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秘書への転職|第二新卒が未経験から入る条件と仕事の実態【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月5日 読了 約17分
秘書への転職|第二新卒が未経験から入る条件と仕事の実態【2026年版】

〜秘書に必要なのは、気配りではなく段取りです〜

秘書は、第二新卒に人気のある職種です。専門性がありそうで、オフィスワークで、経営層の近くで働ける。ただし、求人数が非常に少ない職種でもあります。

企業に秘書が何人いるかを考えると分かります。社員300名の会社に秘書が2〜3名。1,000名の会社でも5〜10名程度です。欠員が出たときにしか募集が出ないため、1枠に数十人が応募することも珍しくありません。

その中で書類を通すには、秘書の仕事を「気配りの仕事」ではなく「段取りの仕事」として理解していることを示す必要があります。

この記事では、実際の業務内容と、未経験から入りやすい入口を整理します。

1. 結論:押さえるべきは3つ

① 秘書の中核業務は「スケジュールと情報の管理」

気配りやマナーは前提であって、評価の中心ではありません。実際の業務は、複数の予定を突き合わせて最適な配置を作ること、大量の情報を優先順位づけして届けること、先回りして必要なものを揃えること。これは段取りの仕事です。

② 未経験の入口は「チーム秘書」「営業事務からの異動」「秘書派遣」

役員秘書に未経験でいきなり入るのは、かなり難しいです。複数名を担当するチーム秘書や、秘書業務を含む一般職から入るのが現実的です。

③ 数字ではなく「処理量」と「精度」で語る

秘書の実績は売上では測れません。「1日の対応件数」「管理していた予定の数」「ミスの発生率」で語ってください。

2. 秘書の3つの型

担当業務の中心未経験の入りやすさ
役員秘書(個人付き)社長・役員1〜2名スケジュール、来客、出張、会食、機密文書× 経験者採用が中心
チーム秘書(グループ秘書)部門の複数名予定調整、資料作成、経費精算、庶務○ 未経験可の求人がある
秘書課・秘書室会社全体の秘書機能役員対応、来客、社内外の調整△ 新卒配属が中心
士業秘書(弁護士・会計士)専門職顧客対応、書類管理、期日管理○ 未経験可の求人がある
医局秘書・医療秘書医師・医局学会手続き、論文事務、日程管理◎ 未経験歓迎が多い

第二新卒が現実的に狙えるのは、下の3つです。特に医局秘書と士業秘書は、未経験歓迎の求人が比較的多い領域です。

役員秘書を目指す場合も、まずチーム秘書や関連する事務職で経験を積んでから、というルートが一般的です。

3. 実際の業務内容

業務具体的に
スケジュール管理予定の登録、重複の調整、移動時間の確保、優先順位の判断
来客対応応接室の手配、お茶出し、取次ぎ
電話・メール対応一次対応、優先度の振り分け、代理返信
出張手配航空券・宿泊の手配、行程表の作成、精算
会議の準備日程調整、会議室の確保、資料の準備・配布
資料作成会議資料、報告書、プレゼン資料の体裁調整
経費精算領収書の整理、システム入力
慶弔・贈答の手配手配と記録の管理
情報管理機密文書の管理、名刺・人脈の整理

この中で最も難しいのは、スケジュール管理です。単に予定を入れるのではなく、「どの予定を優先し、どれを断り、どれを別日に動かすか」を判断する必要があります。

秘書の仕事が「気配り」に見えるのは、この判断が外から見えないからです。実際には、関係者の力関係、案件の重要度、上司の体力配分まで踏まえた判断を、日常的に行っています。

4. 編集長の実体験:役員秘書の方から聞いた話

前職の広告営業時代、クライアントの役員にアポイントを取る際、必ず秘書の方を経由していました。ある会社の秘書の方と、何度もやり取りするうちに雑談をする関係になりました。

「秘書のお仕事って、一番大変なのは何ですか」

秘書の方「断ることですね」

「断る、ですか」

秘書の方「1日に何件もアポイントの依頼が来るんですけど、全部は受けられないんです。役員の時間は1日8時間しかないので。どれを受けて、どれを断るかを判断するのが、実は一番の仕事です

「その判断って、どうやってるんですか」

秘書の方「案件の重要度と、相手との関係と、その週の役員の負荷を見ます。あと、本人に聞かないと決められないものと、私が判断していいものを、日々の中で切り分けていく。ここができないと、全部確認することになって、結局役員の時間を奪ってしまう」

このとき、私は秘書という仕事の見方を変えました。「上司を支える」というより、「上司の時間という限られた資源を配分する」仕事だと理解したからです。

もう一つ、印象に残っている言葉があります。

秘書の方「未経験で入ってくる方に一番必要なのは、実はマナーじゃないんです。『分からないことを、どのタイミングで聞くか』の判断。すぐ聞きすぎる人も、抱え込む人も、両方うまくいかない」

