SaaS営業の自己PR|第二新卒の例文6パターンと商談の型を数字で示す方法【2026年版】
SaaS営業の自己PRで、他業界から応募する人はこう書きます。
「前職では新規開拓営業で目標を達成し続けてきました。この経験を活かして貢献したいと考えています」
これは通りません。目標達成の事実だけでは、SaaS営業に向いているかが判断できないからです。
SaaS営業が他業界の営業と決定的に違うのは、売って終わりではないという点です。月額で課金され、使われなければ解約されます。
だから、無理に押し込んだ受注は会社にとってマイナスになります。数ヶ月で解約されれば、獲得にかかった費用が回収できません。
この構造を理解しているかどうかが、書類の段階で見られています。
そして、この理解を示すのは難しくありません。「合わない相手には売らなかった」経験を一つ書けば済みます。
この記事では、他業界の営業経験の翻訳方法、扱う数字、商談の型の示し方、例文6パターン、そして面接での追撃質問への答え方を整理します。
1. 結論:入れる要素は3つ
- 数字で管理していた経験(件数、率、期間)
- 相手の課題を聞き出して提案を変えた経験
- 合わない相手に売らなかった経験
3番目が、この職種特有の要素です。
多くの応募者は1番目だけを書きます。目標達成率と受注件数の列挙で終わっている書類が、最も多い。
| 書くもの | 示していること |
|---|---|
| 数字の管理 | 営業としての基礎 |
| 課題を聞いて提案を変えた | 御用聞きではない |
| 売らなかった経験 | 継続を前提にした判断 |
3番目を書ける人は、書類の段階で明確に差がつきます。
「導入しても運用する人員が確保できないと分かった案件は、時期を改めるご提案に切り替えました」
この一文だけで、構造を理解している人だと伝わります。
2. なぜ「目標達成」だけでは通らないのか
SaaSの収益構造が、単発の売り切りと違うからです。
月額課金のサービスでは、契約から数ヶ月〜1年かけて、獲得にかかった費用を回収します。その前に解約されると、売れば売るほど赤字になります。
| 売り切りの営業 | SaaS営業 |
|---|---|
| 受注した時点で収益 | 使い続けて初めて収益 |
| 件数が正義 | 続く件数が正義 |
| 押し込みも成立する | 押し込みは損失 |
| 導入後は別部門 | 導入後の定着まで関わる |
だから、SaaS営業の採用では「継続する顧客を取れる人」が求められます。
書類でこれを示す方法は3つあります。
- 売らなかった判断を書く
- 受注後のフォローに関わった経験を書く
- 継続率や更新率の数字を書く
3番目が書ければ最強ですが、他業界だと持っていないことが多い。その場合は1番目と2番目で代替できます。
「受注後」に関わった経験を探す
前職で、次のような経験があれば書いてください。
- 納品後のフォローを自分でしていた
- クレームや不具合の対応をしていた
- リピート受注を取っていた
- 契約更新の交渉をしていた
特に4番目は、そのままSaaS営業の言葉になります。
「年間契約の更新交渉を担当し、更新率92%を維持していた」。これはSaaS営業の実績とほぼ同じ意味を持ちます。
3. 扱う数字の種類
SaaS営業が見る数字を知っておくと、自分の経験を翻訳しやすくなります。
| 数字 | 意味 |
|---|---|
| 商談化率 | 問い合わせのうち商談になった割合 |
| 受注率 | 商談のうち受注した割合 |
| 商談期間 | 初回接触から受注までの日数 |
| 平均単価 | 1契約あたりの月額 |
| 継続率 | 契約が続いている割合 |
| 目標達成率 | 予算に対する実績 |
他業界の営業でも、上の3つは必ず持っています。
訪問数のうち提案に進んだ割合、提案のうち受注した割合、初回から契約までの日数。名前が違うだけで、同じものです。
自分の経験を、この3つの数字に置き換えて書き直してください。
数字が手元にない場合
件数と期間で代替できます。
「月に約20件の商談を担当し、うち5件前後が受注に至っていました」。これで受注率25%が伝わります。
率を計算して書くほうが読みやすいですが、正確な数字が出せないなら、件数を書いて読み手に計算させるほうが誠実です。
4. 例文6パターン
そのまま使える形で6つ用意しました。数字と固有名詞を自分のものに差し替えてください。
例文1:無形商材の法人営業から
前職では法人向けの広告枠の提案営業を担当し、月に約25件の商談を扱っていました。受注率は約3割で、部内平均を2ポイント上回っています。提案の際は、まず先方の目標の数字と、それを追っている担当者の評価軸を確認するようにしていました。予算はあっても目標が定まっていない先は、成果が出ずに翌期の継続に至らないためです。実際に、目標が明確でない先への提案は時期を改める判断をしており、継続率は担当先で8割を維持していました。契約後も使われ続けるかどうかが問われるSaaS営業を志望しています。
