やりたいことがないまま転職する|第二新卒が使う3つの決め方【2026年版】
〜「やりたいこと」を先に決めないと転職できない、という前提が間違っています〜
「やりたいことが見つからないので、転職に踏み切れない」
20代で転職を考える人から、最も多く届く言葉です。
そして、この状態のまま自己分析を続けても、答えは出ません。「やりたいこと」は、考えて見つかるものではなく、やってみた結果として後から分かるものだからです。
私自身、第二新卒で転職したとき、やりたいことは決まっていませんでした。
広告営業を1年半やって、「これは違う」とは思っていました。ただ、「じゃあ何がやりたいのか」には答えられませんでした。
それでも、転職はできました。そして、入社してから「これがやりたかったのかもしれない」と思うようになりました。
順番が逆なのです。
この記事では、やりたいことがないまま仕事を決める3つの軸と、面接で「やりたいことは?」と聞かれたときの答え方を整理します。
1. 結論:3つの軸で決められる
| 軸 | 決め方 | 向いている人 |
|---|---|---|
| ① 避けたいことから決める | 二度と経験したくない条件を書き出す | 現職に明確な不満がある |
| ② 得意なことから決める | 人より苦にならない作業を探す | 何が嫌かも分からない |
| ③ 身につけたいことから決める | 3年後に持っていたい能力を決める | 将来の不安が動機 |
どれか1つで十分です。3つ全部を埋める必要はありません。
そして、最も早く答えが出るのは①です。
「やりたいこと」は思いつかなくても、「これはもう嫌だ」は、たいてい即答できます。
例えば、次のような形です。
| 避けたいこと | 導かれる条件 |
|---|---|
| 毎月の数字に追われるのが辛い | 個人ノルマの薄い職種 |
| 飛び込み営業が苦痛 | インバウンド中心の営業/内勤職 |
| 誰の役に立っているか分からない | 顧客と直接接点のある仕事 |
| 一人で黙々と作業したい | チーム密度の低い職種 |
| 転勤が嫌だ | エリア限定・拠点固定の求人 |
避けたいことを5つ書き出すだけで、応募先はかなり絞れます。
2. なぜ「やりたいこと」が見つからないのか
理由は3つあります。どれも、あなたの問題ではありません。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| ① 経験した仕事の種類が少ない | 社会人1〜3年目で、知っている職種は1つか2つ |
| ② 職種の実態を知らない | 名前は知っていても、1日の中身を知らない |
| ③ 「やりたいこと」の定義が高すぎる | 「一生をかけたいこと」を探している |
①が最大の理由です。
世の中には数百の職種があり、あなたが経験したのは1つです。その1つが合わなかったからといって、残り数百のうちどれが合うかは、経験していない以上、分かりようがありません。
②も大きい。「人事」「経営企画」「カスタマーサクセス」。名前は知っていても、その人が月曜の朝に何をしているかは、調べないと分かりません。
そして③。
多くの人が「やりたいこと」を、「情熱を持って一生続けられること」だと思っています。
その定義なら、見つからなくて当然です。
実際に必要なのは、もっと低い基準です。
転職の判断に必要な「やりたいこと」の基準
今より、少しマシだと思えること
これで十分です。
3. 編集長の実体験:やりたいことがないまま、2社から内定が出た
私が第二新卒で転職活動を始めたとき、やりたいことは、まったく決まっていませんでした。
広告営業をしていて、辞めたい理由ははっきりしていました。単発の出稿で終わる関係が続くこと。半年後にその会社がどうなったか、まったく知らないままであること。
ただ、「じゃあ何がやりたいのか」と聞かれると、答えられませんでした。
エージェントの初回面談で、正直に言いました。
私「正直、やりたいことが決まってないんです。この状態で転職活動していいんでしょうか」
担当者「むしろ、決まってる人の方が少ないですよ」
私「そうなんですか」
担当者「木戸さん、さっき『半年後にどうなったか知らないのが嫌だ』って言いましたよね。それ、もう答えですよ」
私「答え、ですか」
担当者「『継続して関わる仕事がしたい』ということです。やりたいことって、こういう形でしか出てこないんです。『何がやりたいか』じゃなくて、『何が嫌だったか』の裏返しです」
私「……それ、志望動機になりますか」
担当者「なります。むしろ、それが一番強いです。実体験から出てるので」
この面談で、活動の方向が決まりました。
「継続して顧客と関わる商材」で絞ると、SaaSが候補に上がりました。買い切りではなく、契約が続く商材だからです。
結果として、2ヶ月で10社に応募し、2社から内定が出ました。
そして、入社してから1年ほど経った頃、こう思うようになりました。
「営業そのものより、数字を設計する方が面白い」
これが、私の「やりたいこと」でした。そして、これは転職前には絶対に分からなかったことです。営業企画という職種を、私は経験するまで知らなかったからです。
ここで学んだのは、「やりたいこと」は探すものではなく、動いた結果として見つかるものだ、ということです。
4. 軸① 避けたいことから決める
最も早く、最も確実な方法です。
手順
紙に、次の質問への答えを書いてください。
| # | 質問 |
|---|---|
| 1 | 今の仕事で、月曜の朝に一番嫌なことは何ですか |
| 2 | 二度とやりたくない業務は何ですか |
| 3 | この条件だけは絶対に嫌だというものを3つ挙げてください |
| 4 | 前職・現職で、辞めたいと思った具体的な場面を1つ書いてください |
| 5 | それは、会社の問題ですか、職種の問題ですか |
5番目が、判断を分けます。
| 原因 | 打つべき手 |
|---|---|
| 会社の問題(上司、社風、制度) | 同じ職種で会社を変える |
