介護職の志望動機|未経験・第二新卒の例文5パターンと落ちる書き方【2026年版】
〜「人の役に立ちたい」は、介護職の志望動機で最も多く、最も続かない動機です〜
介護職は、未経験からの転職先として入口が広い職種です。人手不足が続いており、未経験・無資格から採用する事業所が多くあります。
ただし、入りやすいことと、続けられることは別です。
介護業界の離職率が課題として語られる背景には、入る前と入った後のギャップがあります。そして、そのギャップの多くは志望動機の段階で予防できます。
面接官が最も警戒するのは、「人の役に立ちたい」だけで応募してくる人です。この動機は美しいですが、実際の業務(身体介護、記録、夜勤、家族対応)と接続していないため、現実に直面したときに続きません。
この記事では、実務に接続した志望動機の書き方を、例文5本つきで整理します。
1. 結論:介護職の志望動機は3ブロック
ブロック①:なぜ介護なのかを、具体的な経験から書く
「人の役に立ちたい」だけでは不十分です。祖父母の介護に関わった、前職で高齢のお客様に接していた、ボランティアで施設に行った。何らかの接点があると、動機に具体性が出ます。
ブロック②:介護の実務を理解していることを示す
ここが最大の分かれ目です。身体介護があること、記録が多いこと、夜勤があること(施設による)、家族対応があること。これらに触れたうえで応募していると示せると、面接官の評価が変わります。
ブロック③:なぜこの施設形態か
特養・老健・訪問・デイでは、業務がまったく違います。求人票がどの形態かを判別し、その形態を選んだ理由を書いてください。
2. 施設形態による業務の違い
| 形態 | 対象 | 業務の特徴 | 夜勤 | 未経験の入りやすさ |
|---|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 要介護度が高い方の長期入所 | 身体介護の比重が大きい | あり | ◎ |
| 介護老人保健施設(老健) | 在宅復帰を目指す方 | リハビリ職との連携が多い | あり | ◎ |
| 有料老人ホーム | 自立〜要介護まで幅広い | 施設により差が大きい | あり | ◎ |
| グループホーム | 認知症の方の少人数の共同生活 | 生活支援が中心。少人数 | あり | ○ |
| デイサービス(通所) | 日中の通所 | レクリエーション、送迎 | なし | ◎ |
| 訪問介護 | 自宅を訪問 | 1対1。生活援助と身体介護 | 基本なし | ○(資格が必要な場合が多い) |
「夜勤があるかどうか」は、働き方に最も大きく影響します。
夜勤を避けたい場合、デイサービスまたは訪問介護が選択肢になります。ただし、夜勤手当がないため、収入は入所施設より低くなる傾向があります。
未経験で最も入りやすいのは、特養・老健・有料老人ホーム・デイサービスです。訪問介護は、初任者研修などの資格が実質的な条件になっている場合があります。
3. 編集長の実体験:介護職に転職した知人の話
大学の同期に、営業職から介護職へ転職した人がいます。転職から2年経った頃に話を聞きました。
私「実際、どうですか」
知人「続いてます。ただ、最初の3ヶ月は正直きつかった」
私「何がきつかったんですか」
「想像してたのと、業務の中身が違った。『お年寄りと話す仕事』だと思ってたけど、実際は身体介護と記録が大半。1日の3分の1は記録を書いてる」
私「記録、そんなに多いんですか」
「多いです。何を食べたか、排泄はどうか、体調はどうか、何を話したか。全部残さないといけない。介護は記録の仕事でもある」
さらに、この知人が言っていたことが印象に残っています。
知人「同期で入った人が5人いて、1年で2人辞めた。辞めた人の理由は、『思っていた仕事と違った』。
自分が続いてるのは、たぶん入る前に1日体験に行ったから。実際の現場を見て、身体介護がどのくらい大変か、記録がどのくらいあるかを知ったうえで入った。だから、ギャップがなかった」
この「1日体験」の話が、介護職の志望動機で最も効く材料です。
「見学に行きました」「体験してきました」と言える応募者は、面接官から見て明らかに信頼できます。なぜなら、業界が最も恐れているのは、理想だけで入って早期に辞めることだからです。
そして、多くの介護施設は見学を受け入れています。応募前に問い合わせれば、対応してもらえることがほとんどです。
4. 前職の経験を、介護の言葉に翻訳する
| 前職での経験 | 介護業務への翻訳 |
|---|---|
| 接客・販売 | 利用者・家族とのコミュニケーション |
| クレーム対応 | 家族からの相談・要望への対応 |
