塾講師から転職|第二新卒が説明する力を職務経歴書に翻訳する5ステップ【2026年版】
〜「教えるのが得意」では、どの職種にも接続しません〜
塾講師・予備校講師から異業種へ転職する場合、最大の課題は業務の翻訳です。
「生徒に分かりやすく教えました」という説明は、一般企業の採用担当者には響きません。
ただし、実際にやっていた業務を分解すると、そのまま使える経験が複数あります。
目標から逆算して計画を立てる。相手の理解度に合わせて説明を変える。保護者に状況を報告する。数字(成績、合格実績)を管理する。
これらは、営業、カスタマーサクセス、人事、企画で日常的に行われている業務です。
翻訳さえできれば、接続します。
そして、塾講師には、他の職種にはない強みがあります。
「専門的な内容を、知識のない相手に説明する」ことを、毎日やってきたことです。
この記事では、業務の翻訳表と、狙える職種を整理します。
1. 結論:翻訳できれば、接続する職種は多い
| 塾講師での経験 | 翻訳後の表現 | 接続する職種 |
|---|---|---|
| 授業 | 専門的な内容を、非専門家に説明する | 営業、CS、研修、Webディレクター |
| 成績の管理 | 数字を継続的に追い、原因を特定する | 営業企画、マーケティング |
| 生徒ごとの学習計画 | 目標から逆算した計画の設計と実行 | 企画、進行管理 |
| 保護者面談 | 意思決定者への状況報告と提案 | 営業、カスタマーサクセス |
| 入塾の面談・体験授業 | 提案から契約までの一連 | 営業 |
| 教材・カリキュラムの作成 | 資料の設計、業務の標準化 | 企画、人事(研修) |
| 生徒数・継続率の管理 | 顧客の維持、解約率の管理 | カスタマーサクセス |
「入塾面談」と「保護者面談」を経験している場合、営業職への接続が最も強くなります。
実質的に、提案と契約、そして契約後のフォローをやっているためです。
そして、この点を職務経歴書に書いていない人が、非常に多くいます。
2. 業務を数字に変える
塾講師の業務には、数字があります。
| 業務 | 使える数字 |
|---|---|
| 担当した生徒数 | 年間◯名、同時に◯名を担当 |
| 授業のコマ数 | 週◯コマ、年間◯コマ |
| 成績の変化 | 担当生徒の平均偏差値が◯→◯ |
| 合格実績 | 志望校の合格率◯% |
| 継続率 | 担当クラスの継続率◯% |
| 入塾面談 | 面談◯件、入塾◯件(成約率◯%) |
| 保護者面談 | 年◯回、◯名分 |
「入塾面談◯件のうち◯件が入塾」は、営業の成約率そのものです。
この数字を出せると、営業職への応募が現実的になります。
そして、「継続率」は、カスタマーサクセスへの接続材料になります。
数字が手元にない場合
正確な数字が分からない場合、概算で構いません。
「年間で約40名を担当し、うち高校3年生が15名程度でした。」
「約」「程度」を付けて、概算であることを示してください。
断定して後で食い違うより、概算だと明示する方が信頼されます。
3. 編集長の実体験:塾講師の方の書類を見た
私は塾講師の経験はありません。
ただ、塾講師から一般企業への転職を考えている方の相談を受けたことがあります。
その方の職務経歴書は、こうでした。
「集団授業を担当し、生徒一人ひとりに寄り添った指導を心がけてまいりました。分かりやすい授業を目指し、日々研鑽を積んでおりました。」
私はこう聞きました。
私「何人くらい担当されてたんですか」
相談者「年間だと、40人くらいですね」
私「入塾の面談とかも、やってましたか」
相談者「やってました。体験授業の後の面談で、保護者の方に説明する役です」
私「何件くらいやって、何件入塾されました?」
相談者「……数えたことないですね。ただ、月に4〜5件やって、2〜3件は入ってた気がします」
私「それ、成約率50〜60%ですよ」
相談者「そうなりますか」
私「営業の職務経歴書に、そのまま書ける数字です。『提案から契約まで担当し、成約率50%』って」
相談者「営業だと思ってなかったです」
この方は、その後、人材サービスの営業職に転職しました。
ここで学んだのは、塾講師は自分の業務を「教育」の枠でしか見ていないことが多い、ということです。
入塾面談は、実質的に営業です。
保護者への状況報告は、顧客への進捗報告です。
枠を変えて見れば、一般企業で使える経験になります。
4. 狙える職種
| 職種 | 接続する経験 | 入りやすさ |
