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介護職から一般企業へ転職|第二新卒が現場経験を武器に変える5ステップ【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月5日 読了 約19分
介護職から一般企業へ転職|第二新卒が現場経験を武器に変える5ステップ【2026年版】

〜「介護しかやってこなかった」は事実ではありません。翻訳の型と、狙える職種を置いておきます〜

介護職から一般企業への転職で、最初にぶつかる壁があります。

「介護の経験は、企業では評価されない」という思い込みです。

実際には逆で、介護職が日常的にやっていることの多くは、企業側が採用で探している経験そのものです。記録を残す、家族に説明する、チームで引き継ぐ、突発対応を優先度で捌く。これらはどれも、一般企業の実務で必要とされる能力です。

問題は、それを介護の言葉のまま書いていることだけ。この記事では、翻訳の型と狙える職種を整理します。

1. 結論:介護職→一般企業は「翻訳」でほぼ決まる

介護職から一般企業へ・5ステップ

① 1日の業務を、身体介護以外も含めて全部書き出す

② その業務を“企業の言葉”に翻訳する(ケース記録→日次報告、家族対応→顧客折衝)

狙う職種を絞る(事務/CS/人材(介護特化)/営業(医療・福祉領域)/IT)

④ 職務経歴書を「利用者に寄り添った」ではなく「何を記録し、誰と調整したか」で書く

⑤ 「なぜ介護を辞めるのか」に、業界批判にならない答えを用意する

核心は②と⑤です。②を飛ばすと書類で落ち、⑤を用意しないと面接で落ちます。

2. なぜ「人の役に立ちたい」では通らないのか

2-1. 企業が知りたいのは「何を回していたか」

介護職の職務経歴書でよくあるのが、これです。

「利用者様一人ひとりに寄り添い、寄り添った介護を心がけました」

企業の採用担当には、何の情報にもなりません。

介護の書き方企業の言葉への翻訳
利用者に寄り添った介護入居者◯名の状態を並行して把握し、優先度をつけて対応
ケース記録・介護記録の作成日次の記録と報告。書面での状況共有
ご家族への説明・連絡顧客折衝。要望のヒアリングと一次対応
申し送り・引き継ぎチーム内の情報共有と業務引き継ぎ
ケアプランに沿った支援計画に基づく業務遂行と進捗の記録
多職種連携(看護・リハ・ケアマネ)部門横断の連携と調整
新人・実習生の指導育成、OJTの実施
備品・消耗品の管理と発注備品管理、購買
夜勤帯の単独対応責任範囲を持った単独業務、緊急時の判断
ヒヤリハット・事故報告インシデント報告と再発防止の仕組みづくり

特に最後の項目は強いです。「ミスを報告し、原因を特定し、再発防止を仕組みにする」という流れは、介護現場では制度として当たり前にやっていますが、企業の面接では最も評価される回答の型です。

2-2. 介護職が持っている、企業で強い3つの経験

① 突発対応の優先度づけ 予定通りに進まない環境で、何を先にやるかを常に判断している。事務職・CS職でそのまま使われます。

② 記録と報告が習慣化している やったことを記録し、次のシフトに引き継ぐ。「記録を残す習慣がある人」は、企業では希少です。

③ 言いにくいことを家族に説明した経験 状態の悪化、事故の報告、料金の話。これは高度な折衝です。営業でもCSでも武器になります。

2-3. 落ちるのは「なぜ介護を辞めるのか」で詰まったとき

「給料が安い」「夜勤がきつい」「人手が足りない」は、事実でもそのまま言わないでください。業界批判になり、「次も同じ理由で辞める」と読まれます。変換の型は後述します。

3. 狙える職種

職種相性活きる経験
人材コーディネーター(介護・医療特化)業界知識がそのまま武器。求人が非常に多い
一般事務・医療事務記録・書類・並行処理・対人対応
カスタマーサポート・CS家族対応。一次対応と記録の経験
介護・医療系SaaSの営業/CS現場を知っている人材が強く求められている
福祉用具・医療機器の営業業界知識が活きる。ルート営業中心
総務備品管理・調整・突発対応
ITエンジニア(未経験)学習が必要だが、第二新卒枠なら可能性あり

