人材業界研究|第二新卒が3つの型で理解する収益構造と職種【2026年版】
〜人材業界は「人の役に立つ仕事」ですが、収益構造を理解しないと面接で見抜かれます〜
人材業界は、第二新卒の転職先として人気があります。未経験可の求人が多く、若手の採用が活発で、「人の人生に関わる仕事」という分かりやすい魅力があります。
そして、面接では必ずこう聞かれます。
「弊社は、どうやって収益を得ていると思いますか」
ここで答えられないと、「人の役に立ちたい」という動機だけで応募してきた人と判断されます。
人材業界は、人材紹介・人材派遣・求人広告の3つの型に分かれ、それぞれ収益の仕組みも、求められる動き方も違います。この3つを理解しているかどうかで、面接での受け答えがまったく変わります。
この記事は、面接前に押さえておくべき業界の構造を、最短で整理するためのものです。
1. 結論:3つの型と収益構造
① 人材紹介(エージェント)
求職者を企業に紹介し、入社が決まったときに企業から成功報酬を受け取ります。報酬は、採用された人の想定年収の30〜35%程度が一般的です。
ポイントは、入社が決まるまで1円も入らないことです。これが、この業界の動き方をほぼ決めています。
② 人材派遣
自社が雇用したスタッフを企業に派遣し、稼働時間に応じて派遣料金を受け取ります。スタッフに給与を支払い、その差額が収益になります。
ポイントは、稼働が続く限り継続的に収益が入ることです。紹介と違い、ストック型の構造です。
③ 求人広告
求人媒体への掲載枠を販売します。掲載時点で料金が発生し、採用が決まるかどうかは料金に影響しないのが基本です(成果連動型もあります)。
ポイントは、掲載しても採用が決まらない場合、顧客の満足度が下がることです。
この3つの違いが、そのまま営業の動き方の違いになります。
2. 3つの型の比較
| 項目 | 人材紹介 | 人材派遣 | 求人広告 |
|---|---|---|---|
| 収益 | 成功報酬(年収の30〜35%程度) | 派遣料金と給与の差額 | 掲載料 |
| 収益のタイミング | 入社決定時 | 稼働中は継続的に | 掲載時 |
| 1件あたりの単価 | 高い(100万円以上も) | 中(継続で積み上がる) | 低〜中 |
| 顧客 | 採用したい企業 | 人手が必要な企業 | 採用したい企業 |
| もう一方の相手 | 求職者 | 派遣スタッフ | (直接は関わらない) |
| 未経験の入りやすさ | ◎ | ◎ | ◎ |
収益のタイミングの違いが、営業の性質を決めます。
人材紹介:入社が決まるまで収益がゼロなので、「決まりそうな案件」に資源を集中させる動きになります。求職者と企業の両方をマッチさせる必要があり、片方が動かないと成立しません。
人材派遣:稼働が続く限り収益が入るため、「長く働いてもらう」ことが重要になります。スタッフのフォローが業務の大きな部分を占めます。
求人広告:掲載時点で収益が確定するため、「掲載後に採用が決まるか」が次回の受注を左右します。原稿の質と、掲載後のフォローが重要になります。
3. 人材紹介の職種:RAとCA
人材紹介では、職種の呼び方に固有の用語があります。面接で出てくるため、意味を押さえてください。
| 用語 | 意味 | 仕事内容 |
|---|---|---|
| RA(リクルーティングアドバイザー) | 企業側の担当 | 求人の受注、要件の整理、企業への推薦 |
| CA(キャリアアドバイザー) | 求職者側の担当 | 求職者の面談、求人の提案、選考の支援 |
| 両手(両面型) | RAとCAを1人で担当 | 企業と求職者の両方を担当する |
| 片手(分業型) | RAとCAが分かれている | どちらか一方を専門に担当 |
両手と片手の違いは、働き方に大きく影響します。
| 両手(両面型) | 片手(分業型) | |
|---|---|---|
| 担当範囲 | 企業と求職者の両方 | どちらか一方 |
| 業務量 | 多い | 相対的に少ない |
| 収益への直結度 | 高い(自分で完結) | 分担 |
| 身につくもの | 採用の全体像 | 専門性の深さ |
| 未経験の入りやすさ | ○ | ◎ |
未経験なら、片手(特にCA)から入るケースが多いです。ただし、企業によって方針が異なるため、面接で「両面型ですか、分業型ですか」を必ず確認してください。
この質問ができると、業界を調べてきたことが明確に伝わります。
4. 編集長の実体験:人材業界の営業と話したときのこと
前職の広告営業時代、人材紹介会社の営業担当と接点がありました。営業同士として、互いの仕事について話す機会が何度かありました。
私「人材紹介って、決まるまでお金が入らないんですよね」
相手「そうです。だから、決まらない案件に時間を使えない」
私「厳しいですね」
