企業の発信から実態を読む|第二新卒がSNS・ブログ・プレスリリースで確かめる5点【2026年版】
求人票と採用ページを読んでも、分からないことがあります。
「実際、この会社は今どう動いているのか」
求人票は、採用のために書かれた文書です。だから、事業の勢いや、社内の雰囲気までは読み取れません。
ここで使えるのが、企業自身の発信です。
SNS、採用ブログ、技術ブログ、プレスリリース。これらは採用のために書かれたものではないため、実態が出やすい。
そして、多くの応募者はここを見ていません。
見ておくと、面接での会話が明確に変わります。
「サイトを拝見しました」と言う応募者は多いですが、「先月のプレスリリースで発表された○○について」と言える応募者はほとんどいません。
この記事では、見るべき5つの発信、そこから何を読むか、面接での使い方を整理します。
なお、求人票・サービスサイト・会社概要・社員インタビューの読み方は、企業研究の基本編で扱っています。この記事は、その先の発信を扱います。
1. 結論:見るのは5つ
1. プレスリリース(事業の動き) 2. 採用ブログ・技術ブログ(働き方と考え方) 3. 会社の公式SNS(発信の姿勢) 4. 社員個人の発信(実際の働き方) 5. 経営者の発信(方向性)
優先度は、この順です。
1番目が最も情報量が多く、最も見られていません。
| 情報源 | 分かること | 所要時間 |
|---|---|---|
| プレスリリース | 事業の動き、資金、提携 | 10分 |
| 採用・技術ブログ | 働き方、進め方 | 15分 |
| 公式SNS | 発信の姿勢、更新頻度 | 5分 |
| 社員個人の発信 | 実際の働き方 | 10分 |
| 経営者の発信 | 方向性 | 5分 |
全部で45分です。志望度が高い1〜2社に絞って使ってください。
2. プレスリリース
最も効率が良い情報源です。
企業の公式サイトに「ニュース」「お知らせ」「プレスリリース」の欄があります。
直近1年分を、見出しだけ流し読みしてください。
| 読み取ること | どう判断するか |
|---|---|
| 発表の頻度 | 動きの多さ |
| 新サービス・新事業 | 伸びている領域 |
| 提携・協業 | 事業の方向 |
| 拠点の開設 | 拡大している領域 |
| 資金調達 | 成長段階(該当する場合) |
| 表彰・認定 | 対外的な評価 |
1行目が最も重要です。
1年間で発表が1〜2件の会社と、月1件の会社では、事業の動きが違います。
ただし、これは規模と業種にもよります。安定した事業を続けている会社では、発表が少ないのが普通です。
だから、件数そのものより、「何を発表しているか」を見てください。
応募する職種と関係があるか
発表内容が、自分が応募する職種と関係しているかを確認してください。
営業職に応募するなら、新サービスや提携の発表。エンジニアなら、技術的な発表や、開発体制に関する発表です。
関係する発表があれば、それが面接で使えます。
3. 採用ブログ・技術ブログ
読むべきは、内容より書き手です。
| 見ること | 判断すること |
|---|---|
| 書き手が複数いるか | 発信が個人依存でない |
| 更新の頻度 | 続いているか |
| 最後の更新日 | 止まっていないか |
| 現場の社員が書いているか | 実態が出やすい |
| 内容が具体的か | 実務が見える |
3行目を必ず見てください。
最後の更新が2年前で止まっているブログは、始めたが続かなかったということです。
これ自体は悪いことではありませんが、「発信に力を入れている」という説明と実態がずれている可能性があります。
4行目も重要です。
人事だけが書いているブログと、現場の社員が書いているブログでは、読み取れるものが違います。
現場の社員が書いている場合、業務の進め方が具体的に出ることがあります。
エンジニア職では技術ブログが特に有効
技術ブログがある会社では、開発環境の実態がかなり読めます。
使っている技術、開発の進め方、直面した課題。これらが書かれています。
そして、記事の日付を見れば、その環境がいつのものかが分かります。
技術ブログがない会社が悪いわけではありません。ただ、ある会社では確認の手間が減ります。
4. 会社の公式SNS
5分で確認できます。
| 見ること | 判断すること |
|---|---|
| 更新の頻度 | 続いているか |
| 投稿の内容 | 何を発信したい会社か |
| 社内の様子の投稿 | 雰囲気の一端 |
| 採用に関する投稿 | 採用に力を入れているか |
ここで注意点があります。
公式SNSは広報が運用しているため、実態がそのまま出るわけではありません。
だから、内容を鵜呑みにしないでください。
読み取れるのは、「この会社が外にどう見られたいか」です。それ自体が一つの情報になります。
そして、更新が止まっている場合は、単に手が回っていないだけの場合が多い。それだけで判断しないでください。
5. 社員個人の発信
ここが最も実態に近い情報源です。ただし、扱いに注意が必要です。
社員が個人で発信している場合、業務の内容や社内の様子が具体的に書かれていることがあります。
| 読み取れること |
|---|
| 実際の業務の進め方 |
| 使っている道具や技術 |
| 社内での学びの機会 |
| 働き方の実感 |
ただし、次の点を守ってください。
1. 個人の発信は、その人の意見であり会社の公式見解ではありません。
2. 面接で個人名を出して言及するのは避けてください。
3. 発信内容を詮索する形で使わないでください。
2番目が特に重要です。
「○○さんの投稿を拝見しました」と面接で言うと、監視されている印象を与える場合があります。
読んで参考にするのは構いませんが、面接では会社の公式な発信を材料にしてください。
使うなら、こう使う
「技術ブログを拝見し、○○の進め方について理解が深まりました」
