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証券会社から転職|第二新卒がノルマ以外の経験を言語化する5ステップ【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月5日 読了 約17分
証券会社から転職|第二新卒がノルマ以外の経験を言語化する5ステップ【2026年版】

〜「ノルマが厳しかった」と書くと、次でも同じと判断されます〜

証券会社のリテール営業から転職を考える20代は、少なくありません。

ただ、転職活動でつまずくポイントがはっきりしています。転職理由です。

「ノルマが厳しかった」「短期の数字に追われる働き方が合わなかった」——これは事実であることが多いのですが、そのまま書くと「営業自体が向いていない人」と判断されます。

一方で、証券営業で身につくものは、転職市場で明確に評価されます。

新規開拓の経験、決裁者との対話、無形商材の提案、数字への責任、金融の知識。これらは、SaaS営業・不動産・人材・保険・法人営業のいずれでも通用します。

この記事では、経験の翻訳と、転職理由の作り方を整理します。

1. 結論:押さえるべきは3つ

① 転職理由は「ノルマ」ではなく「営業の型」で説明する

「短期の数字を追う営業ではなく、顧客と長期的な関係を作る営業に移りたい」——この形にすると、営業を続ける意思が伝わります。

② 数字は必ず具体的に書く

証券営業は数字が明確に出る職種です。新規開拓の件数、預かり資産、達成率。この数字は、他業界の営業職への転職で強い材料になります。

③ 「無形商材の提案経験」として位置づける

証券は、形のない商品を説明して契約まで持っていく仕事です。この構造は、SaaS・人材・広告・保険と共通しています。「無形商材の営業経験」として書くと、応募できる範囲が広がります。

2. 証券営業の経験を翻訳する

証券での経験他業界への翻訳
新規開拓(飛び込み・電話)新規開拓の経験。行動量を数字で示せる
預かり資産の管理顧客の資産・状況を継続的に把握する
提案(商品の説明)無形商材の提案。目に見えないものを説明する
決裁者(経営者・資産家)との対話意思決定者と直接話す経験
リスクの説明不利な情報も含めて説明する誠実さ
市場の分析数字を読んで判断する
目標の管理数字への責任、進捗の管理
コンプライアンスの遵守規程を守る、記録を残す

特に強い材料は、「決裁者との対話」と「リスクの説明」です。

証券営業の顧客は、経営者や資産家が多く、20代前半で決裁者と直接話す経験を積んでいます。これは、他の業界の同年代にはない経験です。

また、「リスクを説明する」経験も評価されます。不利な情報を隠さずに伝える姿勢は、法人営業でもSaaS営業でも必要になるためです。

3. 編集長の実体験:証券出身の同僚から聞いた話

前職の広告営業時代、証券会社から転職してきた同僚がいました。入社2年目で移ってきた方です。

「証券からうちに来て、どうですか」

同僚「楽です。正直、比べ物にならないくらい

「そんなに違いますか」

「証券は日次で数字が出るんですよ。今日いくら、今週いくら。それが全部見える。朝礼で読み上げられる

「あと、相場が動くと、お客様から電話が来る。損が出てるときは特に。それが精神的にきつかった」

ただ、この方は転職活動で最初つまずいたそうです。

同僚「最初、転職理由に『ノルマが厳しかった』って書いてたんですよ。そしたら、面接で必ず『うちも営業ですけど大丈夫ですか』と聞かれる」

「たしかに、そうなりますね」

「それで書き換えた。『短期の数字を追う営業ではなく、お客様と長く関係を作る営業をしたい』って。

そしたら、質問が変わった。『どういう関係を作りたいんですか』と聞かれるようになって、話が前に進むようになった」

もう1つ、この方が言っていたことがあります。

同僚「証券にいたときの数字は、書いておいたほうがいい。『新規開拓で年間◯件』とか『預かり資産◯億円』とか。

他の業界の同年代で、そこまでの数字を持ってる人はあまりいない。数字を出すと、『この人は行動量がある』と分かってもらえる

この2点が、証券出身者の転職の要点です。

転職理由は「営業の型の違い」で説明する。数字は具体的に書く。

4. 狙える職種

職種活きる経験年収の変化
SaaS営業(フィールドセールス)無形商材の提案、決裁者との対話維持〜やや下がる
人材営業(法人)新規開拓、無形商材やや下がる
不動産営業(法人・投資用)金融知識、資産家との対話維持〜上昇
保険営業(法人向け)金融知識、リスクの説明維持
銀行・信託(転職)金融知識維持
事業会社の財務・経理金融知識、数字の管理やや下がる
金融系SaaS・フィンテック業界知識+営業維持〜上昇
コンサルティング分析力、決裁者との対話維持〜上昇
営業企画・セールスオペレーション数字の管理、目標の設計やや下がる

