仕事が覚えられないとき|第二新卒が3ヶ月で立て直す記録と聞き方【2026年版】
〜覚えられないのは記憶力の問題ではなく、記録の仕組みがないからです〜
転職して2ヶ月。まだ何も覚えられていない気がする。
同じことを何度も聞いてしまう。
この状態は、中途入社で非常に多く起きます。
そして、多くの人が「自分の記憶力の問題だ」と考えます。
ほとんどの場合、違います。
覚えられない理由は、次の4つのどれかです。
情報量が多すぎる、記録していない、教わり方が体系的でない、そもそも情報が存在しない。
このうち、自分で解決できるのは「記録していない」だけです。
そして、これが最も多い原因です。
この記事では、記録の取り方と、同じことを3回聞かないための仕組みを整理します。
1. 結論:原因を4つに切り分ける
| 原因 | 内容 | 自分で解決できるか |
|---|---|---|
| ① 情報量が多すぎる | 中途入社は短期間に大量の情報が来る | 記録で解決 |
| ② 記録していない | 聞いたことを書いていない | 解決できる |
| ③ 教わり方が断片的 | 手順の全体像が示されていない | 依頼すれば解決 |
| ④ そもそも情報がない | マニュアルも手順書も存在しない | 会社の問題 |
①②が、大半の原因です。
中途入社では、入社1ヶ月で受け取る情報量が、新卒の研修3ヶ月分に相当することがあります。
これを記録なしで覚えるのは、不可能です。
そして、④の場合は、あなたの問題ではありません。
手順書がない、教える人がいない、という状態であれば、それは会社の体制の問題です。
2. なぜ中途入社は覚えられないのか
新卒との違いを整理してください。
| 項目 | 新卒 | 中途 |
|---|---|---|
| 研修期間 | 数週間〜数ヶ月 | 数時間〜数日 |
| 教える体制 | 専任がいることが多い | 現場の人が片手間で |
| 前提知識 | ゼロ前提で説明される | 「知っている前提」で説明される |
| 質問しやすさ | 同期がいる | 相談相手がいない |
3行目が、最大の要因です。
中途入社者には、「社会人経験があるから、これは分かるだろう」という前提で説明されます。
ところが、業界用語も、社内の略語も、システムの使い方も、その会社固有のものです。
「知っている前提」で説明されると、分からないまま話が進みます。
そして、聞き返すタイミングを逃します。
質問できる期間は短い
| 時期 | 周囲の受け止め |
|---|---|
| 入社1ヶ月 | 分からなくて当然 |
| 2〜3ヶ月 | まだ聞いてよい |
| 4ヶ月以降 | 「まだ分からないのか」に変わる |
だから、最初の3ヶ月で聞き切る必要があります。
そのためには、「何が分からないか」を把握している必要があります。
記録が必要な理由が、ここにあります。
3. 編集長の実体験:メモを取らずに2日目で困った
私がSaaS企業に転職した初日、ほとんどメモを取りませんでした。
「話を聞くことに集中しよう」と思っていたからです。
朝、上司から30分の事業説明。その後、先輩による製品デモ。午後はシステムの設定と社内ツールの説明。
すべて頷きながら聞きました。
そして翌日、何も覚えていませんでした。
断片的には記憶にあるのですが、つながっていません。
2日目に、上司にこう言われました。
上司「昨日の説明、どこまで入ってる?」
私「……正直、整理できていません」
上司「そりゃそうだよ。あの量、1日で入らない」
私「すみません」
上司「謝ることじゃなくて。ただ、メモは取った方がいい。今日から、聞いたことは全部書いて。で、分からない単語が出てきたら、意味が分からなくてもカタカナでいいから書いておいて」
私「意味が分からなくても、ですか」
上司「後で聞けるから。書いてないと、何が分からなかったかも分からなくなる」
この日から、メモを取るようにしました。
分からない単語を書き溜めて、週の終わりにまとめて聞く形にしました。
最初の1ヶ月で、35個ほどの単語を聞きました。
そして、4ヶ月目あたりから、会議の議論についていけるようになりました。
ここで学んだのは、覚えるのではなく、後で理解するための材料を残すということです。
1日で覚えられる量ではありません。記録があれば、後から何度でも確認できます。
4. 記録の取り方
3つのノートを分ける
