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業界・職種研究

広告業界研究|第二新卒が4つの型で理解する収益構造と職種【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月5日 読了 約18分
広告業界研究|第二新卒が4つの型で理解する収益構造と職種【2026年版】

〜「広告代理店」と一括りにすると、面接で何も答えられなくなります〜

広告業界は、第二新卒に人気があります。テレビCMやWeb広告など、身近な成果物が目に見える業界であり、若手の採用も活発だからです。

ただ、この業界を志望する人の多くが、「広告代理店」を1つの業態として捉えています。

実際には、総合代理店、専門代理店、運用型のデジタル代理店、そして媒体社。この4つは、収益構造も、日々の仕事も、求められる能力もまったく違います。

そして面接では、必ずこう聞かれます。

「なぜ広告業界なのですか」「なぜ弊社なのですか」

4つの型の違いを理解していないと、この2問に答えられません。

この記事は、面接前に押さえておくべき業界の構造を、最短で整理するためのものです。

1. 結論:広告業界は4つの型に分かれる

何をするか収益未経験の入りやすさ
総合広告代理店大手クライアントの広告全般を統括手数料(媒体費の一定割合)
専門広告代理店特定の媒体・業界に特化手数料、制作費
運用型(デジタル)代理店検索・SNS広告の運用代行運用手数料(広告費の20%前後)
媒体社(メディア)自社の広告枠を販売掲載料

第二新卒が最も入りやすいのは、下の2つです。

運用型代理店は、デジタル広告の需要拡大に伴って人材が不足しており、未経験採用が活発です。媒体社は、自社の広告枠を売る営業職なので、営業経験があれば翻訳しやすい領域です。

総合広告代理店は、新卒採用が中心で、中途は経験者採用が主流です。第二新卒での応募は可能ですが、競争は厳しくなります。

2. 収益構造の違い

この違いが、そのまま働き方の違いになります。

総合・専門代理店:手数料モデル

クライアントの広告費を預かり、媒体に出稿し、その一定割合を手数料として受け取ります。

この構造から生じること

  • 広告費が大きいほど、代理店の収益も大きくなる
  • したがって、大手クライアントを持つことが重要になる
  • 1件あたりの案件規模が大きく、関わる人数も多い

運用型代理店:運用手数料モデル

クライアントの広告予算を、検索広告やSNS広告に配分し、成果を改善する対価として手数料を受け取ります。手数料率は広告費の20%前後が一般的です。

この構造から生じること

  • 成果が数字で明確に見える(クリック数、申込数、獲得単価)
  • 成果が出ないと、予算を減らされる=収益が減る
  • 日々の運用が業務の中心。管理画面を毎日見る

媒体社:掲載料モデル

自社が持つ媒体(Webサイト、雑誌、フリーペーパー、屋外広告など)の広告枠を販売します。

この構造から生じること

  • 掲載時点で収益が確定する
  • ただし、掲載後に成果が出ないと、次回の受注につながらない
  • 原稿の質と、掲載後のフォローが重要になる

面接で「弊社はどうやって収益を得ていると思いますか」と聞かれたとき、この構造で答えられれば十分です。

3. 編集長の実体験:媒体社の営業をしていた話

私自身、前職でメディア広告の営業をしていました。媒体社の営業です。

当時の仕事

「飲食・宿泊・レジャー業界のお客様に、自社メディアの広告枠を提案する仕事だった。担当は年間で約40社。

掲載が決まった時点で売上は立つ。ただ、掲載して集客が増えなければ、次の更新は取れない

この「更新」が、媒体社の営業の本質でした。

新規と更新の違い

「新規で取るのは大変だけど、更新のほうが利益率が高い。だから、掲載後にどれだけ成果が出るかが、次の売上を決める。

それで私は、掲載後の1ヶ月時点で必ず数字を持って訪問するようにした。問い合わせが何件来たか、その内訳はどうか。

数字が悪ければ、原稿の写真や見出しを変える提案をする。これをやるようになってから、更新率が上がった」

もう1つ、当時気づいたことがあります。

クライアント側の事情

「担当していた飲食店の多くは、うちの媒体だけでなく、Web広告も並行して回していた。

ある店主に『どっちが効いてるんですか』と聞いたら、『Webのほうが数字が見える』と言われた。クリック数も、予約数も、1件あたりのコストも全部出る

「紙の媒体だと、『掲載して何件来たか』を正確には測れない。この差が、業界の構造そのものを変えていた

この経験が、私が転職を考えたきっかけの1つでした。

広告業界を志望する第二新卒に伝えたいのは、この点です。

「数字で成果が測れるか」が、この業界の中で領域を分けています。運用型のデジタル広告は測れる。マス広告や紙媒体は測りにくい。この違いを理解したうえで、どちらに行きたいかを選んでください。