第二新卒の証券出身者にとって、最も相性が良いのは次の3つです。

① SaaS営業:無形商材の提案という構造が同じ。契約後も関係が続く点が、証券との違い。

② 金融系SaaS・フィンテック:金融の業界知識がそのまま強みになる。

③ 不動産(投資用・法人):資産家との対話経験が直接活きる。

年収について

証券会社の給与水準は、20代でも比較的高い傾向があります。インセンティブの比率が高いためです。

したがって、他業界に移ると年収が下がる場合があります。ただし、基本給ベースで見ると、それほど大きく変わらないこともあります。

「インセンティブを含む年収」ではなく「基本給」で比較してください。

5. 転職理由の作り方

使ってはいけない表現

避けるべき表現なぜ
「ノルマが厳しかった」営業自体が向いていないと判断される
「数字に追われるのが辛かった」同上
「顧客に不利益な提案をさせられた」前職批判。事実でも書かない
「相場に左右されるのが不安」環境のせいにしている
「もっと落ち着いた仕事がしたい」意欲が低いと受け取られる

使える表現の型

「短期の数字を追う営業から、顧客と長期的な関係を作る営業に移りたい」

この型が効く理由は3つあります。

  1. 営業を続ける意思が伝わる(逃げではない)
  2. 証券と応募先の違いを理解していることが伝わる
  3. 具体的な経験に接続できる

さらに具体化する

「証券営業では、商品を提案して約定した時点で、その案件は完了します。その後の運用状況は相場次第で、私が関われる部分は限られていました。

一方、担当していたお客様のなかには、資産全体の設計について継続的に相談してくださる方もいました。その関わり方のほうが、自分としては手応えがありました。

契約後も継続的に関わり、使われている状況まで責任を持つ形の営業に移りたいと考えています。」

この形なら、ノルマの話を一切せずに、転職理由が成立します。

6. 志望動機の例文3パターン

例文①:証券リテール → SaaS営業

証券会社のリテール営業として2年間、個人のお客様向けに金融商品の提案を担当してまいりました。担当顧客は約120名、新規開拓では年間約40件の口座開設を獲得しています。

業務のなかで、お客様の資産全体の状況を伺ったうえで提案する進め方を意識していました。単一の商品を勧めるのではなく、他社での保有状況、今後の資金の予定、リスクの許容度を確認してから提案する形です。この進め方に変えてから、担当顧客からの追加のご依頼が増えました。

一方、証券の商品は約定した時点で案件が完了し、その後の運用状況に私が関われる部分は限られていました。契約後も継続的に関わり、実際に使われている状況まで責任を持つ形の営業に移りたいと考えています。

貴社のSaaS営業は、導入後の活用支援まで含めて成果を見ると伺っています。無形商材を説明して契約に至る点は共通しており、そのうえで契約後の関わりがある点に関心を持ちました。

例文②:証券リテール → 金融系SaaS・フィンテック

証券会社のリテール営業として2年半、個人・法人のお客様を担当してまいりました。担当顧客は約100名、預かり資産は約◯億円です。

業務のなかで、金融機関側の業務フローに非効率な部分が多いと感じていました。口座開設の書類、本人確認、注文の受付。多くが紙とFAXで運用されており、お客様にも社内にも負担が生じていました。営業の立場では改善が難しく、手続きの説明に時間を取られることが日常的にありました。

この経験から、金融機関の業務そのものを効率化する側に回りたいと考えるようになりました。

貴社は金融機関向けのシステムを提供されており、営業職を募集されていると伺っています。証券会社の業務フローを内側から経験しているため、どこに負担が集中しているかを理解したうえで提案できると考えています。

例文③:証券リテール → 不動産(投資用・法人)

証券会社のリテール営業として2年間、資産運用の提案を担当してまいりました。担当顧客は約120名、うち約30名は経営者や資産家の方で、資産全体の設計についてご相談をいただく機会がありました。

提案のなかで、株式や投資信託だけでなく、不動産を含めた資産配分についてご質問を受けることが増えました。しかし、証券会社の立場では扱える商材が限られており、お客様の資産全体に対して踏み込んだ提案ができませんでした。

資産のなかで大きな比率を占める不動産の領域で、提案の幅を広げたいと考え、志望いたしました。

決裁者の方と直接お話しし、リスクを含めて説明したうえで判断いただくという進め方は、証券営業で日常的に行ってきたことです。宅地建物取引士については、現在学習を進めております。