| 職種の問題(業務内容そのもの) | 職種を変える |
| 業界の問題(商習慣、顧客層) | 業界を変える |
会社の問題なのに職種を変えると、遠回りになります。経験が引き継げず、年収も下がりやすくなります。
避けたいことを、求人の条件に翻訳する
| 避けたいこと | 求人票で見る項目 |
|---|---|
| 数字に追われたくない | 職種(内勤/企画/管理系)、評価制度 |
| 飛び込み営業が嫌 | 「反響営業」「インバウンド」「既存顧客中心」の記載 |
| 転勤が嫌 | 勤務地、「転勤なし」の記載 |
| 残業が多いのが嫌 | 月平均残業時間、みなし残業の有無 |
| 一人で抱えたくない | 組織図、チーム人数 |
求人票の読み方については、専用の記事も参考にしてください。
5. 軸② 得意なことから決める
「避けたいこと」も出てこない場合は、こちらです。
ここで言う「得意なこと」は、成果を出したことではありません。
定義
他の人より苦にならない作業
この定義が重要です。「人より上手い」ではなく「人より苦にならない」です。
探し方の質問
| # | 質問 |
|---|---|
| 1 | 職場で人から頼まれることは何ですか |
| 2 | やっていて時間を忘れる作業は何ですか |
| 3 | 同僚が「面倒だ」と言うのに、自分は気にならない作業は何ですか |
| 4 | 学生時代を含めて、人に感謝された場面を3つ挙げてください |
3番目が最も有効です。
「みんなが面倒がるのに、自分は平気」というものが、あなたの得意です。
| 例 | 向いている職種 |
|---|---|
| 議事録を取るのが苦にならない | 秘書、事務、企画のサポート |
| 数字の突き合わせが苦にならない | 経理、データ分析、営業企画 |
| 初対面の人と話すのが苦にならない | 営業、カスタマーサクセス、人事 |
| マニュアルを読むのが苦にならない | エンジニア、法務、品質管理 |
| 人の話を最後まで聞ける | 人事、カスタマーサポート、キャリア支援 |
強みの見つけ方については、専用の記事にまとめています。
6. 軸③ 身につけたいことから決める
「今のままだと、30代で困る気がする」という不安が動機の場合は、こちらです。
手順
3年後に、履歴書に書けるようになっていたいことを1つ決めてください。
| 3年後に持っていたいもの | 選ぶべき職種の例 |
|---|---|
| 数字を設計できる | 営業企画、経営企画、マーケティング |
| 一人で完結できる技術 | エンジニア、デザイナー、経理 |
| 人を動かせる | マネジメント経験のある職種、人事 |
| 業界の専門性 | 特定業界に絞った職種 |
| 顧客との関係構築 | 営業、カスタマーサクセス |
「何になりたいか」ではなく「何ができるようになりたいか」で考えてください。
職種名は変わりますが、能力は残ります。
この軸の注意点
「成長したい」だけでは、志望動機になりません。
面接で「成長したいです」と言うと、「うちは学校ではない」と受け取られます。
必ず、「何を身につけて、それで何をするか」まで言ってください。
弱い:御社で成長したいです
強い:数字を設計する力を身につけて、施策の効果を検証できる営業になりたいです
7. 面接で「やりたいことは?」と聞かれたときの答え方
この質問は、ほぼ確実に来ます。
そして、「特にありません」は絶対に避けてください。
使える型
3ブロックの型
① 現職での経験(何をして、何に気づいたか)
② そこから出た方向(避けたい/得意/身につけたい、のどれか)
③ この会社でやること(具体的な業務に接続)
例文(避けたいことから)
「前職では広告の営業をしていました。単発の出稿で関係が終わることが多く、半年後にその会社がどうなったかを知らないまま次に進むことに、違和感がありました。
そこから、継続して顧客と関わる仕事がしたいと考えるようになりました。
御社のサービスは契約が継続する形なので、導入後の運用まで関わることができると考えています。まずは営業として顧客を担当し、導入後の課題まで見られるようになりたいです。」
例文(得意なことから)
「前職では営業事務をしていました。周囲が面倒がる数字の突き合わせが、自分は苦にならないことに気づきました。受注ミスの原因を集計して、確認項目をチェックリスト化したこともあります。
この「数字を整理して原因を探す」作業を、業務の中心にしたいと考えています。
御社の営業企画は、まさにその仕事だと理解しています。」
例文(身につけたいことから)
「前職では法人営業を1年半担当しました。数字を追う中で、なぜその施策が効いたのかを説明できない場面が多くありました。
3年後には、施策を設計して効果を検証できる立場になりたいと考えています。
御社では、営業とマーケティングの距離が近いと伺っています。まず現場で顧客を理解し、その上で企画側に関わっていきたいです。」
どの型も、「やりたいこと」という言葉を使わずに答えています。これで問題ありません。
8. やってはいけない3つのこと
| やってはいけないこと | なぜダメか |
|---|---|
| ① やりたいことが決まるまで動かない | 動かないと見つからない |
| ② 自己分析を1ヶ月以上続ける | 材料が増えないので答えが出ない |
| ③ 「何でもやります」と言う | 何も考えていないと受け取られる |
②について補足します。
自己分析は、過去の経験を整理する作業です。経験が増えない限り、材料は増えません。
1〜2週間やって出ないものは、1ヶ月やっても出ません。
その場合は、動いてください。求人を見る、エージェントと話す、フェアで現場の人に会う。外から材料を入れないと、答えは出ません。
③については、「何でもやります」の代わりに「◯◯は避けたいです」と言ってください。
避けたいことが言える人は、考えている人です。
9. よくある質問
やりたいことがないまま転職して、また合わなかったらどうしますか?