例文2:有形商材の法人営業から
前職では製造業向けの機器販売を担当し、年間約40件の商談を扱っていました。単価が高く導入判断に3〜6ヶ月かかるため、初回訪問で決裁の流れと関与する部署を必ず確認しています。この確認を徹底したことで、商談期間は平均5.2ヶ月から4.1ヶ月に短縮しました。また、納品後の稼働状況を四半期ごとに確認する運用を自分で作り、追加受注につなげています。売って終わりではない関わり方を、SaaSの領域で続けたいと考えました。
例文3:個人向け営業から
前職では個人向けの金融商品の提案を担当し、月に約60件の面談を行っていました。契約後の解約が業界的に多い商材であったため、面談時に必ず「今の生活で無理なく続けられる金額か」を確認しています。無理があると判断した場合は、金額を下げた提案か、時期を改めるご案内に切り替えていました。結果として、自分の担当分の1年以内解約率は部署平均の半分以下に収まっています。続くことを前提に売る考え方は、SaaS営業でも同じだと考えています。
例文4:インサイドセールスから
前職では問い合わせへの一次対応を担当し、月に約200件を扱っていました。商談化率が15%で頭打ちだったため、商談化しなかった理由を分類したところ、4割が「担当者が決裁に関与していない」でした。初回のヒアリング項目に決裁者の関与を追加し、関与がない場合は決裁者への同席を依頼する運用に変更した結果、商談化率は22%まで上がっています。あわせて、その後の受注率も5ポイント改善しました。
例文5:カスタマーサポートから営業へ
前職ではSaaSのサポート窓口を担当し、月間約400件の問い合わせに対応していました。解約の申し出があった顧客の利用状況を確認したところ、8割が特定の機能を一度も使っていませんでした。導入から1ヶ月時点でその機能の案内を送る運用を提案し、実施後の半年で該当層の解約率は6%から3.5%に下がっています。顧客が使い続けられる形で提案する仕事を、営業側から担いたいと考え志望しました。
例文6:販売・店舗から
前職では携帯販売店で接客を担当し、月に約80件の契約を扱っていました。契約後の解約や苦情が発生しやすい商材のため、提案時に使用頻度と利用目的を必ず確認し、合わないプランは勧めない方針で対応しています。結果として、担当分の契約は3ヶ月以内の解約が店舗平均の3分の1でした。件数だけでなく、続く契約を作ることを重視した経験を、SaaS営業で活かしたいと考えています。
5. 商談の型の示し方
SaaS営業の書類で、他の応募者と差がつくのが「商談の型を持っているか」です。
型とは、毎回の商談で必ず確認する項目のことです。
| 確認する項目 | なぜ必要か |
|---|---|
| 現状の進め方 | 課題の前提が分かる |
| 困っている場面 | 導入の理由になる |
| 決裁の流れ | 誰を動かせばいいか |
| 導入後の運用担当 | 定着するかが分かる |
| 導入したい時期 | 商談の優先度が決まる |
この5つを毎回聞いていた、と書けるなら書いてください。
特に4番目が、SaaS営業らしい項目です。
導入を決める人と、実際に使う人が違うのがこの商材の特徴です。使う人の人数と余力を確認しないまま契約すると、使われずに解約されます。
「導入後に運用を担当される方の人数と、他の業務との兼務状況を必ず確認していました」
この一文が書けると、経験者に近い理解を持っていると判断されます。
6. 落ちる自己PR5つ
| 書き方 | どう受け取られるか |
|---|---|
| 目標達成率だけを並べる | 押し込み型に見える |
| 「粘り強く」「諦めず」 | 数で当てる型に見える |
| 数字が一つもない | 営業職では致命的 |
| 受注後の話が一切ない | 構造を理解していない |
| 「コミュニケーション能力」 | 根拠がない |
2番目に補足します。
「粘り強く提案を続けた」「断られても諦めなかった」。他業界の営業では美点ですが、SaaS営業では警戒されます。
合わない相手に粘ることが、そのまま早期解約につながる構造だからです。
書くなら、粘る対象を明確にしてください。「決裁者に会えるまで担当者と関係を作り続けた」であれば、粘る方向が正しい。
7. 面接で追撃される3問
質問1:「売らない判断をした具体例を教えてください」
この職種では最も重要な質問です。
「導入いただける予算はあったものの、運用を担当される方が他業務と兼務で、稼働の余力がない状況でした。導入しても使われないと判断し、半期後の体制が整う時期に改めてご提案する形に切り替えています。実際に、その後ご契約いただき、現在も継続しています」