これは、未経験の応募者が面接で語るべき内容そのものです。前職で「どのタイミングで確認し、どこは自分で判断したか」を語れると、この職種の理解を示せます。

5. 求められるスキルと、その示し方

求められるもの前職での言い換え
スケジュール調整力「複数部署の会議日程を調整していた」「シフトを作成していた」
優先順位の判断「1日◯件の問い合わせを優先度で振り分けていた」
正確さ「月◯件の処理で、ミスを◯件まで減らした」
文書作成「会議資料・議事録を作成していた」
情報管理「機密性の高い書類を扱っていた」「顧客情報を管理していた」
対人対応「来客・電話の一次対応を担当していた」
PCスキル「Excelで月次集計」「PowerPointで資料作成」

PCスキルは、具体的に書いてください。「Excel:VLOOKUP、ピボットテーブルを使用した月次集計」「PowerPoint:役員会議用資料の作成(月2回)」のように。秘書職の求人では、PCスキルが実質的な選考基準になっていることが多いです。

資格について

資格効果
秘書検定2級以上応募条件になっていることがある。本気度の証明
MOS(Word・Excel)PCスキルの客観的な証明
TOEIC外資系・グローバル企業の秘書では実質必須
日商簿記3級経費精算・予算管理の理解として評価される

秘書検定は、2級以上なら履歴書に書く価値があります。3級は基礎レベルのため、単独ではあまり差になりません。未経験からの応募なら、秘書検定2級とMOSの組み合わせが最も費用対効果が高い準備です。

6. 落ちる志望動機の型5つ

具体例なぜ落ちるか
「支えたい」型「人を支える仕事がしたい」応募者の大半が書く。業務理解が見えない
憧れ型「経営層の近くで働きたい」何をするのかが分かっていない
気配り型「細やかな気配りには自信があります」前提条件であって強みにならない
事務職と混同「事務作業が得意です」秘書は判断が伴う。事務処理だけではない
数字がない処理量・件数が一切ない業務の規模が伝わらない

1番目が圧倒的に多いです。「支えたい」から始まる志望動機は、書類選考でほぼ差がつきません。

差がつく書き出し

「前職では営業部で、部長を含む12名の会議日程の調整を担当していました。日程が合わないことが常態化していたため、各人の会議の優先度を3段階で整理し、動かせる予定と動かせない予定を可視化したところ、日程確定までの平均日数が5日から2日に短縮されました。」

「支える」という言葉を一切使わずに、支える仕事をしていたことが伝わります。これが秘書職の志望動機の理想形です。

7. 志望動機の例文3パターン

例文①:営業事務 → チーム秘書

前職では建設会社の営業部で、営業事務として2年間勤務しました。営業担当12名の見積書・契約書の作成と、部門の会議日程の調整を担当しています。

担当当初、部内の会議日程が確定するまでに平均5日かかっており、その間に案件が止まることがありました。各担当者の予定を優先度で3段階に分け、「動かせない予定」「調整可能な予定」「後日でよい予定」を可視化した表を作成したところ、日程確定までを平均2日に短縮できました。

この経験から、限られた時間をどう配分するかを設計する部分に、最も手応えを感じました。秘書業務は、この判断を日常的に行う仕事だと理解しています。

貴社の求人では、部門付きの秘書として複数名を担当すると記載がありました。前職で12名分の予定を扱ってきた経験が、直接活かせる領域だと考えています。

例文②:販売職 → 医局秘書

前職ではドラッグストアで2年間、レジ・品出し・処方箋受付の補助を担当しました。1日平均150名の会計対応と、期限管理を含む在庫記録が主な業務です。

担当していた業務のうち、最も注意を要したのが期限の管理でした。担当開始時、期限切れによる廃棄が月に一定数発生していたため、入荷日と期限を並べた管理表を作成し、週次で確認する運用に変えました。結果として、廃棄額を月あたり約15%削減しました。

医局秘書の業務には、学会の申込期限、論文の投稿期限、各種手続きの期日管理が含まれると伺っています。期日を管理し、先回りして準備を進めるという点で、前職で継続して行ってきたことと重なります。

医療分野は未経験ですが、専門用語や手続きについては入職後に学びながら、まず期日と書類の管理を確実に担当できる状態を目指したいと考えています。

例文③:一般事務 → 士業秘書(法律事務所)

前職では不動産管理会社の総務部で、契約書類の管理と請求処理を2年間担当しました。月に約180件の書類を処理し、契約更新の期日管理も行っていました。

業務のなかで最も重要だったのが、契約更新の期日管理です。更新漏れが発生すると顧客との関係に直接影響するため、更新日の90日前・60日前・30日前に確認する仕組みを作り、担当者へ通知する運用にしました。導入後、更新手続きの遅延はゼロになりました。