相手「でも、そこが面白いところでもあって。『この求人は、この条件だと決まらない』が分かるようになると、企業側に要件を変える提案ができる。
必須要件が4つ以上ある求人は、成約率が明らかに低いんです。それをデータで見せて、『この2つは歓迎要件に落としませんか』と提案する。それで決まることが多い」
もう一つ、印象に残った話があります。
私「求職者の方に、無理に決めさせることはないんですか」
相手「短期的にはできます。でも、早期に辞められると返金規定があるので、結局マイナスになる」
私「返金規定?」
「入社から一定期間内に退職された場合、報酬の一部または全部を返金する契約になっていることが多いんです。だから、合わない人を無理に入れると、報酬が消えるうえに、企業からの信頼も失う」
この「返金規定」の話が、人材紹介のビジネスモデルを理解するうえで最も重要な部分です。
面接で「無理に決めさせることはないのですか」と聞かれたとき、この構造を踏まえて答えられると、業界理解が明確に伝わります。
答え方の例
「早期に退職された場合の返金規定があると理解しています。合わない方を無理に入社させても、結果的に報酬が消えるうえ、企業からの信頼も失います。したがって、決めることと、合う相手に決めることは、この業界では両立していると考えています。」
5. 未経験から入る場合の職種と条件
| 職種 | 業務 | 未経験の入りやすさ | 前職で有利になる経験 |
|---|---|---|---|
| CA(キャリアアドバイザー) | 求職者の面談と支援 | ◎ | 接客、営業、コールセンター |
| RA(リクルーティングアドバイザー) | 企業への営業 | ◎ | 法人営業 |
| 両面型の営業 | 企業と求職者の両方 | ○ | 法人営業 |
| 派遣のコーディネーター | スタッフの配置とフォロー | ◎ | 接客、店舗運営、事務 |
| 求人広告の営業 | 掲載枠の販売、原稿の提案 | ◎ | 営業、販売 |
| 採用支援・RPO | 企業の採用業務を代行 | ○ | 人事、営業 |
第二新卒の未経験採用は、この業界で最も活発な部類です。理由は、業界自体の成長と、若手の採用ニーズが高いことです。
入社後の年収
| 段階 | 年収の目安 |
|---|---|
| 未経験入社時 | 320〜420万円+インセンティブ |
| 3年後 | 450〜650万円 |
| マネージャー | 600〜900万円 |
インセンティブの比率が高い企業が多いため、成果によって年収の幅が大きくなります。面接では「基本給とインセンティブの割合」と「未経験で入社された方の初年度実績」を確認してください。
6. 「激務」と言われる理由と、確認すべきこと
人材業界は、労働時間が長くなりやすい構造があります。理由は3つです。
① 求職者との面談が、平日の夜と土日に入る
在職中の求職者が多いため、面談は19時以降や土日になります。これが、労働時間が伸びる最大の要因です。
② 企業と求職者の両方の都合に合わせる必要がある
日程調整が業務の大きな部分を占めます。両面型の場合、この負荷が倍になります。
③ 成果が数字で明確に出る
成約数、売上、面談数。すべて数字で管理されるため、目標への圧力が生じやすい環境です。
面接で確認すべき5項目
| 確認項目 | 聞き方 |
|---|---|
| 両面型か分業型か | 「担当は両面型ですか、分業型ですか」 |
| 1人あたりの担当数 | 「1人あたり、何名の求職者を担当されますか」 |
| 面談の時間帯 | 「求職者の方との面談は、何時ごろが多いですか」 |
| 土日の勤務 | 「土日の勤務はどのくらいの頻度でありますか」 |
| 直近3ヶ月の残業時間 | 「配属予定の部署の平均残業時間を教えてください」 |
3番目と4番目は、この業界固有の確認項目です。「土日は休みです」と書かれていても、実際には月に何度か出勤するケースがあります。
7. 面接で追撃される5つの質問
Q1.「弊社は、どうやって収益を得ていると思いますか」
業界理解を測る質問です。第1章の内容で答えてください。「成功報酬型で、入社が決まった時点で企業から年収の30%程度を受け取る形と理解しています」と言えれば十分です。
Q2.「なぜ人材業界を志望するのですか」
「人の役に立ちたいから」だけでは不十分です。
答え方の例
「前職の営業では、自社製品を提案する形だったため、お客様に合わない場合でも別の選択肢を示せませんでした。人材紹介は、求職者の希望と企業の要件を突き合わせる仕事であり、合わない場合は別の求人を提案できる。この構造のほうが、自分の納得と一致すると考えています。」
Q3.「求職者と企業、どちらの立場に立ちますか」
この業界特有の質問です。どちらか一方を選ぶ答えは避けてください。
答え方の例
