広告代理店の面接|第二新卒が聞かれる想定問答12と実態を押さえた答え方【2026年版】
〜「華やか」という言葉を使った瞬間に、印象が下がります〜
広告代理店は、第二新卒の応募が多く集まる業界です。
そして、面接官が最も警戒しているのが、業界のイメージだけで応募してくる人です。
広告代理店の仕事の大半は、企画ではありません。
クライアントとの調整、媒体社との交渉、進行の管理、数字の報告。地道な業務が中心です。
「クリエイティブな仕事がしたい」「華やかな業界に興味がある」という志望動機は、この時点で外れています。
私自身、広告代理店で法人営業を1年半やっていました。
実際にやっていたのは、提案書の作成、媒体の空き枠の確認、原稿の入稿管理、そして効果の報告でした。
この記事では、一次・二次・最終の段階別に12問と、実態を押さえた答え方を整理します。
1. 結論:広告代理店の面接は3つの軸で採点されている
| 軸 | 見られること | 段階 |
|---|---|---|
| ① 調整ができるか | 複数の関係者の間に立てるか | 二次が中心 |
| ② 数字を扱えるか | 効果を数字で説明できるか | 二次・最終 |
| ③ 業務量に耐えられるか | 複数案件の同時進行に対応できるか | 全段階 |
①が、この業界の中核です。
広告代理店の営業は、クライアント、社内の制作、媒体社の3者の間に立ちます。
それぞれの要求が食い違うのが日常で、その調整が業務の実質です。
「一人で完結する仕事がしたい」人には、向いていません。
そして、③は正直に確認してください。案件数と繁忙期の実態は、面接で聞くべき項目です。
2. 一次面接(人事・営業リーダー)で聞かれる5問
2-1. Q1「自己紹介をお願いします」
「前職では、人材サービス企業で法人営業を1年半担当しておりました。中小企業を中心に約25社を担当し、新規開拓と既存顧客のフォローの両方を経験しております。訪問記録の管理方法を自分で整理し、月間の訪問件数を35件から48件に増やした経験がございます。複数の顧客を同時に担当し、それぞれの状況を把握しながら進める仕事に向いていると考え、広告代理店を志望しております。」
「複数を同時に担当する」という要素を入れてください。
この業界では、同時進行の能力が最も評価されます。
2-2. Q2「広告代理店の仕事は、どんな仕事だと思いますか」
| 浅い答え | 深い答え |
|---|---|
| 広告を作る仕事 | クライアントの課題を、広告という手段で解決する仕事 |
| クリエイティブな仕事 | 調整と進行管理が業務の中心の仕事 |
| 企業のPRを手伝う仕事 | 予算の中で、最も効果が出る配分を設計する仕事 |
回答例
「業務の中心は、クライアントと制作、媒体社の間の調整と進行管理だと理解しています。企画やクリエイティブの部分は、業務全体の一部で、それ以外の、スケジュールの管理、原稿の確認、効果の報告といった実務が大半を占めると考えております。
そのうえで、予算の中でどの媒体にどう配分するかを設計することが、営業の価値だと理解しています。」
「調整と進行管理が中心」と言い切ってください。
ここで「クリエイティブ」を強調すると、実態を知らないと判断されます。
2-3. Q3「なぜ広告代理店を志望するのですか」
回答例
「前職の人材営業では、提供できる手段が『人材の紹介』1つでした。顧客の課題が別のところにあっても、それ以外の提案ができませんでした。
広告代理店であれば、媒体も手法も複数あり、課題に応じて手段を選べます。顧客の課題に対して、複数の選択肢から組み立てる仕事がしたいと考えています。」
「華やか」「クリエイティブ」「憧れ」は使わないでください。
2-4. Q4「同時に何件くらい案件を持てると思いますか」
軸③を見る質問です。
回答例
「案件の規模によると理解していますが、前職では25社を同時に担当しておりました。
ただ、件数より、進行の状況を把握できているかが重要だと考えています。前職では、各社の次のアクションを一覧にして、毎朝確認する運用にしていました。この形であれば、件数が増えても抜けが出にくくなります。
御社では、1人あたり何件程度を担当されることが多いでしょうか。」
「管理の仕組みを持っている」ことを示してください。
件数だけを答えると、根拠のない自信に見えます。
2-5. Q5「なぜ弊社ですか」
回答例
「御社は、デジタル広告の運用まで社内で完結される体制だと事業紹介にありました。提案して終わりではなく、配信後の運用と改善まで担当できる点に関心があります。
効果の数字を見て、次の配分を決めるところまで関われる環境で働きたいと考えております。」
総合代理店、ネット専業、ハウスエージェンシー。この違いは必ず調べてください。
業務内容がまったく違います。
3. 二次面接(営業部長・局長)で聞かれる4問
3-1. Q6「クライアントが急に内容を変更したいと言ってきました。制作は既に着手しています。どうしますか」