| シフト作成・チーム運営 | チームでの申し送り、勤務調整 |
| 事務・記録業務 | 介護記録の作成、書類管理 |
| 体を動かす仕事(配送・製造など) | 身体介護への適応 |
| 高齢の顧客への対応 | 利用者の状態に応じた対応 |
| 医療事務・病院勤務 | 医療職との連携、専門用語の理解 |
| 保育・教育 | 生活支援、個別の状態に応じた関わり |
特に、接客・販売の経験は評価されます。介護は「サービス業」の側面が強く、利用者本人だけでなく、家族との関係構築が業務の重要な部分を占めるためです。
5. 例文5パターン
例文①:接客業 → 特別養護老人ホーム
前職ではドラッグストアで2年半、レジ・接客・化粧品カウンターを担当しました。1日平均150名の会計対応を行っていました。
店舗の立地上、高齢のお客様が多く、商品の場所を探すのに時間がかかっている方や、薬の飲み合わせを不安に思われている方によく声をかけていました。ある常連の方から「あなたに聞くと安心する」と言っていただいたことがあり、その後もご来店のたびにお話しするようになりました。この経験から、生活に近い場所で継続的に関わる仕事に関心を持つようになりました。
応募にあたり、貴施設の見学に伺いました。食事・入浴・排泄の介助が業務の中心であること、記録の作成に相応の時間を要することを確認したうえで応募しております。身体的な負担があることも理解しており、無理のない介助の方法を早い段階で身につけたいと考えています。
現在は介護職員初任者研修を受講中です。まず現場の業務を覚え、3年後には介護福祉士の受験資格を得られる状態を目指したいと考えています。
例文②:営業職 → 介護老人保健施設
前職では法人営業として2年間勤務し、担当エリアの約40社を担当していました。
転職を考えたきっかけは、祖母が要介護状態になり、施設に入所したことです。面会に通うなかで、職員の方が祖母の状態の変化に細かく気づき、家族に共有してくださることに驚きました。数字ではなく、人の状態を見て判断する仕事に関心を持ちました。
応募にあたり、老健と特養の違いを調べ、貴施設は在宅復帰を目的としてリハビリ職と連携する形をとられていると理解しています。利用者の状態が変化していく過程に継続的に関わる点が、自分の関心と合っていると考えました。
見学の際、夜勤の勤務形態と、1日の記録の量についても伺いました。営業として日報や案件の記録を毎日作成してきたため、記録業務については対応できると考えています。
未経験ではありますが、まず現場の介助を確実にできる状態を目指し、資格取得も並行して進めたいと考えています。
例文③:事務職 → デイサービス
前職では建設会社の総務部で、書類管理と社内の問い合わせ対応を2年間担当しました。
業務のなかで、社内の各部署から日常的に相談を受ける立場にあり、困りごとを聞いて必要な手続きにつなげることが業務の中心でした。この「話を聞いて、必要な支援につなげる」部分に手応えを感じていました。
介護職を志望したのは、大学時代にデイサービスでボランティアをした経験があるためです。当時、利用者の方がレクリエーションを通じて表情が変わっていく様子が印象に残っていました。
貴事業所を志望したのは、夜勤がなく、日中の生活支援とレクリエーションが業務の中心であるためです。見学の際、送迎業務があることと、入浴介助を担当することも確認しております。身体介護の経験はありませんが、まず基本的な介助を身につけたうえで、記録やレクリエーションの企画にも関わりたいと考えています。
介護職員初任者研修は取得済みです。
例文④:飲食業 → 有料老人ホーム
飲食チェーンの店舗で3年間、ホール業務と店舗運営を担当しました。アルバイト12名のシフト管理と、日次の売上管理が担当業務です。
店舗では、常連のお客様の好みや体調に合わせて提供内容を調整することが多くありました。持病で塩分を控えている方に、事前に調整したメニューを用意しておくといった対応です。この、相手の状態を覚えて先回りする部分が、この仕事で最も手応えを感じる場面でした。
介護職を志望したのは、この関わり方をより継続的に行える仕事だと考えたためです。
応募前に貴施設を見学し、食事介助・入浴介助・排泄介助が日常業務であること、夜勤が月に4〜5回あることを確認しております。飲食業でも立ち仕事と不規則な勤務を経験しているため、勤務形態については対応できると考えています。
現在、介護職員初任者研修を受講中です。まず介助を確実に行える状態を目指したいと考えています。
例文⑤:介護(経験1年)→ 別形態の施設
前職ではデイサービスで1年間、生活支援とレクリエーションの運営を担当しました。1日あたりの利用者は約25名です。