「売らなかった」だけで終わらせず、後にどうなったかまで話せると強い。
質問2:「解約されたことはありますか」
「ありません」は良い答えではありません。件数が少ないか、隠しているかのどちらかに見えます。
「あります。導入時に運用担当の方が異動され、引き継ぎがされないまま利用が止まった案件です。振り返ると、担当者一人に依存した提案になっていました。以降は、複数名に説明する場を作るようにしています」
失敗と、そこから変えた行動をセットで話してください。
質問3:「当社の商材をどう売りますか」
準備なしでは答えられない質問です。
事前に、その会社のサービスが誰のどんな困りごとを解決するのかを、自分の言葉で1文にまとめておいてください。
「サイトを拝見した限りでは、○○の作業を手作業で行っている企業が対象だと理解しています。まず、その作業に月何時間かけているかを伺うところから始めます」
完璧に当てる必要はありません。仮説を持って臨んだ形跡があれば十分です。
8. 応募先別の書き分け
| 応募先 | 強調する材料 |
|---|---|
| 大手向けSaaS | 決裁の流れ、長い商談期間 |
| 中小向けSaaS | 商談数、回転の速さ |
| インサイドセールス採用 | 件数、商談化率 |
| フィールドセールス採用 | 受注率、提案の中身 |
大手向けと中小向けで、求められる型が違います。
大手向けは商談が3〜6ヶ月かかり、関与者が多い。決裁の流れを整理した経験が刺さります。
中小向けは商談が数週間で決まり、件数を回します。処理の速さと件数が刺さります。
求人票の「平均商談期間」や「対象企業規模」を見て、書く比重を変えてください。
9. よくある質問
Q. 未経験でもSaaS営業に入れますか
営業経験があれば、業界未経験でも入口は広い職種です。
商材の知識より、商談の型を持っているかが評価軸のため、他業界の営業経験がそのまま材料になります。
Q. IT の知識は必要ですか
書類の段階では不要です。
面接前に、応募先のサービスが何をするものかを説明できる程度にしておけば十分です。技術的な仕組みまで理解する必要はありません。
Q. インサイドセールスとフィールドセールス、どちらから入るべきですか
営業経験が浅い場合、インサイドセールスから入るほうが入口は広い。
件数をこなす中で商材と顧客の型が身につくため、その後フィールドセールスに移る道筋が社内に用意されている会社が多いのが特徴です。
Q. 年収はどのくらいですか
会社と役割で幅が大きく、一律には言えません。
インセンティブの比率が高い会社と、固定給中心の会社があります。求人票では「固定給と変動給の内訳」を必ず確認してください。
Q. 目標が高くてきついと聞きます
会社によって差が大きい部分です。
面接で、「直近の期の目標達成者の割合」を聞くのが最も確実です。半数以上が達成している会社と、2割しか達成していない会社では、設計思想が違います。
Q. 個人向け営業の経験でも書けますか
書けます。特に、継続課金の商材(保険、通信、サブスク型のサービス)の経験は、そのまま翻訳できます。
「続く契約を作った経験」として書いてください。
Q. 商材への興味は必要ですか
必要ですが、優先度は高くありません。
「この商材が好きだから」より、「この商材が解決している困りごとが分かる」ほうが評価されます。前職で自分が困っていたことと重なるなら、それを書いてください。
Q. 自己PRは何字くらいが適切ですか
400〜600字が目安です。
例文の1つ分がおおよそこの分量です。複数のエピソードを詰め込むより、1つを4段構成で書くほうが伝わります。
10. まとめ:今週やる3つのこと
1. 前職の営業実績を、件数・率・期間の3つに整理する。これがSaaS営業の言葉になります。
2. 「売らなかった」「時期を改めた」判断を一つ思い出す。これが最も差がつく材料です。
3. 受注後に何をしていたかを1文で書く。フォロー、更新交渉、クレーム対応、どれでも構いません。
目標達成率の羅列で終わらせないことが、この職種の書類の要点です。
この先、読むべき記事
- SaaS営業の面接|第二新卒が聞かれる想定問答16と、評価される答え方(面接の対策)
- インサイドセールスの自己PR|例文6パターンと架電の数字化(内勤側の自己PR)
- フィールドセールスの自己PR|例文6パターンと商談の数字化(外勤側の自己PR)
- IT営業の志望動機|未経験・第二新卒の例文5パターンと落ちる書き方(IT営業の志望動機)
- 営業職の自己PR|第二新卒の書類が通る例文6パターンと数字の出し方(営業の自己PR全般)
- SaaS営業の志望動機|未経験・第二新卒の例文5パターンと落ちる書き方(志望動機の書き方)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。