最も狙い目なのは、介護業界の知識をそのまま使える職種です。「業界を離れる」のではなく「業界の別の立ち位置に移る」と考えると、選択肢が一気に増えます。

3-1. 特に狙い目:介護・医療系SaaSと人材

介護業界向けのサービスを提供する企業は、現場経験者を積極的に採用しています。

理由は明確で、現場を知らない営業では話が通じないからです。記録の付け方、シフトの組まれ方、加算の仕組み、職員の負担感——現場にいた人にしか分からないことが、そのまま営業やCSの武器になります。

私自身、障がい福祉領域のSaaS企業で営業企画をしていました。そこでも、現場出身のメンバーは顧客からの信頼のされ方が違いました。「この人は分かっている」という前提から会話が始まるからです。

詳しくは人材紹介(RA・CA)の志望動機カスタマーサクセスの志望動機を参照してください。

4. 「なぜ介護を辞めるのか」への答え方

4-1. 変換の基本

① 事実(何が起きていたか)→ ② 自分がやったこと③ 構造的に変えられなかった点④ だから次はこうしたい

4-2. 理由別の例文

身体的負担が理由

「介護の仕事自体にはやりがいを感じていました。ただ、移乗介助や夜勤を含む働き方を長期的に続けることを考えたときに、別の形で業界に関わるほうが現実的だと判断しました。現場で得た知識は、業界向けのサービスを提供する側でこそ活かせると考えています。

人手不足・業務量が理由

「慢性的に人員が足りず、記録の作成が勤務時間内に終わらない状態が続いていました。記録の共通項目をテンプレート化して、記入時間を短縮する提案をしたことはあります。ただ、人員配置に関わる構造的な問題で、個人の工夫で吸収できる範囲を超えていました。長く続けられる働き方で経験を積み上げたいと考えています」

キャリアの幅が理由

「介護職として2年働くなかで、現場の課題が『個々の職員の頑張り』では解決しないと感じるようになりました。記録の仕組みや情報共有の方法といった、現場を支える側の仕事に関わりたいと考えるようになり、介護業界向けのサービスを提供する立場を志望しています」

人間関係が理由

「ケアの方針について、職員間で考え方が合わない場面がありました。申し送りの内容を具体的にして、認識のずれを減らす工夫はしていました。ただ、施設全体の方針に関わる部分は変えられませんでした。方針の違いは優劣ではないので、自分に合う環境を選び直したいと考えました」

共通するのは、給与と夜勤を第一の理由にしないことです。詳しい変換の型は退職理由の伝え方にまとめています。

5. 職務経歴書の書き方

5-1. 職務要約は「何を担当したか」で始める

悪い例:介護職員として2年間、利用者様に寄り添った介護を行ってまいりました。

良い例:特別養護老人ホームにて2年間勤務。入居者◯名のフロアを担当し、日々の介護業務に加え、介護記録の作成、ご家族への状況説明、夜勤帯の単独対応(職員2名体制/入居者◯名)を担当。新人職員2名のOJTも経験。

数字を必ず入れてください。担当人数、フロアの規模、夜勤の体制、指導した人数。ここが書かれていない書類が非常に多いです。

5-2. 実績は「課題→施策→結果」の3点セットで

【課題】申し送りの内容が担当者によってばらつき、引き継ぎ後に確認の連絡が発生していた

【施策】申し送りに必ず入れる項目を5つに絞った様式を作り、フロアで共有した

【結果】引き継ぎ後の確認連絡が減り、記入時間も短縮された

ヒヤリハットの対応経験は、そのまま面接の武器になります。「ミスをどう扱うか」は、経理・事務・CSの面接で必ず聞かれる質問だからです。

5-3. 身体介護以外を必ず書く

  • 介護記録の作成 → 日次報告・書面での状況共有
  • 家族対応 → 顧客折衝
  • 多職種連携 → 部門横断の調整
  • 新人指導 → 育成
  • 備品発注 → 数値管理
  • ヒヤリハット報告 → インシデント管理と再発防止

「介護しかやっていない」と思っている人ほど、この表を埋められます。書き方の全体像は第二新卒の職務経歴書テンプレを参照してください。

6. 落ちる書き方・答え方5つ

具体例なぜ落ちるか
介護語のまま型「利用者様に寄り添った介護」企業には情報が伝わらない
業界批判型「給料が安く夜勤もきつい業界なので」次も同じ理由で辞めると読まれる
数字なし型担当人数・体制・指導人数を書かない責任範囲が伝わらない
身体介護だけ型記録・家族対応・連携を書かない実績の総量が半分になる
自信なし型「介護しか経験がないので」と自分で言う面接官に否定材料を渡している

