繊維・アパレルメーカーへ転職する|第二新卒が販売職以外の職種を知る【2026年版】
〜服を「売る」のではなく「作る」側に、職種があります〜
アパレル業界と聞くと、多くの人が店舗の販売職を思い浮かべます。そして、その働き方から候補を外す人が多くいます。
ただ、服が店に並ぶまでには、素材を作る、糸にする、布にする、縫う、届ける、という長い流れがあります。その各段階に企業があり、職種があります。
そして、その多くは法人を相手にする仕事です。土日祝が休みで、平日日中の勤務という職場も少なくありません。
この記事では、業界の流れを整理して、販売職以外の入口をまとめます。
1. 結論:押さえるべきは3点
この業界を考えるときの3つの前提
① 素材から小売まで、段階ごとに別の企業がある
② 作る側の職種は、法人相手で平日中心のことが多い
③ 販売の経験は、作る側で強い材料になる
③が第二新卒にとって重要です。
店頭で何が売れて、何が返品されて、客が何を気にするかを知っている人は、作る側にとって貴重です。
「販売しかやっていない」と思っている人ほど、この材料を持っています。
2. 業界の流れ
| 段階 | 中身 |
|---|---|
| 素材(原料・化学) | 繊維の原料を作る |
| 紡績・製糸 | 原料を糸にする |
| 織布・編立 | 糸を布にする |
| 染色・加工 | 色をつけ、機能を加える |
| 縫製 | 布を製品にする |
| 商社・卸 | 各段階をつなぎ、供給する |
| アパレルメーカー | 企画し、生産を手配し、卸す |
| 小売 | 店頭で販売する |
この流れのどこに位置する企業かで、仕事がまったく違います。
「アパレルメーカー」は、企画して生産を手配する立場です。自社工場を持たず、企画と生産の管理に特化している企業も多くあります。
「商社・卸」は、素材や製品を各段階へつなぐ立場です。法人営業が中心になります。
素材側は化学・素材業界へ転職|第二新卒が文系でも入れる職種と入口を知る、商社の構造は商社へ転職|第二新卒が知る総合商社と専門商社の現実的な違いにまとめています。
機能素材という領域
繊維の技術は、服だけに使われているわけではありません。
服以外の用途
・自動車の内装や部材
・産業用のフィルターや資材
・医療用の材料
・建材や土木の資材
この領域は、服の需要と切り離されています。そのため、企業によってはこちらのほうが安定した事業になっています。
面接でこの文脈に触れられると、業界を調べていることが伝わります。
3. 販売職以外の職種
| 職種 | 仕事の中身 | 未経験の可否 |
|---|---|---|
| 生産管理 | 納期と数量の管理、工場との調整 | 可能 |
| 生産企画・MD補助 | 何をいくつ作るかの計画 | 経験により可 |
| 法人営業 | 素材や製品を企業へ販売 | 可能 |
| 品質管理 | 検品、規格への適合 | 可能 |
| 物流・在庫の管理 | 供給の設計 | 可能 |
| 販売促進・企画 | 売り場や販促の設計 | 可能 |
| デザイン・パタンナー | 製品の設計 | 実務経験が必要 |
生産管理が、この業界で最も入口が広い職種の一つです。
納期までに、必要な数量を、必要な品質で作る。そのために工場や協力先と調整する仕事で、段取りの力が評価されます。
海外の工場とやり取りする場合もあり、その場合は語学が活きます。
生産管理の書類は生産管理の自己PR|第二新卒の例文6パターンと納期と在庫の数字化、品質側は品質管理の自己PR|第二新卒の例文6パターンと不良削減の書き方を参照してください。
4. 話を聞いた例:販売から生産管理へ移った人
知人に、アパレルの店舗販売から、メーカーの生産管理へ移った人がいます。
その人が書類に書いたのは、次のような内容でした。
前職から出した材料
・担当ブランドの在庫と消化率を、週次で見ていた
・売れ残る商品の傾向を記録していた
・入荷の遅れが売上に与えた影響を把握していた
・返品や不良の内容を、本部へ報告していた
3つ目と4つ目が決め手になりました。
生産管理は、納期の遅れと品質の不良が最大の課題です。その影響を店頭で見ていた人は、なぜ守るべきかを実感として知っています。
面接では「ファッションが好き」ではなく、「入荷が遅れると、その週の売上がどうなるかを見てきた。届ける側で、そこを守りたい」という形で話しました。
販売の経験は、作る側で使える材料になります。翻訳の手順はアパレル販売から異業種へ転職|第二新卒が接客経験を武器に変える5ステップにまとめています。
5. 待遇と働き方の実態
| 職種 | 傾向 |
|---|---|
| 生産管理・企画 | 平日日中が中心 |
| 法人営業 | 平日日中が中心 |
| 品質管理 | 工場に近い場所での勤務 |
| 販売促進 | 店舗の訪問が入る場合がある |
| 販売職 | シフト制、土日祝が繁忙 |
作る側の職種は、土日祝が休みのことが多くなります。
顧客が企業であるため、相手の稼働に合わせた勤務になるためです。
