

経営系の大学院は、議論を通じて学ぶ形式が中心になります。

持ち込む実務経験が少ないと、得られるものが減る構造です。第二新卒の段階では、経験の蓄積が少ないため、数年後に行くほうが効果が大きいという判断も成り立ちます。

3. 費用と時間の見積もり

項目押さえること
学費分野と学校で幅が大きい
期間修士で2年、通信制大学は3〜4年が一般的
週あたりの時間授業に加えて課題・研究の時間が必要
収入への影響通学課程では働き方の変更が必要な場合がある
支援制度条件を満たす場合に利用できる制度がある

見落とされるのは「授業以外の時間」です。

授業が週2日でも、その準備と課題に同程度の時間がかかります。働きながらの場合、平日の夜と週末がほぼ埋まる前提で計画する必要があります。

なお、教育訓練に関する公的な支援制度には条件や期間の定めがあり、内容が変わることがあります。この記事の内容は一般的な整理であり、個別の適用については所管の窓口や専門機関に確認してください。

4. 話を聞いた例:進学をやめて転職を選んだ人

知人に、大学院への進学を検討したうえで、転職を先に選んだ人がいます。

その人が検討の途中でやったのは、次のことでした。

判断のためにやったこと

・行きたい職種の求人を20件集めた

・応募要件に「修士以上」があるものを数えた(20件中2件だった)

・その2件が本当に行きたい仕事かを確認した

・残り18件に応募するために足りないものを書き出した

結果として、必要なのは学位ではなく実務経験だとわかりました。

その人は転職を選び、3年後に「今度は目的がはっきりした」という状態で改めて進学を検討したそうです。順番を変えただけで、判断の質が変わっています。

「進学すべきか」を頭の中で考え続けるより、求人票を20件数えるほうが早く答えが出ることがあります。

5. 進学と転職、どちらを先にするか

状況推奨する順番
目指す職種に学位が必須進学が先
応募要件の学歴を満たしたい通信制などで要件を満たす
実務経験が足りない転職が先
今の職場が合わない転職が先(進学は解決にならない)
専門性を深めたい実務を数年積んでから

「今の職場が合わない」を理由に進学するのは、最も避けたい選択です。

その場合、卒業後に転職活動をすることになりますが、その時点でブランクの説明が必要になります。職場が合わない問題は転職で解決できる問題であり、進学で解決する問題ではありません。

辞めるかどうかの判断軸は退職を悩む期間を最短化する3つの判断軸|第二新卒の決断完全ガイドにまとめています。

6. 働きながら通えるのか

形態働きながらの可否
夜間・週末開講の課程可能(ただし負荷は高い)
通信制可能(自己管理が前提)
昼間の通学課程難しい場合が多い
オンライン中心の課程可能な場合がある

可否より、続けられるかどうかが問題です。

途中で退学すると、費やした時間と費用が回収できないだけでなく、経歴の説明も難しくなります。入学前に、繁忙期を含めた1年間の時間の使い方を試算しておくことを勧めます。

時間の設計の考え方は働きながら学習時間を作る|平日30分の設計が参考になります。

7. 面接での説明の仕方

在学中、または修了後に転職活動をする場合、必ず聞かれます。

質問見られていること答え方の軸
なぜ進学したか目的の明確さ目指す仕事から逆算して答える
仕事との両立は実行力時間の使い方を具体的に
何を学んだか内容の理解業務に接続する形で話す
卒業後の計画継続性進学が目的ではないと示す
学費の負担は生活の安定簡潔に、詳細は不要

「学歴を良くしたかった」という理由は、正直であっても評価されにくい回答です。

代わりに、「この職種に進むために必要な知識が体系的に必要だと判断した」という形にします。目的が仕事側にあることを示すのが軸です。

在学中の転職活動については、修了時期と入社時期の調整が必要になります。時期の考え方は入社日の交渉と調整|第二新卒が退職日から逆算して決める手順が参考になります。

8. 進学以外の選択肢

学位でなくても、目的を達成できる場合があります。

先に検討すべき選択肢

実務経験を積む(多くの求人で最も重視される)

資格を取る(期間と費用が小さい)

社会人向けの短期講座(数か月単位)

現職で担当範囲を広げる(費用がかからない)

④が最も見落とされます。今の職場で担当していない領域に手を挙げるだけで、経験が増える場合があります。

学習全体の設計はリスキリングを転職につなげる|第二新卒が投資する順番と回収の見方、資格の判断は第二新卒に資格は必要か|取ってから動くか、動きながら取るかの判断にまとめています。

9. よくある質問

大学院に行けば経歴の弱さを補えますか

補える場合は限られます。多くの求人で見られているのは実務経験です。短期離職の説明は、学位ではなく説明の仕方で対応できます。退職理由の伝え方|面接で落とされない変換の型と例文12パターン【2026年版】を参照してください。

通信制大学で学士を取るのはどうですか

「大卒以上」という応募要件を満たすためであれば、目的が明確で機能します。期間と費用を見積もったうえで、応募したい求人の要件を先に確認してください。

在学中に転職活動をしてもいいですか

問題ありません。ただし入社時期と修了時期の調整が必要になります。面接の早い段階で伝えておくほうが、後の調整が楽になります。

学費は回収できますか

分野と目的によります。回収の見通しが立つのは、学位が応募要件になっている職種を目指す場合です。それ以外では、投資対効果を事前に見積もるのは難しくなります。

会社に知らせる必要はありますか

就業規則によります。兼業や副業の規定に関連する場合があるため、事前の確認が必要です。詳細は勤務先の規定と、必要に応じて専門機関に確認してください。

第二新卒の年代で進学するのは遅いですか

遅くはありません。むしろ実務経験が少ない段階では、経営系のように経験を持ち込む課程で得られるものが少なくなるという別の問題があります。分野によって適した時期が違います。

進学と転職を同時に進められますか

進められますが、負荷が高くなります。どちらかを先に決めてから動くほうが、判断の質が上がります。

迷い続けています

行きたい職種の求人を20件集めて、応募要件に学位が入っているものを数えてください。数字が出れば、判断の材料になります。頭の中だけで比較していると結論が出ません。

10. まとめ:今週やる3つのこと

進学は選択肢の一つですが、「目的が仕事側にあるか」で結果が変わります。

今週やる3つのこと

行きたい職種の求人を20件集める

応募要件に学位が入っているものを数える

入っていない場合、足りないものが何かを書き出す

②の数字が少なければ、必要なのは学位ではありません。まず数えることから始めてください。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。