業務のなかで、レクリエーションへの参加率にばらつきがあることが気になっていました。参加されない方に個別に話を伺ったところ、「内容が難しい」「人数が多い場所が苦手」といった理由が挙がりました。そこで、少人数で行える活動を2種類追加し、利用者の状態に応じて選べる形にしたところ、参加率が約6割から8割程度に上がりました。
デイサービスでは、利用者の方と関われる時間が日中に限られており、状態の変化を継続的に見る機会が限られていました。生活全体に関わり、変化に長い時間軸で向き合う環境を希望しています。
貴施設は特別養護老人ホームとして長期入所の方を受け入れられており、身体介護の比重が大きいと理解しています。夜勤を含む勤務についても承知のうえで応募しております。介護職員初任者研修は取得済みで、実務経験3年で介護福祉士の受験を予定しています。
6. 落ちる志望動機の型5つ
| 型 | 具体例 | なぜ落ちるか |
|---|---|---|
| 「人の役に立ちたい」型 | それだけで終わる | 全職種に言える。介護である理由がない |
| 理想だけ型 | 「お年寄りと話すのが好き」 | 身体介護・記録・夜勤に触れていない |
| 逃避型 | 「前職が辛かったので」 | 介護も楽な仕事ではない |
| 施設形態を調べていない型 | 特養と老健の違いを理解していない | 求人を読んでいないと判断される |
| 資格の話だけ型 | 「初任者研修を取りました」で終わる | 資格と動機は別 |
2番目が最も多く、最も重要な失敗です。
介護の面接官が最も確認したいのは、「業務の実態を分かったうえで来ているか」です。身体介護、記録、夜勤、看取り。これらに一切触れずに「人と関わる仕事がしたい」とだけ書かれた志望動機は、早期離職のリスクが高いと判断されます。
7. 面接で追撃される3つの質問
Q1.「身体介護があることは理解していますか」
未経験の応募者には必ず来ます。「理解しています」だけでは不十分です。
答え方の例
「見学の際に、入浴介助と移乗の場面を拝見しました。身体的な負担があることは理解しております。前職でも立ち仕事でしたが、介助は動き方が異なると伺っているため、腰への負担を減らす介助の方法を早い段階で身につけたいと考えています。」
Q2.「夜勤は大丈夫ですか」
入所施設では必須の質問です。「大丈夫です」だけでなく、回数と体制を確認していることを示してください。「月4〜5回と伺っております。2名体制で入られると確認しておりますので、対応できると考えています」。
Q3.「利用者の方から強い言葉を受けたら、どう対応しますか」
介護の現場では、認知症の症状などにより、強い言葉を受ける場面があります。これは業務上起こりうることとして、事前に理解しているかを見る質問です。
答え方の例
「その方の状態や、そのときの体調・環境に理由があることが多いと伺っています。一人で抱えず、状況を記録して他の職員と共有し、対応の方法をチームで検討したいと考えています。」
「一人で抱えない」「チームで共有する」という姿勢が、この質問の要点です。
8. 資格取得の順番
| 資格 | 内容 | 取得の目安 |
|---|---|---|
| 介護職員初任者研修 | 介護の入門資格 | 130時間。1〜4ヶ月。未経験の入口 |
| 介護福祉士実務者研修 | 介護福祉士の受験に必要 | 450時間(初任者修了者は短縮あり) |
| 介護福祉士(国家資格) | 実務経験3年+実務者研修で受験可 | 現場のキャリアの中心 |
| ケアマネジャー(介護支援専門員) | ケアプランの作成 | 介護福祉士等として実務経験5年が目安 |
未経験からの標準的な順路
- 無資格・未経験で入社(多くの施設が受け入れています)
- 働きながら介護職員初任者研修を取得(費用を補助する事業所も多い)
- 実務経験3年+実務者研修 → 介護福祉士を受験
- その後、ケアマネジャー、または管理職へ
初任者研修は、入社前に取得しても、入社後に取得しても構いません。入社前に取得しておくと、志望度の証明になり、選べる求人も増えます。一方、資格取得の費用を補助する事業所も多いため、その制度を確認してから判断するのが実務的です。
年収の目安
| 段階 | 年収 |
|---|---|
| 未経験・無資格 | 280〜350万円(夜勤手当込み) |
| 初任者研修修了 | 300〜380万円 |
| 介護福祉士 | 340〜430万円 |
| 主任・管理職・ケアマネ | 400〜550万円 |
夜勤の有無で、年収が数十万円変わります。デイサービスは夜勤がないぶん、収入は低めになる傾向があります。
9. よくある質問
未経験・無資格でも採用されますか?