| ノート | 書くこと |
|---|---|
| ① 手順ノート | 業務の手順(自分用のマニュアル) |
| ② 用語ノート | 分からない言葉(意味が分からなくても音で書く) |
| ③ 人ノート | 名前、所属、何を聞く人か |
紙でもデジタルでも構いませんが、3つに分けてください。
混ぜると、後で探せなくなります。
① 手順ノートの書き方
教わったその場で、番号をつけて書いてください。
例:受注処理の手順
- 管理画面の「受注」タブを開く
- 「新規」ボタン → 顧客名を検索
- 商品コードを入力(※類似コードに注意)
- 数量と納期を入力
- 「確認」→ 内容を確認 → 「確定」
- 確定後、営業担当にチャットで連絡
「※」で、注意点を追記してください。
ミスした箇所は、必ず追記します。
② 用語ノートの書き方
意味が分からなくても、音のまま書いてください。
・「エスエフエー」→ SFA(営業管理システム)※後で確認済み ・「あの案件」→ ◯◯社の更新案件のこと ・「MRR」→ 月次の継続収益 ※後で確認済み ・「稟議通した?」→ 社内の承認手続き
確認できたら、意味を追記して「確認済み」と書いてください。
これで、同じことを2回聞かなくなります。
③ 人ノートの書き方
・田中さん(営業2課/課長)→ 案件の相談 ・佐藤さん(同じチーム/3年目)→ 日常業務の質問 ・鈴木さん(CS)→ 導入後のこと ・山本さん(総務)→ 備品・経費
「名前+所属+何を聞く人か」の3点です。
顔と名前が一致しなくても、メモがあれば確認できます。
5. 質問の型
「分かりません」だけで聞くと、相手も答えにくくなります。
使える型
① どこまで分かっているかを言う
「受注処理の手順で、確定までは分かりました。その後の連絡先が分かりません。」
② 自分の理解を確認してもらう
「私の理解では、確定した後に営業担当に連絡すると認識していますが、合っていますでしょうか。」
③ まとめて聞く
「今週分からなかったことを3つまとめました。10分ほどお時間いただけますでしょうか。」
③が最も効率的です。
1つずつその場で聞くと、相手の作業を中断させます。
週に1回、まとめて聞く時間を作ってもらうのが、双方にとって楽です。
依頼の仕方
「週に1回、15分ほど、質問をまとめて聞かせていただく時間をいただけますでしょうか。都度お聞きすると、お手を止めてしまうので。」
この依頼は、ほぼ断られません。
むしろ、教える側の負担も下がるためです。
6. 同じことを3回聞かないための仕組み
1度目は問題ありません。2度目も許容されます。
3度目から、印象が変わります。
これを防ぐのが、記録です。
| 回数 | やること |
|---|---|
| 1度目 | 聞く → その場でメモする |
| 2度目 | 自分のメモを見る |
| メモにない | メモが不足していた → 聞き直して追記 |
| 3度目 | 起きない(メモがあるため) |
「聞いた内容をメモしていない」ことが、3度聞く原因です。
メモを取るタイミング
| タイミング | 適否 |
|---|---|
| 聞きながら書く | 最も良い |
| 聞いた直後に書く | 良い |
| その日の終わりに書く | 抜ける |
| 翌日書く | ほぼ残らない |
「聞きながら書く」のが失礼だと感じる必要はありません。
むしろ、メモを取らない方が「聞く気がない」と受け取られます。
「メモを取らせてください」と一言添えれば、問題ありません。
7. 3ヶ月・6ヶ月での判断
覚えられない状態が続く場合、時期を区切って判断してください。
| 時期 | 状態 | 判断 |
|---|---|---|
| 1ヶ月 | 何も分からない | 正常 |
| 3ヶ月 | 基本の業務が一人でできる | 正常 |
| 3ヶ月 | 基本の業務も一人でできない | 原因を特定する |
| 6ヶ月 | まだ一人でできない | 環境か、業務の適性の問題 |
3ヶ月時点で原因を特定する
次の質問に答えてください。
| 質問 | はい → | いいえ → |
|---|---|---|
| 手順書やマニュアルはありますか | ②へ | ④(会社の問題) |
| 教えてくれる人は決まっていますか | ③へ | ③(体制の問題) |
| 記録は取っていますか | ④へ | ②(記録の問題) |
