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IR担当という職種|第二新卒が知る仕事の実際と未経験からの入口【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月6日 読了 約15分
IR担当という職種|第二新卒が知る仕事の実際と未経験からの入口【2026年版】

上場企業の管理部門の求人を見ていると、この職種名が出てきます。

「IR」。

Investor Relations の略で、日本語では投資家向け広報と呼ばれます。

ただし、この訳語だけでは仕事の中身が分かりません。

IRの仕事は、自社の状況を、投資家が判断できる形で伝えることです。

決算の数字、事業の状況、今後の見通し。これらを資料にまとめ、説明会で説明し、投資家からの質問に答えます。

つまり、経理と広報の間にある仕事です。

数字を扱う点では経理に近く、外部に伝える点では広報に近い。この両方が必要になります。

そして、第二新卒の未経験からの直接の入口は、かなり狭い。

ただし、道筋はあります。この記事では、仕事の実際、広報・経理との違い、隣接職種からの経路、求められる力を整理します。

1. 結論:この職種を検討する判断は3点

1. 数字を扱うことが苦にならないか。決算の数字が業務の中心です。

2. 同じ内容を、相手によって説明し分けられるか。

3. 上場企業(またはこれから上場する企業)に絞る前提を受け入れられるか。

3番目が前提条件です。

IRは、株式を公開している会社にしか存在しない職種です。

つまり、応募先が上場企業とその予備軍に限定されます。

この時点で、求人の絶対数がかなり少なくなります。

前提内容
対象企業上場企業、上場準備中の企業
部門の人数1〜5名程度のことが多い
求人の頻度多くない
経験者採用中心

2. 仕事の実際

1年の流れで見ると、決算の周期に合わせて動きます。

時期やること
決算の締め後決算短信・説明資料の作成
決算発表説明会の運営、資料の公開
発表後投資家・アナリストとの面談
通年問い合わせ対応、開示資料の準備
年1回株主総会の準備・運営

四半期ごとに、この山が来ます。

だから、繁忙期が年4回あります。

業務時間の配分で見ると、資料の作成が最も多い。

資料作成が業務の中心

決算説明資料は、数字を並べるだけの資料ではありません。

「なぜこの数字になったか」を説明する資料です。

そのため、事業部門や経理から情報を集め、それを外部に説明できる形に整理する作業が中心になります。

集める先内容
経理確定した数字
事業部門数字の背景、今後の見通し
経営層方針、伝えたいこと
法務開示に関する確認

社内の調整が業務のかなりの部分を占めます。

この点で、社内調整の経験は直接的に活きます。

3. 広報・経理との違い

項目IR広報経理
相手投資家、アナリストメディア、一般社内、税務署等
扱うもの決算数字、事業の見通し事業のニュース会計処理
求められる正確さ極めて高い高い極めて高い
制約開示のルール少ない会計基準

4行目が、この職種の特徴です。

IRでは、開示に関するルールを守る必要があります。

特定の投資家にだけ未公表の重要な情報を伝えることは、認められていません。

だから、「何を、いつ、どう伝えるか」が厳密に管理されます。

この制約の中で伝える必要があるため、広報とは進め方がかなり違います。

なお、開示に関するルールの詳細は、法令や取引所の規則で定められています。実務では、法務部門や外部の専門家と連携して判断します。

4. 未経験からの入口

直接の入口は狭い。理由は2つあります。

1つ目は、求人の絶対数が少ないこと。

2つ目は、数字と開示の両方の理解が必要なため、経験者が優先されること。

現実的な道筋は次の3つです。

道筋内容
社内異動経理・広報・経営企画から
隣接職種から転職経理、経営企画、証券・金融
上場準備中の企業体制を作る段階で募集がある

3行目が、第二新卒には現実的です。

上場を準備している企業では、IRの体制をこれから作ります。

この段階では、経験者を確保できないことも多く、経理や経営企画の経験がある人を採用して育てる場合があります。

隣接職種からの接続

職種IRへの接続
経理決算数字の理解、開示資料の作成経験
経営企画事業計画、数字の分析
証券・金融投資家側の視点、財務諸表の読解
広報外部への説明、資料の作成
コンサル資料の作成、説明の構成

3行目は見落とされがちですが、有力です。

証券会社や金融機関で財務諸表を読んでいた経験は、IRで直接活きます。

投資家がどこを見ているかを知っているためです。

「前職では法人向けの融資審査を担当し、決算書から事業の状況を読み取る業務を行っていました。投資家がどの数字に注目するかを、審査する側から見てきた経験があります」

この翻訳は、IRの応募で強く効きます。

5. 求められる力

具体的に何をするか
数字を読む決算数字の意味を理解する
数字を説明するなぜその数字かを言葉にする
資料を作る分かりやすい構成にまとめる
社内を動かす各部門から情報を集める
正確さを守る開示のルールに従う

