紹介された企業を自分で調べる|第二新卒が担当者の説明を裏取りする手順【2026年版】
エージェントから求人を紹介されると、こう説明されます。
「離職率も低く、教育体制も整っている、おすすめの企業です」
この説明を、そのまま信じるべきかどうか。
結論から書くと、担当者の説明は「情報の一つ」として扱ってください。
嘘をつかれているという意味ではありません。
担当者は、企業から聞いた情報を伝えています。そして、多くの場合その情報は正確です。
ただし、構造として押さえておくべき点があります。
エージェントは、応募者が入社したときに企業から手数料を受け取ります。
つまり、応募してもらったほうが良い立場にあります。
これは悪意ではなく、事業の仕組みです。
だから、良い面が強調されやすい構造がある、という前提で聞いてください。
この記事では、30分でできる確認の手順、担当者に聞くべき5つの質問、判断の分かれ目を整理します。
1. 結論:やることは3つ
1. 公開情報で30分だけ確認する。時間をかけすぎないでください。
2. 担当者に、事実を確認する質問を5つする。意見ではなく事実です。
3. 説明と公開情報がずれる箇所だけを、面接で確認する。
2番目が要点です。
「この会社はどうですか」と聞くと、意見が返ってきます。
「直近1年の離職者は何名ですか」と聞くと、事実が返ってきます。
| 聞き方 | 返ってくるもの |
|---|---|
| 「どんな会社ですか」 | 担当者の印象 |
| 「働きやすいですか」 | 主観 |
| 「離職率は何%ですか」 | 数字(または「分からない」) |
| 「前任の方の在籍期間は」 | 事実 |
3行目と4行目のような聞き方に変えるだけで、得られる情報が変わります。
2. 担当者の説明をどう扱うか
担当者が持っている情報には、種類があります。
| 情報の種類 | 信頼度 |
|---|---|
| 企業から提供された数字 | 高い(ただし選ばれた数字) |
| 過去に紹介した人からの実感 | 高い |
| 担当者自身が訪問して見たこと | 高い |
| 求人票の内容 | そのまま |
| 一般的な印象 | 低い |
2行目と3行目が最も価値があります。
だから、こう聞いてください。
「これまでにご紹介された方から、入社後の感想を聞かれていることがあれば教えてください」
「担当者の方は、この企業に訪問されたことはありますか」
この2つの質問で、担当者が持っている情報の質が分かります。
訪問したことがなく、紹介の実績もない場合、その説明は求人票の要約です。
悪い情報も聞いてみる
「この求人について、応募を見送られた方がいた場合、その理由を差し支えない範囲で教えていただけますか」
この質問には、答えられる担当者と答えない担当者がいます。
答えてくれる場合、その内容は貴重です。
そして、この質問を嫌がる担当者は、良い面しか伝えない可能性があります。
3. 30分でできる確認
公開情報だけで、かなり分かります。
| 順番 | 見る場所 | 時間 |
|---|---|---|
| 1 | 会社概要(設立、資本、従業員数) | 5分 |
| 2 | 事業内容 | 5分 |
| 3 | プレスリリース(直近1年) | 10分 |
| 4 | 採用ページ | 5分 |
| 5 | 求人が他の媒体にも出ているか | 5分 |
5番目が、意外と情報になります。
同じ求人が、複数の媒体に長期間掲載されている場合、採用が難航している可能性があります。
逆に、その求人が非公開でしか出ていない場合は、募集の枠が限られている可能性があります。
企業名で検索して、どこに求人が出ているかを確認してください。
従業員数の推移を見る
会社概要に、従業員数が記載されています。
そして、過去の記載が残っている場合があります。
採用ページや、以前のプレスリリースに人数の記載があれば、比較できます。
増えているなら、事業が伸びているか、離職を補充している。
この2つは区別できませんが、担当者に聞けば分かります。
「従業員数が増えているようですが、事業の拡大によるものでしょうか」
4. 担当者に聞く5つの質問
いずれも、事実を聞く形にしてあります。
質問1:募集の背景
「今回の募集は、増員でしょうか、欠員の補充でしょうか」
欠員補充の場合、前任者の在籍期間も聞いてください。
質問2:直近の入社と定着
「直近1年で、この企業に入社された方はいらっしゃいますか。その方は現在も在籍されていますか」
この質問への答えが、最も実態に近い情報です。
質問3:選考の状況
「この求人は、どのくらいの期間募集されていますか。応募状況も差し支えなければ教えてください」
長期間募集が続いている場合、その理由を確認する材料になります。
質問4:見送りの理由
「これまでに選考を進めた方が見送りになった場合、企業側の理由を差し支えない範囲で教えてください」
求められる水準が分かります。
質問5:条件の実態
「求人票に記載の残業時間は、実態と一致していますか。ご紹介された方から伺っている範囲で教えてください」
この5つを聞けば、担当者が持っている情報のほぼ全部が引き出せます。
5. 口コミサイトの扱い
参考にはなりますが、扱いに注意が必要です。
| 特徴 | 影響 |
|---|---|
| 退職者の投稿が多い | 否定的な内容に偏りやすい |
| 投稿の時期が古い場合がある | 現在の実態と違う |
| 部署による差が反映されない | 一部の意見 |
| 匿名 | 出所が確認できない |
1行目が最も重要です。
満足して働いている人は、わざわざ書き込みません。
だから、内容が否定的に偏る構造があります。
使い方としては、「同じ指摘が複数の投稿に、複数の時期にわたって出ているか」を見てください。
1件だけの指摘は、個人の事情である可能性があります。
複数年にわたって同じ指摘が続いている場合は、構造的な問題である可能性が高くなります。
担当者に確認する