最も多いのが自信なし型です。夜勤帯に2名で数十人を見ていた人が「経験がない」と言うのは、事実に反します。

7. 面接で必ず聞かれる3問

7-1. 「なぜ介護を続けないのですか」

4-2の型で答えてください。介護を否定しないこと、自分がやったことを入れることの2点が必須です。

7-2. 「デスクワーク中心になりますが、大丈夫ですか」

「介護でも、記録の作成やご家族への報告書など、書面の業務は日常的にありました。むしろ勤務時間内に記録を終わらせるための工夫は、常にしていた部分です。座って行う業務の比率が増えることには問題ないと考えています」

7-3. 「ミスをしたことはありますか。どう対応しましたか」

介護職はこの質問に最も強く答えられます。

「ヒヤリハットの報告は制度として行っていました。実際に、記録の記入漏れで申し送りが正しく伝わらなかったことがあります。すぐに上長に報告し、その日のうちに関係する職員に共有しました。原因は記入のタイミングを決めていなかったことだったので、記入の時間帯を固定する運用に変えました。

①報告 ②原因特定 ③再発防止という3点セットが、そのまま揃っています。これは他業界の応募者が最も準備できていない部分です。

8. 資格の扱い

資格一般企業での扱い
介護福祉士国家資格。介護・医療関連の企業では強い武器
初任者研修・実務者研修業界知識の証明になる
ケアマネジャー介護系SaaS・人材では非常に強い
普通自動車免許営業職では必須級

介護業界向けのサービスを扱う企業では、資格そのものが評価対象になります。資格欄に必ず記載してください。

9. よくある質問

介護職から一般企業へ転職できますか

できます。特に介護・医療業界向けのサービス企業(SaaS・人材・福祉用具)は、現場経験者を強く求めています。「業界を離れる」のではなく「業界の別の立ち位置に移る」と考えると選択肢が広がります。

年収は上がりますか

職種によります。人材コーディネーターや業界向けSaaSの営業は、インセンティブ次第で上がる可能性があります。事務職は横ばい〜やや上が一般的です。交渉の考え方は第二新卒の年収交渉を参照してください。

パソコンが使えません

介護記録をシステムで入力していたなら、それは実務経験です。エクセルが不安なら、VLOOKUPとピボットテーブルだけ独学で触っておいてください。

夜勤がなくなると生活リズムが崩れませんか

むしろ整います。ただし夜勤手当がなくなる分、額面が下がることがあります。総額と、固定給の比率を分けて比較してください。

在籍1年で辞めても大丈夫ですか

大丈夫です。介護業界は離職率が高いことが広く知られているため、他業界より寛容に見られる傾向があります。書き方は在籍半年・1年未満の職務経歴書を参照してください。

介護の求人しか紹介されません

介護特化のエージェントを使っている可能性があります。一般企業を狙うなら、第二新卒向けの総合エージェントに切り替えてください。第二新卒の転職エージェントおすすめ9選を参照してください。

また介護に戻りたくなったら

戻れます。資格は失効しませんし、慢性的な人手不足の業界です。一度離れて戻る人も多くいます。この事実は、いま動くリスクを下げる材料になります。

面接で「介護のほうが向いているのでは」と言われたら

「介護の仕事に向いていないとは思っていません。ただ、現場で感じた課題は、現場の努力だけでは解決しないものが多くありました。そこを支える側に回りたいというのが、今回の判断です」

と答えてください。介護を否定しない姿勢が、そのまま説得力になります。

10. まとめ

介護職から一般企業への転職は、経験不足ではなく翻訳不足で落ちています。

今夜やる3つのこと

① 1日の業務を、身体介護以外も含めて全部書き出す(記録・家族対応・連携・発注・指導)

求人サイトで「介護 経験 活かせる 営業」または「介護 業界 SaaS」で検索し、上位10件を見る。現場経験が武器になる求人が並んでいます

③ 担当人数・夜勤の体制・指導した人数を、数字にする

②は5分で終わります。介護経験を「歓迎条件」として明記している求人が実際に存在します。それを見るだけで、選択肢の見え方が変わります。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。