この質問(またはその変形)が、必ず出ます。
回答例
「まず、変更の内容と理由を確認します。クライアント側で何が変わったのかによって、対応が変わります。
次に、制作に確認します。どこまで進んでいて、変更するとどのくらいの追加工数と日数がかかるか。ここを確認せずに『できます』と答えると、後で全員が困ります。
そのうえで、クライアントに3つを伝えます。変更した場合の納期、追加の費用、そして変更しない場合の代替案です。選択肢を提示して、判断してもらいます。
最後に、決まった内容を書面で残します。口頭での合意だけだと、後で認識がずれます。」
「確認→影響の把握→選択肢の提示→書面化」の4段階です。
「クライアントの要望なので対応します」だけだと、社内を疲弊させる人に見えます。
3-2. Q7「広告の効果が出ていないと言われたら、どうしますか」
軸②を見る質問です。
回答例
「まず、何をもって効果と定義していたかを確認します。認知なのか、問い合わせ数なのか、受注なのか。ここが合っていないと、話が噛み合いません。
次に、数字を分解します。表示された回数、クリックされた回数、問い合わせにつながった回数。どこで落ちているかによって、打つ手が変わります。
表示が足りないなら予算か配信設定、クリックが低いならクリエイティブ、問い合わせが少ないなら遷移先のページ。この順で切り分けます。」
「定義の確認→数字の分解→段階別の対処」です。
この分解ができると、軸②を満たしていることが伝わります。
3-3. Q8「業務量が多い業界ですが、大丈夫ですか」
正直に、かつ仕組みで答えてください。
回答例
「繁忙期に業務が集中することは理解しております。
前職でも、月末に契約手続きが集中する時期があり、その期間は通常の1.5倍の業務量になっていました。その際は、前倒しできる作業を月中に済ませ、月末は判断が必要な業務だけを残すようにしていました。
ただ、御社の繁忙期がどの時期で、どのくらいの差があるかを伺えますでしょうか。」
「大丈夫です」だけでは、実態を知らない人に見えます。
そして、聞き返してください。実態を知ろうとする姿勢は、この業界では加点になります。
3-4. Q9「前職で、複数の関係者を調整した経験を教えてください」
軸①を示す質問です。
回答例
「前職で、クライアントの採用担当者と、現場の部長の意向が食い違っていた案件がありました。採用担当は経験者を求めていましたが、現場は未経験でも人数を優先したいという状況でした。
そこで、両者に別々に確認して、それぞれが何を優先しているかを整理しました。採用担当は教育コストを、現場は納期を懸念していました。
そのうえで、未経験者を採用する代わりに、入社後の教育プログラムを提示する形で提案しました。結果として、両者が合意しました。」
「別々に確認して、優先順位を整理した」という手順を出してください。
4. 最終面接(役員・営業本部長)で聞かれる3問
4-1. Q10「3年後、どうなっていたいですか」
回答例
「3年後には、担当するクライアントについて、年間の広告予算の設計を任される状態を目指しています。
単発の出稿に対応するのではなく、年間を通じてどの時期にどの媒体を使うかを提案できる立場になりたいです。そのために、まず媒体の特性と数字の見方を身につけます。」
4-2. Q11「当社の課題は何だと思いますか」
回答例
「外部から見える範囲での認識ですが、デジタル領域は各社が強化されており、差別化が難しくなっていると理解しています。
御社は運用まで社内で完結される体制をお持ちなので、そこが強みになると考えていますが、社内ではどう捉えられていますでしょうか。」
断定せず、最後を質問にしてください。
4-3. Q12「他社の選考状況を教えてください」
「現在、3社の選考が進んでおります。いずれも広告関連の企業で、代理店と事業会社のマーケティング職を見ております。御社が第一志望です。」
5. 面接前日の準備(75分)
| # | やること | 時間 |
|---|---|---|
| 1 | 応募先が総合/ネット専業/ハウスエージェンシーのどれかを確認 | 20分 |
| 2 | Q6の「確認→影響→選択肢→書面化」を声に出す | 15分 |
| 3 | Q7の「定義→分解→段階別」を声に出す | 15分 |
| 4 | Q9の調整の経験を1本仕上げる | 15分 |
| 5 | 逆質問を3つ書き出す | 10分 |
逆質問の例
| 質問 | 何が分かるか |
|---|---|
| 「1人あたり何社くらい担当されますか」 | 業務量 |
| 「繁忙期はいつごろで、通常とどのくらい差がありますか」 | 働き方の実態 |
| 「配信後の運用は、営業が担当されますか」 | 担当範囲 |
6. 落ちる回答の型5つ
| # | 型 | なぜ落ちるか |
|---|---|---|
| ① | 「華やか」「クリエイティブ」を志望動機に使う | 実態を知らないと判断される |