| 同じ時期に入った人も同じ状態ですか | 会社の問題 | 自分の進め方を見直す |
最後の質問が重要です。
同時期に入った他の中途入社者も同じ状態なら、それは会社の教育体制の問題です。
自分だけが遅れているわけではありません。
上司への相談
3ヶ月時点で状況が変わっていない場合、上司に相談してください。
「入社から3ヶ月経ちましたが、◯◯の業務をまだ一人で進められていません。
どこから優先的に理解すべきか、ご相談させていただけますでしょうか。」
「できていません」だけでなく、「どこから優先すべきか」を聞いてください。
上司は、あなたが何につまずいているか把握していないことがあります。
8. やってはいけない3つのこと
| # | やってはいけないこと | なぜ |
|---|---|---|
| ① | 分からないまま頷く | 後で必ず困る |
| ② | 一人で抱える | 状況が悪化する |
| ③ | 「覚えが悪い」と自分を責める | 原因の特定が遅れる |
①について
分からないまま頷くと、その場は済みますが、実務で必ず止まります。
そして、その時点で聞くと「なぜ最初に聞かなかったのか」となります。
「すみません、そこがまだ理解できていません」と、その場で言ってください。
③について
覚えられない原因の大半は、記録の仕組みがないことです。
記憶力の問題ではありません。
「自分の能力の問題だ」と考えると、記録を始めるという解決策に辿り着けません。
まず、メモを取ってください。
9. よくある質問
入社2ヶ月ですが、まだ何も覚えられません。
2ヶ月なら、正常な範囲です。中途入社では、3ヶ月で基本の業務が一人でできれば十分です。ただし、記録を取っていない場合は、今日から始めてください。
同じことを何度も聞いてしまいます。
聞いた内容をメモしていないことが原因です。1度目に聞いたら、その場でメモしてください。2度目は、自分のメモを見てから聞いてください。
質問すると、忙しそうで聞きづらいです。
週に1回、まとめて聞く時間を作ってもらってください。「15分ほど、質問をまとめて聞かせていただく時間をいただけますか」と依頼すれば、多くの場合は応じてもらえます。教える側の負担も下がります。
メモを取っていると、失礼になりませんか?
なりません。むしろ、メモを取らない方が「聞く気がない」と受け取られます。「メモを取らせてください」と一言添えれば、問題ありません。
手順書もマニュアルもない会社です。
それは、会社の体制の問題です。自分用の手順ノートを作ってください。そして、それが完成したら、共有できないか上司に相談してください。後任の教育にも使えるため、評価されることがあります。
3ヶ月経っても、一人で業務ができません。
原因を特定してください。手順書があるか、教える人が決まっているか、記録を取っているか、同時期の入社者も同じ状態か。この4つで、原因が絞れます。
「覚えが悪い」と言われました。
まず、記録を取っているかを確認してください。記録なしで覚えようとしている場合、記録を始めるだけで変わります。そのうえで、上司に「どこから優先すべきか」を相談してください。
向いていないのではないかと思います。
3ヶ月は判断を保留してください。入社直後にそう感じるのは、中途入社では非常に多い状態です。ただし、6ヶ月経っても変わらず、かつ記録も質問もしている場合は、業務の適性を検討する段階です。
10. まとめ:今日やる3つのこと
仕事が覚えられないのは、記憶力の問題ではなく、記録の仕組みがないからです。
中途入社では、短期間に大量の情報が来ます。記録なしで覚えるのは、不可能です。
今日やること
① ノートを3つに分ける(手順/用語/人)
② 今日聞いた「分からない言葉」を、意味が分からなくても書き出す
③ 「週に1回、15分まとめて質問する時間」を上司に依頼する
目安時間:合計20分
②を必ずやってください。
私は初日にこれをやらず、翌日に「何が分からないかも分からない」状態になりました。
意味が分からなくても、音のまま書いてください。後で聞けます。
書いていないと、何が分からなかったかも分からなくなります。
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この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。