2番目が最も評価される部分です。

数字を並べるだけなら、経理の資料で足ります。

IRに求められるのは、「売上が前年比で12%増えた」の後に「なぜか」を説明することです。

この説明のためには、事業を理解している必要があります。

「説明し分ける」力

相手によって説明の深さを変える必要があります。

相手求める情報
アナリスト詳細な数字、前提条件
機関投資家中長期の戦略
個人投資家事業の分かりやすい説明

同じ内容を、3通りに説明し分ける。

この構造は、営業で相手によって提案を変えた経験と同じです。

前職でこの経験がある人は、それを書いてください。

6. 他業界からの翻訳

前職の経験を、IRの言葉に置き換えてください。

前職翻訳できる経験
経理決算、開示資料の作成
金融・証券財務諸表の読解、投資家の視点
営業相手に応じた説明、数字の説明
広報対外的な発信、資料の作成
事務・管理資料の正確な作成、期限の管理
コンサル構造化、資料の作成

3行目に注目してください。

営業経験も、翻訳できます。

「数字を根拠に、相手に説明して納得を得る」という構造は、IRと共通しています。

「前職では法人営業を担当し、提案の際に相手の立場によって説明を変えていました。現場の担当者には運用の変化を、決裁者には費用と効果を中心に説明する形です。同じ内容を相手に応じて説明し分ける進め方は、IRでも必要だと考えています」

ただし、営業経験だけでは足りません。数字を扱った経験を必ず添えてください。

7. 求人の探し方

見る場所内容
職種名「IR」「経営企画(IR含む)」
会社の状況上場済みか、準備中か
部門の体制人数、他の業務との兼務
必須要件実務経験の有無
歓迎要件隣接職種が入っているか

1行目に注意してください。

IRが単独の職種として募集されることは、多くありません。

「経営企画」「管理部門」の求人の中に、業務の一つとして含まれている場合があります。

職種名で検索するだけでなく、業務内容の欄に「IR」が含まれる求人を探してください。

3行目も重要です。

IRを専任で担当する会社と、経営企画や経理と兼務する会社があります。

第二新卒であれば、兼務の形のほうが入りやすい場合があります。他の業務も担当しながら、IRを学べるためです。

8. キャリアの伸び方

進む方向内容
IRの責任者部門の統括、戦略の設計
経営企画事業計画、経営の意思決定
財務資金調達、資本政策
他社のIR経験者としての転職

4行目が現実的です。

IRは経験者の採用が中心のため、一度経験を積むと転職の選択肢が広がります。

求人数は少ないものの、経験者の供給も少ないためです。

だから、最初に入る難しさに対して、その後の市場価値は高くなりやすい構造があります。

経営に近い位置で働ける

IRは、経営層と直接やり取りする機会が多い職種です。

決算の説明内容は、経営の方針そのものだからです。

第二新卒の年齢帯で経営層と接する機会があるのは、この職種の特徴です。

ただし、その分だけ求められる正確さも高くなります。

9. よくある質問

Q. 未経験でもIRになれますか

直接の入口はかなり狭い職種です。

社内異動か、隣接職種(経理、経営企画、金融)を経由する道筋が現実的です。上場準備中の企業では、育成前提の募集がある場合があります。

Q. 簿記の資格は必要ですか

必須ではありませんが、決算数字を扱うため理解は必要です。

日商簿記2級程度の知識があると、業務の理解が早くなります。

Q. 英語は必要ですか

会社によります。

海外の投資家が多い会社では求められますが、国内の投資家が中心の会社では必須でない場合があります。求人票の要件を確認してください。

Q. 広報とIRはどちらが入りやすいですか

広報のほうが求人数が多く、入口は広い。

広報で経験を積んでからIRに移る道筋もあります。ただし、IRでは数字の理解が必要になるため、その部分は別に補う必要があります。

Q. 残業は多いですか

決算の時期に集中します。

四半期ごとに繁忙期があるため、年4回の山があります。面接で、決算期の稼働を具体的に確認してください。

Q. 上場企業でないと働けませんか

基本的にはそうです。

ただし、上場を準備している企業では、体制を作る段階で募集があります。この段階では未経験からの採用の可能性が比較的あります。

Q. 求人が見つかりません

「経営企画」「管理部門」の求人の業務内容を確認してください。

IRが単独で募集されることは少なく、他の業務と併せて募集される場合が多くあります。

Q. 金融業界の経験は活きますか

強く活きます。

財務諸表を読む経験や、投資家側の視点を持っていることは、IRで直接の武器になります。必ず書いてください。

10. まとめ:今週やる3つのこと

1. 前職で「数字を根拠に、相手に説明した」経験を3つ書き出す。これが翻訳の材料です。

2. 相手によって説明を変えた経験を1つ選ぶ。IRの中核に近い経験です。

3. 「経営企画」「管理部門」の求人の業務内容に、IRが含まれるものを探す。職種名だけで検索しないでください。

入口は狭い職種ですが、経験者の供給も少ないため、一度入ると市場価値は高くなりやすい構造です。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。