| ② | Q6で「クライアントの要望なので対応します」 | 社内を疲弊させる人に見える |
| ③ | Q8に「大丈夫です」だけで答える | 実態を確認していない |
| ④ | Q7で数字を分解できない | 効果の説明ができない人に見える |
| ⑤ | 総合代理店とネット専業の違いを知らない | 調べていないことが伝わる |
7. 代理店の3つの型を押さえる
| 型 | 特徴 | 第二新卒の入りやすさ |
|---|---|---|
| 総合代理店 | マス媒体からデジタルまで扱う | やや狭い |
| ネット専業 | デジタル広告に特化。運用まで担当 | 広い |
| ハウスエージェンシー | 特定企業グループの広告を担当 | 中 |
| 制作会社 | 制作に特化。営業は窓口 | 中 |
第二新卒から最も入りやすいのは、ネット専業です。
理由は、市場が拡大しており、採用の数が多いことです。
そして、ネット専業では、営業が配信後の運用まで担当することが多くあります。
提案して終わりではなく、数字を見て改善する経験が積めます。
業界の収益構造については、広告業界研究の記事にまとめています。
8. 面接で見られている振る舞い
| 場面 | 見られていること |
|---|---|
| 話の長さ | 簡潔に話せるか(クライアントへの説明能力) |
| 質問の受け方 | 聞かれたことに答えているか |
| 数字の扱い | 概算か正確な値かを区別できているか |
| 反応の速さ | 間が空きすぎないか |
この業界では、「相手の質問に、簡潔に答える」ことが実務能力そのものです。
クライアントへの説明が長い営業は、信頼されません。
1つの回答は、1分以内に収めてください。
9. よくある質問
広告代理店は激務ですか?
企業と部署によります。ただし、複数案件の同時進行が前提の業界であり、繁忙期の業務量は多くなる傾向があります。面接で「1人あたりの担当社数」と「繁忙期の実態」を必ず確認してください。
未経験でも入れますか?
入れます。特にネット専業の代理店では、第二新卒の採用が活発です。営業経験があると有利ですが、必須ではありません。
総合代理店とネット専業、どちらがいいですか?
積める経験が違います。総合代理店はマス媒体を含む幅広い提案、ネット専業はデジタルの運用まで担当します。数字を見て改善する経験を積みたいなら、ネット専業が向いています。
クリエイティブの仕事はできますか?
営業職では、制作の指示や進行管理が中心です。自分で制作するわけではありません。制作を担当したい場合は、制作職として応募する必要があります。
数字が苦手ですが、大丈夫ですか?
厳しくなります。デジタル広告では、効果を数字で説明することが業務の中心です。ただし、必要なのは高度な分析ではなく、四則演算と割合の理解です。
広告の資格は必要ですか?
必須ではありません。入社後に、各媒体の認定資格を取得する形が一般的です。ただし、事前に媒体の管理画面に触れた経験があると、面接で話せる材料になります。
転勤はありますか?
総合代理店では、拠点間の異動がある場合があります。ネット専業では、拠点が限られることが多く、転勤の可能性は低くなります。求人票の勤務地欄で確認してください。
年収はどのくらいですか?
企業規模と型によって差が大きい業界です。総合代理店の大手と、中小のネット専業では水準が異なります。また、みなし残業が設定されていることが多いため、求人票の給与欄の但し書きを必ず確認してください。
10. まとめ:前日にやる3つのこと
広告代理店の面接では、業界のイメージで応募していないかが最も見られます。
業務の中心は、調整と進行管理です。「華やか」「クリエイティブ」という言葉を使った瞬間に、印象が下がります。
前日にやること
① 応募先が総合/ネット専業/ハウスエージェンシーのどれかを、会社サイトで確認する
② 「クライアントが急に変更したいと言ったら」の答えを、確認→影響→選択肢→書面化の順で声に出す
③ 前職で「複数の関係者を調整した」経験を1本書き出す
目安時間:合計50分
③が最も重要です。
広告代理店の営業は、クライアント、制作、媒体社の3者の間に立ちます。
この経験が1本あると、軸①を満たしていることが伝わります。
この先、読むべき記事
- 広告代理店の志望動機|未経験・第二新卒の例文5パターンと落ちる書き方(志望動機の作り方)
- 広告業界研究|第二新卒が4つの型で理解する収益構造と職種(業界の理解)
- 事業会社マーケティングの面接|第二新卒が聞かれる想定問答14と評価される答え方(事業会社側の選択肢)
- みなし残業を見抜く5項目|第二新卒が求人票の年収の中身を確認する手順(給与欄の確認)
- 面接の逆質問|第二新卒がそのまま使える30例と聞いてはいけない質問(逆質問の準備)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。