その場合、次に活かせる材料が1つ増えています。「これも違った」が分かることには、価値があります。ただし、短期間で転職を繰り返すと経歴の説明が難しくなるため、最低1年は続ける前提で選んでください。
自己分析はどれくらいやればいいですか?
1〜2週間が上限です。それ以上やっても、材料が増えないため答えは変わりません。期限を切って、出た内容で動き始めてください。
エージェントに「やりたいことがない」と言っても大丈夫ですか?
大丈夫です。むしろ、正直に言った方が的確な提案が返ってきます。「決まっているふり」をすると、合わない求人を紹介されます。その代わり、「避けたいこと」は具体的に伝えてください。
面接で「やりたいことがない」と正直に言ってもいいですか?
その言葉のままでは避けてください。「特にありません」は、何も考えていないと受け取られます。第7章の型を使い、「避けたいこと」「得意なこと」から答えを組み立ててください。言葉を変えるだけで、印象がまったく変わります。
適性診断を受ければ、やりたいことが分かりますか?
分かりません。適性診断が示すのは「向いている傾向」であって、「やりたいこと」ではありません。ただし、選択肢を絞る材料としては使えます。結果をそのまま職種選びに使わず、候補を広げる目的で使ってください。
好きなことを仕事にすべきですか?
そうとは限りません。好きなことを仕事にすると、嫌いになる場合があります。「苦にならないこと」を仕事にして、「好きなこと」は趣味として残す、という選び方もあります。どちらが正しいというものではありません。
周りは目標を持っているように見えて、焦ります。
持っているように見えるだけのことが多いです。20代前半で明確なキャリア目標を持っている人は、実際には少数です。他人の言葉ではなく、自分が何を避けたいかを基準にしてください。
3年後の目標を聞かれたとき、答えられません。
「何になりたいか」ではなく「何ができるようになりたいか」で答えてください。「マネージャーになりたい」より「後輩に教えられる水準まで実務を理解したい」の方が、具体的で信頼されます。
10. まとめ:今夜やる3つのこと
「やりたいこと」は、考えて見つかるものではありません。動いた結果、後から分かるものです。
そして、転職の判断に必要なのは「一生をかけたいこと」ではなく、「今より少しマシだと思えること」です。
今夜やること
① 「二度とやりたくない業務」を5つ書き出す
② そのうち1つについて、会社の問題か、職種の問題かを判定する
③ 「みんなが面倒がるのに、自分は平気な作業」を1つ書き出す
目安時間:合計30分
①は、10分あれば書けます。「やりたいこと」は10分では出ませんが、「嫌なこと」は出ます。
そして、②で「職種の問題」と判定できたなら、その時点で応募先の方向が決まっています。
この先、読むべき記事
- 自分に合う仕事の探し方|第二新卒が「やりたいこと」から探すのをやめる理由(探し方の全体像)
- 強みの見つけ方|第二新卒が自分では気づけない3つの探し方(得意なことの探し方)
- 年収・時間・やりがい|第二新卒が優先順位を決める3ステップ(条件の優先順位)
- 第二新卒の自己分析のやり方|『なぜ?』5段階深掘り完全ガイド(深掘りの手順)
- 適性診断はどこまで使えるか|第二新卒が結果を職種選びに落とす方法(診断の使い方)
- 未経験職種を紹介してもらう|第二新卒がエージェントに渡す3つの材料(職種を絞って紹介を受ける)
- 転職の軸が途中で変わったとき|面接での説明のしかた(活動の中で軸が定まる場合)
- キャリアの棚卸しを1枚のシートで|書類も面接もここから作る(面白いと感じた瞬間を探す)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。