繁忙期は、季節の商品の生産時期に連動します。年間の波を面接で確認してください。
年間休日の読み方は年間休日日数の読み方|105日と125日で何が違うのかを参照してください。
6. 確認する7項目
確認する7項目
① 流れのどこに位置する企業か(素材/織布/縫製/メーカー/商社)
② 服以外の用途の事業を持っているか
③ 職種(生産管理/営業/品質/企画)
④ 自社工場か、協力工場か
⑤ 海外とのやり取りの有無
⑥ 繁忙期の時期
⑦ 勤務地と転勤の範囲
②が事業の安定性に関わります。
服の需要は流行と季節に左右されますが、産業用の素材はその影響を受けにくくなります。
⑤も働き方を左右します。海外の工場と取引する場合、時差のあるやり取りが発生することがあります。
企業の見方は企業の将来性をどう見るか|公開情報から読む手順、求人票の読み方は求人票の読み方|第二新卒が9項目をこの順で読むと外さないを参照してください。
7. 面接で聞かれることと答え方
| 質問 | 見られていること | 答え方の軸 |
|---|---|---|
| なぜこの業界か | 理解の深さ | 流れのどこに関わりたいかで答える |
| 販売の経験をどう活かすか | 翻訳の力 | 在庫や納期の話に接続する |
| 段取りの経験 | 生産管理の適性 | 調整した相手と方法で話す |
| 語学は使えるか | 海外との取引 | 現状を正直に |
| 転勤は可能か | 条件の合致 | 曖昧にしない |
「ファッションが好き」だけでは、この業界でも弱いです。
代わりに、「素材から店頭まで、長い流れの中で、自分はどこに関わりたいのか」を述べてください。流れを理解していることが伝わります。
販売経験がある場合は、必ず在庫や納期の話に接続してください。「接客が得意」ではなく、「在庫と消化率を見ていた」のほうが、作る側では評価されます。
8. 語学の位置づけ
海外の工場や取引先とやり取りする場面があります。
| 場面 | 求められること |
|---|---|
| 仕様の伝達 | 読み書きが中心 |
| 納期の確認 | 文字でのやり取り |
| 品質の指摘 | 正確に伝える力 |
| 現地への出張 | 会話ができると有利 |
読み書きの比重が高くなります。
会話が流暢でなくても、仕様を正確に伝えられれば務まる場面が多くあります。
ただし、必須でない求人も多くあります。募集要項で確認してください。水準の考え方は英語を使う仕事の選び方|第二新卒が入れる職種と必要な水準にまとめています。
9. よくある質問
販売の経験しかありませんが入れますか
入れます。むしろ、店頭を知っていることが作る側では材料になります。在庫や納期の話に接続してください。
デザインができないと無理ですか
デザインを担当する職種以外では不要です。生産管理、営業、品質管理は、デザインの技能を求められません。
土日は休めますか
作る側の職種では、土日祝が休みのことが多くなります。販売職とは働き方が違います。
語学は必要ですか
海外とやり取りする企業では、あると有利です。ただし必須でない求人も多くあります。
縮小している業界ではないですか
服の国内需要は変化していますが、産業用の素材や機能素材の領域は別の動きをしています。企業ごとの事業の内訳を確認してください。
商社という選択肢もありますか
あります。繊維を扱う専門商社は、各段階をつなぐ立場で業界に関わります。商社へ転職|第二新卒が知る総合商社と専門商社の現実的な違いを参照してください。
小売業界とどう違いますか
作る側と売る側の違いです。小売側の職種は小売・流通業界へ転職する|第二新卒が本部職と店舗職の違いを知るにまとめています。
勤務地はどこになりますか
工場のある地域か、都市部の営業拠点が中心です。職種によって変わるため、求人票で確認してください。
10. まとめ:今週やる3つのこと
繊維・アパレルは、販売職以外を見るだけで、働き方の選択肢が変わります。
今週やる3つのこと
① 求人を「作る側」と「売る側」に分けて読む
② 気になる企業が流れのどこに位置するかを確認する
③ 前職で「在庫・納期・不良」に関わった場面を書き出す
③が、作る側の面接で最も効きます。店頭にいた人にしか語れない内容だからです。
この先、読むべき記事
- アパレル販売から異業種へ転職|第二新卒が接客経験を武器に変える5ステップ(販売経験の翻訳)
- 小売・流通業界へ転職する|第二新卒が本部職と店舗職の違いを知る(売る側の本部職)
- 化学・素材業界へ転職|第二新卒が文系でも入れる職種と入口を知る(素材側の業界)
- 商社へ転職|第二新卒が知る総合商社と専門商社の現実的な違い(各段階をつなぐ立場)
- 生産管理の自己PR|第二新卒の例文6パターンと納期と在庫の数字化(生産管理の書類)
- アパレルブランドの本部職へ転職する|第二新卒が企画・生産・EC・販促の入口を知る(ブランド・小売側の本部職)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。