口コミで気になる点があった場合、担当者に確認して構いません。
「複数の口コミで○○という指摘を見かけたのですが、この点について何かご存じでしょうか」
この聞き方であれば、詮索している印象になりません。
そして、担当者が知っている場合、実態を教えてもらえることがあります。
6. 判断の分かれ目
調べた結果、どう判断するか。
| 状況 | 判断 |
|---|---|
| 担当者の説明と公開情報が一致 | 進めてよい |
| 説明が具体的で、根拠がある | 進めてよい |
| 担当者が事実を答えられない | 面接で確認する |
| 説明と公開情報が明確にずれる | 面接で確認する |
| 質問を避ける、話をそらす | 慎重に判断する |
3行目と4行目は、応募しない理由にはなりません。
面接で確認すれば済みます。
調べるのは、応募をやめるためではなく、面接で何を聞くかを決めるためです。
5行目だけは、担当者を変えることも検討してください。
調べすぎない
調べることに時間をかけすぎると、応募が進みません。
30分で切り上げて、応募してください。
面接に進んだ段階で、追加で調べれば十分です。
そして、面接そのものが最も確実な情報源です。
7. 面接で確認する
調べて出た疑問は、面接で聞いてください。
聞き方は、事実を確認する形にしてください。
| 疑問 | 聞き方 |
|---|---|
| 離職が多いのでは | 「この部署の直近の人員の推移を教えてください」 |
| 残業が多いのでは | 「直近1年の平均残業時間を教えてください」 |
| 教育体制が不明 | 「入社された方が最初の3ヶ月で担当することを教えてください」 |
| 事業の状況が不明 | 「事業の構成比と、伸びている領域を教えてください」 |
いずれも、「入社後をイメージしたいので」という前置きを添えてください。
そして、これらの質問に具体的に答えられない企業は、それ自体が判断材料になります。
担当者経由で聞く方法もある
面接で直接聞きにくい内容は、担当者に確認を依頼できます。
「面接では聞きにくい内容ですので、企業様にご確認いただくことは可能でしょうか」
条件面や、離職に関する内容は、この方法が使えます。
担当者が企業に確認して、後日回答をもらう形になります。
8. 進め方と時間配分
| 場面 | やること |
|---|---|
| 紹介を受けた直後 | 担当者に5つの質問 |
| 応募の判断前 | 公開情報を30分確認 |
| 応募 | ずれた点を面接の質問としてメモ |
| 面接 | 事実を確認する形で質問 |
| 内定後 | 労働条件通知書で最終確認 |
1行目を最初にやってください。
担当者への質問は、紹介を受けた直後が最も自然です。
時間が経ってから聞くと、なぜ今聞くのかという話になります。
そして、5つの質問への答えで、公開情報を調べる必要があるかどうかも分かります。
担当者が具体的に答えられる場合、調べる時間を短縮できます。
志望度で時間を変える
| 志望度 | かける時間 |
|---|---|
| 応募を決めている | 30分 |
| 迷っている | 15分 |
| 候補の一つ | 5分(会社概要だけ) |
全社に30分かけると、活動が進みません。
9. よくある質問
Q. 担当者の説明は信用できますか
多くの場合、正確です。
ただし、応募してもらったほうが良い立場にあるため、良い面が強調されやすい構造があります。事実を聞く形の質問で補ってください。
Q. 悪い情報も教えてもらえますか
担当者によります。
「見送りになった方の理由」を聞くと、答えてくれる場合があります。質問を避ける担当者は、良い面しか伝えない可能性があります。
Q. 口コミサイトは見るべきですか
参考にはなりますが、退職者の投稿に偏る構造があります。
複数の投稿に、複数の時期にわたって同じ指摘があるかを見てください。1件だけの指摘は判断材料になりません。
Q. どのくらい時間をかけるべきですか
30分で十分です。
調べることに時間をかけすぎると、応募が進みません。面接に進んでから追加で調べれば済みます。
Q. 調べた内容を担当者に伝えていいですか
構いません。
「口コミで○○という指摘を見たのですが」と伝えれば、実態を教えてもらえる場合があります。
Q. 面接で聞きにくい内容はどうしますか
担当者経由で企業に確認してもらえます。
条件面や離職に関する内容は、この方法が使えます。
Q. 説明と実態がずれていたら
面接で確認してください。
ずれがあること自体は、応募をやめる理由にはなりません。担当者が古い情報を持っている場合もあります。
Q. 担当者が質問に答えてくれません
「分からない」と答える場合は問題ありません。
ただし、質問を避ける、話をそらす場合は、担当者の変更も検討してください。
10. まとめ:今週やる3つのこと
1. 紹介を受けた企業について、担当者に5つの質問をする。募集背景、直近の入社と定着、募集期間、見送りの理由、条件の実態です。
2. 公開情報を30分だけ確認する。会社概要、事業内容、直近1年のプレスリリース、求人の掲載状況です。
3. ずれた点を、面接で聞く質問としてメモする。調べるのは、応募をやめるためではなく、聞くことを決めるためです。
「どんな会社ですか」ではなく、事実を聞く形に変えてください。それだけで得られる情報が変わります。
この先、読むべき記事
- 転職エージェントはなぜ無料か|仕組みと応募者への影響(構造の理解)
- エージェントにどこまで正直に話すか|第二新卒が隠すと不利になる5つ(担当者との関係)
- 転職の口コミサイトの使い方|第二新卒が偏りを踏まえて読む5つの基準(口コミの読み方)
- 企業研究のやり方|第二新卒が30分で終わらせる5つの情報源(企業研究の基本)
- 企業の発信から実態を読む|第二新卒がSNS・ブログ・プレスリリースで確かめる5点(発信から読む)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。