4. 広告業界の職種

職種何をするか未経験の入りやすさ前職で有利になる経験
営業(アカウントプランナー)クライアントの窓口、提案営業全般
運用(広告運用コンサルタント)検索・SNS広告の出稿と改善数字を扱った経験
メディアプランナー媒体の選定と予算配分数字の分析
クリエイティブディレクター表現の方向を決める×制作経験
コピーライター文章の制作ポートフォリオが必要
デザイナー制作物のデザインポートフォリオが必要
制作進行・ディレクター制作の進行管理進行管理の経験
媒体社の営業自社の広告枠の販売営業全般

第二新卒が最も入りやすいのは、営業・運用・媒体社の営業の3つです。

運用職について

運用型代理店の広告運用は、未経験採用が最も活発な職種のひとつです。

ただし、実務の8割は地味な数字の作業です。毎朝、管理画面を開いて前日の数字を確認し、成果の悪いキーワードを止めて、良いところに予算を寄せる。この繰り返しです。

「企画を考える仕事」というイメージで入ると、ギャップが生じます。面接では、この実態を理解していることを示してください。

5. 業界研究の進め方(合計2時間)

時間やること
30分応募先が4つの型のどれかを判別する
30分応募先の主なクライアント業種を確認する
30分応募先の実績・事例ページを3本読む
30分前職での「数字を見て改善した経験」を整理

1番目の判別方法

判別のポイントどの型か
「統合的なコミュニケーション」「マス4媒体」総合代理店
「◯◯業界に特化」「◯◯媒体に強み」専門代理店
「運用型広告」「リスティング」「SNS広告」運用型代理店
「自社メディア」「◯◯(媒体名)を運営」媒体社

企業サイトの事業紹介ページで、ほぼ判別できます。

2番目のクライアント業種も重要です。

前職と同じ業界のクライアントを持つ企業なら、その業界知識がそのまま強みになります。飲食出身なら飲食に強い代理店、医療事務出身なら医療系に強い代理店。これは、志望動機の最も強い材料になります。

6. 面接で追撃される5つの質問

Q1.「なぜ広告業界を志望するのですか」

「クリエイティブな仕事に興味がある」は避けてください。広告業界の仕事の大半は、クリエイティブではなく調整と数字の管理です。

答え方の例

「前職の販売職で、店舗のSNSを運用していました。投稿の内容によって来店数が変わることを実感し、告知の設計そのものに関心を持ちました。特に、数字で効果を確認できる領域に取り組みたいと考え、運用型の広告を志望しています。」

Q2.「弊社はどうやって収益を得ていると思いますか」

第2章の内容で答えてください。「クライアントの広告費の一定割合を、運用手数料として受け取る形と理解しています」。

Q3.「総合代理店ではなく、なぜ運用型なのですか」

4つの型の違いを理解しているかを測る質問です。

答え方の例

「成果が数字で明確に見える点です。総合代理店が扱うマス広告は、影響範囲が大きい一方、個別の施策の効果を切り分けるのが難しいと理解しています。運用型は、予算の配分を変えた結果が翌日には数字で返ってくる。この短いサイクルで改善を繰り返す形が、自分に合っていると考えています。」

Q4.「広告運用は地味な作業が多いですが、大丈夫ですか」

実態を知っているかを測る質問です。「管理画面を毎日確認し、数値の変化を追う業務が中心だと理解しています。前職でも◯◯の数字を毎日記録していました」と、経験に紐づけてください。

Q5.「激務と言われますが、大丈夫ですか」

正直に理解を示してください。「クライアントの都合に合わせる必要があり、繁忙の波があると理解しています。前職でも◯◯の時期は業務量が増えていました」。そのうえで、面接で「直近3ヶ月の平均残業時間」を確認してください。

7. 「激務」と言われる理由

広告業界には、労働時間が長くなりやすい構造的な要因があります。

要因内容
クライアントの都合に合わせる修正依頼が夕方以降に来ることがある
修正の往復が多い制作物は何度も直しが入る
案件の同時進行1人が複数クライアントを担当
キャンペーンの時期に集中出稿の開始前後に業務が集中
数字への責任成果が出ないと予算を減らされる