「両方の立場に立つ必要があると考えています。求職者に合わない求人を勧めれば早期に退職され、返金規定により報酬も失われます。企業の要件を無視して推薦しても、選考が通りません。双方が納得する形を作ることが、結果的に収益にもつながる構造だと理解しています。」
Q4.「数字への圧力がありますが、大丈夫ですか」
前職での経験に紐づけて答えてください。「前職でも月次の売上目標があり、達成に向けて案件の優先順位を管理していました」。
Q5.「土日や夜の面談が発生しますが、問題ありませんか」
正直に答えて構いませんが、業務の構造を理解していることを示してください。「在職中の求職者の方が多いため、夜間と土日の面談が発生すると理解しています。前職も繁忙期には時間が不規則でしたので、対応できると考えています」。
8. 業界研究の進め方(合計2時間)
| 時間 | やること |
|---|---|
| 30分 | 応募先が3つの型のどれか、また両面型か分業型かを確認 |
| 30分 | 応募先のサービスサイトを、求職者として実際に見る |
| 30分 | 直近のプレスリリース・ニュースを3本読む |
| 30分 | 前職での「相手の希望を整理して提案した経験」を整理 |
2番目が効果的です。
人材紹介の場合、求職者として自社のサイトを見ると、どんな求人を扱っているか、どんな面談の案内をしているかが分かります。
面接で使える形
「求職者としてサイトを拝見しました。◯◯業界の求人が多く掲載されており、その領域に強みをお持ちだと理解しました。前職でも同じ業界のお客様を担当していたため、企業側の事情については理解できる部分があると考えています。」
9. よくある質問
人材業界は未経験でも入れますか?
入れます。第二新卒の未経験採用が最も活発な業界のひとつです。営業・接客・コールセンター・事務のいずれの経験も、翻訳して応募できます。
人材紹介・派遣・求人広告、どれがいいですか?
身につくものが違います。人材紹介は求職者と企業の両方に深く関わり、単価が高い。派遣はスタッフのフォローが中心で、継続的な関係を作る。求人広告は原稿の企画と提案が中心で、マーケティングに近い。面接で「なぜこの型か」を聞かれるため、違いを理解してから応募してください。
「人の役に立ちたい」は志望動機になりますか?
それだけでは不十分です。応募者の大半が言います。収益構造を理解したうえで、「求職者と企業の双方が納得する形を作ることが、結果的に収益にもつながる」という構造への理解を示してください。
激務ですか?
労働時間が長くなりやすい構造があります。求職者との面談が夜間や土日に入るためです。ただし、企業によって差が大きいため、面接で「面談の時間帯」「土日の勤務頻度」「直近3ヶ月の平均残業時間」を必ず確認してください。
両面型と分業型、どちらがいいですか?
未経験なら分業型のほうが立ち上がりが楽です。担当範囲が限定されるためです。一方、両面型は採用の全体像が見えるため、将来的に人事や採用支援へ移る場合に経験が活きます。面接で必ず確認してください。
人材業界から次はどこへ行けますか?
事業会社の人事(採用担当)への転職が最も一般的です。採用要件の整理、母集団の形成、候補者対応を外側から経験しているため、直接活きます。また、SaaS営業・法人営業への転職でも、無形商材の提案経験として評価されます。
インセンティブはどのくらいですか?
企業によって幅が大きいです。基本給が高くインセンティブが小さい企業と、その逆があります。面接で「基本給とインセンティブの割合」と「未経験で入社された方の初年度の年収実績」を確認してください。
返金規定とは何ですか?
紹介した人材が、入社から一定期間内に退職した場合、報酬の一部または全部を企業に返金する契約条項です。この規定があるため、合わない人を無理に入社させても、結果的に収益にならない構造になっています。面接でこの理解を示せると、業界研究の深さが伝わります。
10. まとめ:今夜やる3つのこと
人材業界の面接では、収益構造を理解しているかが最初の関門です。合計2時間の準備で、他の応募者と明確に差がつきます。
今夜やること
① 応募先が人材紹介・派遣・求人広告のどれかを確認する(サービスサイトで判別できます)
② 人材紹介の場合、両面型か分業型かを求人票で確認する(書かれていなければ、面接での質問に)
③ 応募先のサービスサイトを、求職者として実際に見る(どんな求人を扱っているか、面談の案内はどうか)
③をやっておくと、「サイトを拝見しました」と具体的に切り出せます。人材業界の面接では、この一言が効きます。自社のサービスを実際に見ている応募者は、多くありません。
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この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。