法律事務所の秘書業務では、期日の管理が業務の中心のひとつと伺っています。前職で扱っていた契約書類と同様に、期限を守ることが結果に直結する領域だと理解しています。

また、機密性の高い書類を日常的に扱ってきた経験があり、情報の取り扱いについても慎重に対応してまいりました。

8. 面接で追撃される3つの質問と、年収の目安

Q1.「秘書の仕事は、どんな仕事だと思いますか」

業務理解を測る質問です。「上司を支える仕事」は不十分です。「上司の時間をどう配分するかを判断し、必要な情報と準備を先回りして揃える仕事だと理解しています」のように、判断が伴う仕事であることに触れてください。

Q2.「上司の判断を仰ぐべきか、自分で判断すべきか、どう見分けますか」

実務理解の核心を突く質問です。「前職では、金額が◯円を超えるものと、前例がないものは必ず確認し、それ以外は自分で判断していました」のように、自分なりの基準を持っていたことを示してください。

Q3.「機密情報を扱うことになりますが、どう考えていますか」

秘書職固有の質問です。「前職でも顧客の契約情報を扱っており、持ち出しや口外をしない運用を徹底していました」のように、過去の経験に紐づけて答えてください。抽象的な決意表明では弱いです。

年収と、その後のキャリア

段階年収の目安
未経験入社時300〜380万円
経験3年350〜450万円
役員秘書(経験5年以上)450〜600万円
外資系の役員秘書500〜800万円

秘書職は、年収の伸びが緩やかな職種です。大きく上げるルートは、①外資系の役員秘書(英語力が必須)、②秘書から経営企画・広報へ移る、③人事・総務のマネジメントへ移る、の3つが中心です。

秘書経験から移りやすい職種

移り先活きる経験
経営企画経営層の意思決定を近くで見てきた経験
広報・IR社外対応、機密情報の取り扱い
人事社内調整、慶弔・庶務の実務
総務庶務全般、来客・施設対応
プロジェクト管理日程調整、進捗管理

「秘書は潰しが利かない」と言われることがありますが、上記の通り移り先はあります。ただし、移るには「調整の実績を数字で語れること」が必要です。在職中から、扱った件数と改善した数字を記録しておいてください。

9. よくある質問

秘書は未経験でも本当になれますか?

チーム秘書・医局秘書・士業秘書なら、未経験可の求人があります。役員個人付きの秘書は経験者採用が中心です。まず未経験可のポジションで実務を積み、その後に役員秘書を目指すのが現実的な順路です。

秘書検定は必要ですか?

必須ではありませんが、2級以上なら本気度の証明として機能します。3級は基礎レベルのため、単独では差になりにくいです。未経験からの応募なら、秘書検定2級とMOSの組み合わせが最も費用対効果の高い準備です。

英語力はどのくらい必要ですか?

国内企業の秘書職では、必須でないことがほとんどです。一方、外資系企業やグローバル企業の役員秘書では、実質的にビジネスレベルの英語が条件になります。求人票の応募資格欄で確認してください。

求人が少ないと聞きました。どう探せばいいですか?

「秘書」だけで検索すると件数が限られます。「営業アシスタント」「役員アシスタント」「セクレタリー」「医局事務」「法律事務」といった別の呼び方でも検索してください。実質的に秘書業務を含む求人が、別の職種名で出ていることがあります。

事務職とは何が違いますか?

判断の有無です。事務職は定められた手順で処理を進めるのが中心ですが、秘書は「どの予定を優先し、どれを断るか」「どこまで自分で判断し、どこから確認するか」という判断が日常的に伴います。面接では、この違いを理解しているかが見られます。

年収は上がりにくいですか?

伸びは緩やかな職種です。大きく上げるルートは、①外資系の役員秘書(英語力が必須)、②秘書から経営企画・広報へ移る、③人事・総務のマネジメントへ移る、の3つが中心です。在職中から、調整の実績を数字で記録しておくと、移るときに使えます。

「気配りができます」は自己PRになりますか?

単独では弱いです。気配りは前提条件として見られるため、それだけでは差がつきません。「複数名の予定を調整し、確定までの日数を短縮した」のように、段取りの実績として書いてください。

秘書は潰しが利かないと言われますが?

移り先はあります。経営企画、広報・IR、人事、総務、プロジェクト管理。いずれも、秘書業務で身につく調整力と情報管理の経験が活きます。ただし、移るには「調整の実績を数字で語れること」が必要です。扱った件数と改善した数字を、在職中から記録しておいてください。

10. まとめ:今夜やる3つのこと

秘書職は求人が少ない分、業務理解の深さで差がつきます。「支えたい」から離れることが、最初の一歩です。

今夜やること

① 前職で「複数の人の予定や依頼を調整した経験」を1つ書き出す(会議日程、シフト、来客対応、なんでも)

② その経験を件数と、短縮・改善した数字で書く(「12名分の日程を5日→2日に」の粒度)

③ 転職サイトで「秘書」の求人件数を数え、うち「未経験可」が何件かを確認する

③をやると、この職種の競争環境が具体的に分かります。件数が少ない場合、医局秘書・士業秘書・チーム秘書まで範囲を広げると、選択肢が増えます。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。