|---|---|---|
| 営業(人材・教育・無形商材) | 入塾面談、保護者面談 | 高い |
| カスタマーサクセス | 継続率の管理、定期面談 | 高い |
| 人事(研修) | 教える技術、カリキュラム設計 | 中 |
| Webディレクター・編集 | 内容を分かりやすく構成する力 | 中 |
| 営業企画 | 成績の管理、数字の分析 | 中 |
| 一般事務・営業事務 | 事務処理、保護者対応 | 高い |
| 教育系企業(塾以外) | 業界知識 | 高い |
最も入りやすいのは、無形商材の営業です。
理由は2つあります。
1つ目:入塾面談で、提案から契約までを経験している。
2つ目:形のない商材(教育)を説明した経験が、そのまま使える。
「人材サービス」「SaaS」「保険」「不動産(賃貸)」など、無形商材の営業は求人数も多くあります。
教育業界内での転職
塾以外の教育系企業も、選択肢になります。
| 業態 | 特徴 |
|---|---|
| 教育系のIT企業 | 業界知識が使える。土日休みの求人あり |
| 教材の出版・制作 | 教える経験が使える |
| 学校・大学の職員 | 安定志向の場合の選択肢 |
| 企業研修の会社 | 教える技術が直接使える |
「教育に関わりたいが、勤務時間を変えたい」場合、この方向が現実的です。
5. 「なぜ塾を辞めるのか」への答え方
この質問は、必ず来ます。
そして、次の答え方は避けてください。
| 避ける答え | なぜ |
|---|---|
| 「勤務時間が不規則で」 | 事実だが、それだけだと逃げに見える |
| 「土日が休みでないから」 | 同上 |
| 「給与が低いから」 | 条件だけが理由に見える |
| 「教えるのに飽きたから」 | 否定的 |
勤務時間が理由であることは、事実として問題ありません。
ただし、それだけで終わらせないでください。
使える型
回答例①(営業に応募する場合)
「塾では、授業に加えて、体験授業後の入塾面談を担当しておりました。月に4〜5件の面談を担当し、そのうち2〜3件が入塾につながっていました。
この、相手の状況を聞いて、必要なものを提案する部分に、面白さを感じるようになりました。
教育以外の領域でも、同じ形で顧客と関わる仕事がしたいと考え、営業職を志望しております。」
回答例②(カスタマーサクセスに応募する場合)
「塾では、担当クラスの継続率を管理しておりました。途中で辞める生徒が出たとき、理由を確認して、面談の頻度や課題の量を調整するということを続けていました。
『契約した後、続けてもらうために何をするか』という部分に、最も時間を使っていました。
この経験を、より大きな規模で活かせる仕事がしたいと考えております。」
勤務時間についても聞かれたら、正直に答えて構いません。
「勤務が夕方から夜、かつ土日も出勤という点は、長期的には難しいと考えております。ただ、それだけが理由ではなく、上記の方向性で仕事をしたいという点が主な理由です。」
6. 職務経歴書の書き方
職務要約
「学習塾にて、塾講師を2年担当してまいりました。中学生・高校生の集団授業を週12コマ担当し、年間で約40名の生徒を受け持っております。
あわせて、体験授業後の入塾面談を月4〜5件担当し、うち2〜3件が入塾につながっております。
担当クラスの継続率は約85%で、途中退塾の理由を記録し、面談の頻度を調整する運用を行っておりました。」
「授業」だけでなく、「面談」と「継続率」を必ず入れてください。
ここが、一般企業に伝わる部分です。
業務内容の書き方
| 弱い書き方 | 強い書き方 |
|---|---|
| 集団授業を担当 | 中学生・高校生の集団授業を週12コマ、1クラス15〜20名を担当 |
| 生徒の指導 | 担当生徒40名について、月次で成績を確認し、個別の課題を調整 |
| 保護者対応 | 年2回の保護者面談を、担当40名分実施。学習状況と課題を報告 |
| 入塾の説明 | 体験授業後の面談を月4〜5件担当。成約率は50〜60% |
| 教材の作成 | 学年別の演習教材を作成し、教室内で共有 |
右の列は、そのまま一般企業の職務経歴書として通用します。
7. 面接で必ず聞かれる3問
Q1「なぜ塾業界を離れるのですか」
第5章の型を使ってください。
「勤務時間」だけを理由にしないでください。
Q2「営業(一般企業)の経験はありませんが、大丈夫ですか」
回答例