されます。多くの施設が未経験・無資格からの採用を行っており、入社後に資格取得を支援する制度を持つ事業所も多くあります。ただし、訪問介護は初任者研修が実質的な条件になっている場合があります。
「人の役に立ちたい」は書いてはいけませんか?
書き出しに使うのは避けてください。介護の応募者の大半が書くため、差がつきません。具体的な経験(祖父母の介護、前職での高齢者との関わり、ボランティア)を先に書き、その後に添える形にしてください。
施設の見学はできますか?
多くの施設が受け入れています。応募前に電話やメールで問い合わせれば、対応してもらえることがほとんどです。「見学に伺いました」と志望動機に書けると、面接官の評価が明確に変わります。業界が最も恐れているのは、理想だけで入って早期に辞めることだからです。
体力に自信がありません。
介助は力任せに行うものではなく、身体の使い方(ボディメカニクス)で負担を減らす技術があります。また、移乗用のリフトなどの機器を導入している施設も増えています。面接で「介助の機器の導入状況」を確認しておくと、入社後の負担の見当がつきます。
夜勤は避けられますか?
デイサービス(通所)と訪問介護なら、基本的に夜勤はありません。ただし、夜勤手当がないため収入は入所施設より低くなる傾向があります。また、デイサービスは送迎業務があるため、運転免許が必要な場合が多いです。
どの施設形態を選べばいいですか?
「夜勤の有無」と「身体介護の比重」で選んでください。身体介護をしっかり学びたいなら特養・老健、生活支援とレクリエーション中心ならデイサービス、少人数でじっくり関わりたいならグループホーム。見学に行くと、自分に合うかどうかが最も分かります。
介護からのキャリアはどうなりますか?
①現場のスペシャリスト(介護福祉士→主任→施設長)、②ケアマネジャー、③生活相談員・サービス提供責任者、④介護事業所の運営・本部職といった展開があります。また、介護業界の知識を活かして、介護系SaaSの営業やカスタマーサクセスへ移る人もいます。
前職と全く関係ない業界ですが、大丈夫ですか?
問題ありません。介護業界は異業種からの転職者が多い領域です。むしろ、接客・販売・飲食・事務の経験は、それぞれ介護業務に翻訳できます。第4章の翻訳表を参考に、前職の経験と介護業務の接点を書いてください。
10. まとめ:今夜やる3つのこと
介護職の志望動機は、「理想」から「実務の理解」に軸を移した瞬間に強くなります。
今夜やること
① 介護に関心を持った具体的なきっかけを1つ書き出す(家族の介護、前職での高齢者との関わり、ボランティア)
② 応募先の求人票を開き、施設形態(特養/老健/有料/グループホーム/デイ/訪問)を確認する
③ その施設に見学を申し込む(応募前でも受け入れている施設がほとんどです)
③が、介護職の選考で最も効きます。「見学に伺い、身体介護と記録の実際を確認したうえで応募しております」——この一文があるかないかで、面接官の受け止め方がまったく変わります。
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この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。