ただし、企業による差が非常に大きい領域です。

面接で確認すべき4項目

確認項目聞き方
1人あたりの担当社数「1人あたり、何社くらいを担当されますか」
直近の残業時間「配属予定の部署の、直近3ヶ月の平均残業時間を教えてください」
繁忙のタイミング「業務が集中する時期はいつでしょうか」
分業の状況「営業と運用は、分業されていますか」

4番目が重要です。営業と運用を1人で兼務する体制だと、業務量が明確に増えます。

8. 年収と、その後のキャリア

職種未経験入社時3年後
運用(デジタル広告)300〜400万円450〜650万円
営業(代理店)320〜420万円450〜700万円
媒体社の営業320〜420万円+インセンティブ450〜650万円
制作進行300〜380万円400〜550万円

広告業界で身につくものは、他業界でも通用します。

移り先活きる経験
事業会社のマーケティング広告運用、効果測定の経験
事業会社の広報・宣伝媒体の知識、制作の進行
SaaS企業のマーケティングデジタル施策の設計と実行
EC担当集客と数字の改善
フリーランスの広告運用実務経験3年以上が目安

特に、運用型代理店で3年の経験を積むと、事業会社のマーケティング職への転職が現実的になります。代理店で複数クライアントの運用を経験しているため、1社しか見ていない事業会社の担当者より、経験の密度が高いためです。

9. よくある質問

未経験でも広告業界に入れますか?

入れます。特に運用型代理店と媒体社の営業は、未経験採用が活発です。営業・販売・接客の経験があれば、翻訳して応募できます。総合代理店は経験者採用が中心のため、難易度が上がります。

総合代理店と運用型、どちらがいいですか?

身につくものが違います。総合代理店は大規模な案件の統括とマス媒体の知識、運用型はデジタル広告の実務と数字の改善力が身につきます。第二新卒の入りやすさは運用型が上です。

「クリエイティブな仕事」ではないのですか?

クリエイティブ職(コピーライター、デザイナー、CD)は、広告業界の中の一部です。営業・運用・進行管理は、調整と数字の管理が中心になります。制作そのものに関わりたい場合、クリエイティブ職を志望する必要があり、その場合はポートフォリオが求められます。

資格は必要ですか?

必須の資格はありません。運用職を目指す場合、主要な広告プラットフォームの認定資格(無料・オンライン受験)を取得しておくと、本気度の証明になります。学習期間は数週間です。

激務ですか?

企業と時期による差が大きい領域です。クライアントの都合に合わせる構造上、業務量が読みにくい面はあります。面接で「1人あたりの担当社数」「直近3ヶ月の平均残業時間」「営業と運用の分業状況」を必ず確認してください。

数字が苦手ですが、大丈夫ですか?

運用職は数字を毎日見る仕事なので、抵抗があると厳しいです。ただし、高度な統計知識は不要で、四則演算と割合の理解があれば足ります。「数字を見るのが苦痛か」を、自分で確認してから応募してください。

インターネット広告と、マス広告のどちらが将来性がありますか?

市場としては、インターネット広告が伸びている状況が続いています。ただし、マス広告が不要になるわけではなく、両方を組み合わせる設計が求められる場面もあります。第二新卒としては、まず数字で成果が見える領域(運用型)で実務を積むほうが、その後の選択肢が広がります。

広告業界から他業界へ移れますか?

移れます。特に、事業会社のマーケティング職への転職は一般的なルートです。代理店で複数クライアントの運用を経験していると、1社しか見ていない事業会社の担当者より経験の密度が高く、評価されます。

10. まとめ:今夜やる3つのこと

広告業界の面接では、4つの型の違いと収益構造を理解しているかが、最初の関門です。

今夜やること

① 応募先が総合・専門・運用型・媒体社のどれかを判別する(企業サイトの事業紹介ページで分かります)

② 応募先の主なクライアント業種を確認する(前職と同じ業界なら、それが最大の武器になります)

③ 応募先の実績・事例ページを3本読む(どんな課題に、どう対応したかが分かります)

②が、志望動機で最も効く材料です。「前職で◯◯業界のお客様を担当していたため、その業界の事情については理解できる部分があります」——この一言があるかないかで、書類の印象が変わります。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。