会社が公式に出しているブログであれば、言及して問題ありません。
個人のアカウントの投稿は、材料としては使わず、自分の判断材料に留めてください。
6. 経営者の発信
会社の方向性が最も分かりやすく出ます。
ただし、見るのは5分で十分です。
| 見ること | 判断すること |
|---|---|
| 何を重視しているか | 評価の方向 |
| 事業をどう説明するか | 会社の位置づけ |
| 発信の頻度と内容 | 経営者の関与の度合い |
注意点があります。
経営者の発信が魅力的でも、それが現場の実態とは限りません。
特に、規模が大きい会社ほど、経営者の言葉と現場の距離は離れます。
だから、経営者の発信は「方向性の確認」に使い、働き方の判断材料にはしないでください。
7. 面接での使い方
調べたことを、そのまま言わないでください。
| 弱い使い方 | 強い使い方 |
|---|---|
| 「ブログを拝見しました」 | 「○○の記事で書かれていた△△について伺いたい」 |
| 「プレスリリースを見ました」 | 「先月発表された○○は、この職種にも関わりますか」 |
| 「SNSを見ています」 | (言及しない) |
2行目が最も効きます。
プレスリリースの内容を、自分の応募職種と結びつけて質問する。これができる応募者は、ほとんどいません。
「先月発表された○○のサービスについて拝見しました。この事業に関して、今回募集されている職種はどのように関わることになりますか」
この質問は、事業を理解した上で自分の役割を考えている応募者として受け取られます。
志望動機に組み込む
発信から読み取った内容を、志望動機の根拠にできます。
「技術ブログで、開発の進め方について複数の方が書かれているのを拝見しました。仕組みとして共有する文化がある環境で働きたいと考えており、志望いたしました」
「理念に共感しました」より、はるかに具体的です。
8. 見なくていい情報
時間が限られているので、見ない項目も決めておいてください。
| 見なくていい | 理由 |
|---|---|
| 企業理念の丸暗記 | 面接で問われることは少ない |
| 沿革の詳細 | 判断材料にならない |
| 役員の経歴 | 応募職種と関係が薄い |
| 5年以上前の発信 | 現在の実態と違う |
| 匿名の書き込み | 出所が確認できない |
4行目に補足します。
発信を見るときは、直近1年分に絞ってください。
それ以前の情報は、現在の実態と違う可能性があります。
そして、5行目です。
出所が確認できない情報は、判断材料にしないでください。口コミサイトの匿名の投稿も、参考程度に留めるべきです。
時間配分の目安
| 志望度 | かける時間 |
|---|---|
| 第一志望 | 45分(全部見る) |
| 志望度が高い | 20分(プレスリリースとブログ) |
| 候補の一つ | 10分(プレスリリースのみ) |
| 応募するか迷っている | 0分(求人票で判断) |
全社に45分かけると、活動が進みません。絞ってください。
9. よくある質問
Q. 発信がない会社は避けるべきですか
避ける必要はありません。
発信に力を入れていない会社は多く、それが事業の良し悪しとは関係ありません。その場合は、面接での確認を増やしてください。
Q. 社員のSNSを見るのは失礼ですか
公開されている情報を読むこと自体は問題ありません。
ただし、面接で個人名を出して言及するのは避けてください。自分の判断材料に留めるのが適切です。
Q. どのくらい遡って見ればいいですか
直近1年分で十分です。
それ以前の情報は、現在の実態と違う可能性があります。
Q. 全部の応募先を調べる時間がありません
志望度で絞ってください。
候補の段階ではプレスリリースだけ、面接が決まったら追加で調べる、という順番が効率的です。
Q. 面接で調べたことを話すべきですか
質問の形にするのが最も効果的です。
「調べました」と伝えるより、調べた内容をもとに質問するほうが、理解の深さが伝わります。
Q. 上場企業の場合、IR資料も見るべきですか
時間があれば有効です。
ただし、第二新卒の面接でIR資料の内容を問われることは多くありません。プレスリリースのほうが優先度は高い。
Q. 技術ブログの内容が理解できません
全部を理解する必要はありません。
読み取るのは、書き手の顔ぶれ、更新の頻度、書かれている内容の具体性です。技術の詳細まで追う必要はありません。
Q. 発信内容と面接での説明が違いました
面接での説明を優先してください。
ただし、大きく食い違う場合は、確認する価値があります。「ブログでは○○と拝見しましたが、現在は変わっているのでしょうか」と聞いて構いません。
10. まとめ:今週やる3つのこと
1. 志望度が高い1〜2社について、プレスリリースの直近1年分を見出しだけ流し読みする。10分で終わります。
2. 応募職種に関係する発表を1つ選び、面接での質問に変換する。
3. 採用ブログ・技術ブログがあれば、書き手と更新頻度を確認する。内容より、この2つが情報になります。
個人の発信は判断材料に留め、面接では会社の公式な発信を使ってください。
この先、読むべき記事
- 企業研究のやり方|第二新卒が30分で終わらせる5つの情報源(企業研究の基本)
- 企業の将来性をどう見るか|公開情報から読む手順(将来性の判断)
- 求人の社員インタビューの読み方|記事から実態を読み取る(採用ページの読み方)
- 転職の口コミサイトの使い方|第二新卒が偏りを踏まえて読む5つの基準(口コミとの併用)
- 面接の逆質問|第二新卒がそのまま使える30例と聞いてはいけない質問(質問に変換する)
- 紹介された企業を自分で調べる|第二新卒が担当者の説明を裏取りする手順(担当者への確認)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。