「業務として『営業』という名前ではやっておりませんでしたが、入塾面談で、保護者の方の要望を伺い、コースを提案し、料金を説明して契約に至るところまで担当しておりました。
月4〜5件の面談で、成約率は50〜60%程度です。
法人向けの営業は未経験ですので、まずは商材の理解と、提案の型を覚えることから始めたいと考えております。」
「実質的にやっていた」ことを、具体的に示してください。
Q3「数字を追う仕事ですが、耐えられますか」
塾講師の業務にも、数字はあります。
回答例
「塾でも、担当クラスの継続率と、担当生徒の成績を数字で管理しておりました。
継続率が下がったときは、退塾の理由を記録して、面談の頻度を増やすといった対応をしておりました。
数字を追うこと自体には、抵抗はございません。」
8. 勤務条件の確認
塾業界から一般企業に移る場合、勤務条件が大きく変わります。
| 項目 | 塾業界 | 一般企業(例) |
|---|---|---|
| 勤務時間 | 昼〜夜(14時〜22時など) | 9時〜18時 |
| 休日 | 平日休みが中心 | 土日祝 |
| 繁忙期 | 受験期(冬〜春)、講習期 | 業界による |
生活のリズムが変わるため、この点は面接で聞かれます。
聞かれたときの答え方
「朝型の生活に変わることは理解しております。むしろ、生活のリズムを一定にしたいという希望もございます。」
また、応募先の残業や繁忙期は、必ず確認してください。
「塾より楽だろう」と考えて入ると、想定と違うことがあります。
残業の確認方法については、専用の記事にまとめています。
9. よくある質問
塾講師の経験は、一般企業で評価されますか?
翻訳すれば評価されます。「教えるのが得意」ではなく、「専門的な内容を、知識のない相手に説明する」「目標から逆算して計画を立てる」という形にしてください。特に入塾面談の経験は、営業として評価されます。
アルバイトの塾講師でも、職歴になりますか?
正社員の経験がある場合は、正社員の経験を中心に書いてください。正社員経験がない、または期間が短い場合は、アルバイトの経験を書いても構いません。その場合、期間と担当範囲を明記してください。
教員免許は有利になりますか?
教育系の企業では有利になります。一般企業では、直接的な評価にはつながりにくくなります。ただし、「学習に関する専門性」の証明としては使えます。
個別指導と集団授業、どちらが評価されますか?
応募先によります。個別指導は「一人ひとりの状況に合わせる」経験、集団授業は「多数に向けて構成する」経験です。営業なら個別指導、研修や企画なら集団授業の経験が接続しやすくなります。
入塾面談を担当していません。
保護者面談の経験を使ってください。「学習状況を報告し、次の方針を提案する」という形は、顧客への進捗報告と同じ構造です。カスタマーサクセスへの接続材料になります。
数字が手元にありません。
概算で構いません。「年間約40名」「月に4〜5件」といった形で、「約」「程度」を付けて書いてください。断定して食い違うより、概算だと明示する方が信頼されます。
塾以外の教育業界も候補になりますか?
なります。教育系のIT企業、教材の出版・制作、企業研修の会社などがあります。「教育に関わりたいが、勤務時間を変えたい」場合、現実的な選択肢です。
年収は下がりますか?
職種と業界によります。無形商材の営業に移る場合、インセンティブ次第で上がる可能性があります。未経験の事務職に移る場合は、下がる可能性が高くなります。
10. まとめ:今夜やる3つのこと
塾講師から一般企業への転職は、業務の翻訳でほぼ決まります。
「教えるのが得意」ではなく、「専門的な内容を非専門家に説明する」「目標から逆算して計画を立てる」という形にしてください。
そして、入塾面談の経験があれば、それは営業経験です。
今夜やること
① 担当した生徒数、週のコマ数、継続率を書き出す
② 入塾面談・保護者面談の件数を思い出し、成約率を概算する
③ 第1章の翻訳表から、自分の経験に当てはまるものを3つ選ぶ
目安時間:合計40分
②が最も重要です。
私が相談を受けた方は、「数えたことがない」と言いました。
概算で出したら、成約率50〜60%でした。これは、営業の職務経歴書にそのまま書ける数字です。
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この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。