7. 落ちる転職理由の型5つ

具体例なぜ落ちるか
ノルマ型「ノルマが厳しかった」営業自体が向いていないと判断される
前職批判型「顧客本位でない提案を求められた」事実でも書かない。批判する人と見られる
逃避型「落ち着いた環境で働きたい」意欲が低いと受け取られる
相場のせい型「相場に左右されるのが不安」環境のせいにしている
数字なし型実績を数字で書いていない証券出身の最大の強みを捨てている

5番目について補足します。

証券営業は、数字が明確に出る職種です。新規開拓件数、口座開設数、預かり資産、達成率。

この数字を書かないのは、最大の武器を捨てているのと同じです。

「20代前半で、これだけの行動量と成果がある」ことは、他業界の同年代と比べて明確な差になります。

8. 面接で追撃される3つの質問

Q1.「うちも営業ですが、大丈夫ですか」

転職理由の書き方によって、この質問が来るかどうかが決まります。

「ノルマが厳しかった」と書いていると、必ず来ます。

答え方の例

「営業職を続けたいと考えています。証券では、約定した時点で案件が完了する構造でしたが、御社では契約後も継続的に関わると伺っています。数字を追うこと自体ではなく、関わり方の型を変えたいと考えています。

Q2.「なぜ金融業界を離れるのですか」

金融の知識を活かせる領域(フィンテック、保険、不動産)に応募する場合は、この質問は来ません。

まったく別の業界に応募する場合、こう答えてください。

「金融の知識は資産だと考えていますが、それを活かせる領域は金融業界の中だけではないと理解しています。数字を読んで判断すること、リスクを含めて説明することは、業界を問わず必要になると考えています。」

Q3.「証券で身につけたことは何ですか」

3つ挙げてください。「新規開拓の行動量」「決裁者と直接話す経験」「不利な情報も含めて説明する姿勢」。それぞれに具体的なエピソードを1つ添えられると、説得力が増します。

9. よくある質問

「ノルマが厳しかった」と正直に言ってはいけませんか?

書類と面接では避けてください。事実であっても、「営業自体が向いていない人」と判断されます。「短期の数字を追う営業から、顧客と長期的な関係を作る営業に移りたい」という形に変換してください。

在籍1〜2年でも転職できますか?

できます。証券会社は離職率が高い業界として知られており、20代前半での転職は珍しくありません。ただし、在籍期間が短いほど、転職理由の説明が重要になります。

年収は下がりますか?

インセンティブを含む年収で比較すると、下がる場合があります。ただし、基本給ベースではそれほど変わらないこともあります。「基本給」で比較してください。また、SaaS営業や不動産では、インセンティブを含めて維持または上昇する可能性もあります。

金融業界に残るべきですか?

金融の知識を活かせる領域(フィンテック、保険、不動産、銀行)に移ると、年収を維持しやすくなります。一方、まったく別の業界でも、無形商材の営業経験は評価されます。年収を優先するか、働き方を優先するかで判断してください。

資格は活かせますか?

証券外務員は、証券・金融業界以外ではあまり評価されません。一方、ファイナンシャルプランナー(FP2級以上)、簿記2級、宅地建物取引士は、他業界でも評価される資格です。在職中に取得しておくと、選択肢が広がります。

「顧客本位でない提案をさせられた」と言ってもいいですか?

言わないでください。事実であっても、前職批判は「批判する人」という印象を与えます。また、コンプライアンスに関わる内容を面接で話すのは、リスクがあります。「関わり方の型を変えたい」という表現に留めてください。

数字はどこまで書いていいですか?

個人が特定できる情報や、社外秘の情報は書けません。担当顧客数、新規開拓件数、達成率、預かり資産の概算(「◯億円規模」)は、通常書ける範囲です。特定の顧客名や、具体的な取引内容は書かないでください。

営業以外の職種に移れますか?

移れます。財務・経理、営業企画、コンサルティング、金融系のリサーチなど。ただし、営業以外の職種は未経験扱いになるため、年収が下がる場合があります。また、簿記などの資格を準備しておくと有利です。

10. まとめ:今夜やる3つのこと

証券出身者の転職は、転職理由の書き方で結果が大きく変わります。

今夜やること

① 転職理由を「ノルマ」を使わずに1文で書いてみる(「短期の数字を追う営業から、顧客と長期的に関わる営業へ」)

② 実績を数字で書き出す(担当顧客数、新規開拓件数、預かり資産、達成率)

③ 狙う職種を2つに絞る(金融知識を活かすか、無形商材の営業として広げるか

①が最も重要です。「ノルマが厳しかった」と書くと、面接で「うちも営業ですが大丈夫ですか」と必ず聞かれます。この質問が来ない転職理由を作れるかどうかが、選考の進み方を決めます。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。