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業界・職種研究

証券・資産運用業界の業界研究|第二新卒が収益構造と職種を知る【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月6日 読了 約18分
証券・資産運用業界の業界研究|第二新卒が収益構造と職種を知る【2026年版】

〜「ノルマがきつい」という評判の中身を、構造から理解しておく〜

証券業界は、離職率の話題とともに語られることが多い業界です。そのため、転職先として検討する前に候補から外している人もいます。

ただし、「証券会社=個人向けの営業」ではありません。法人を相手にする領域、運用そのものを担う領域、調査や管理を担う領域があり、働き方はまったく違います。

そして、収益の構造が変わってきているという文脈があります。この変化を知らないまま志望動機を話すと、面接で浅さが出ます。

この記事では、収益の仕組みから整理して、職種と入口をまとめます。

1. 結論:押さえるべきは3点

この業界を理解する3つの軸

収益は「取引ごとの手数料」から「預かり資産に応じた収益」へ移りつつある

リテール(個人向け)とホールセール(法人向け)で仕事がまったく違う

対面型とネット型では、事業の作りが違う

①が最も重要な文脈です。

かつては「売買が起きるたびに手数料を受け取る」構造が中心でした。そのため、取引を促すことが収益につながる仕組みがありました。

現在は、「預かっている資産の額に応じて収益を得る」形へ移す動きが広がっています。この形では、顧客の資産が増えることと会社の収益が同じ方向を向きます。

この違いを説明できると、面接での理解の水準が変わります。

なお、金融商品や資産運用に関する事項には法令上の定めがあり、内容が改正されることがあります。この記事は一般的な整理であり、個別の判断は専門機関に確認してください。また、この記事は投資の助言ではありません。

2. 収益がどこから生まれるか

収益中身
委託手数料売買の取次で受け取る
預かり資産に応じた収益残高に応じて継続的に受け取る
引受・募集の収益企業の資金調達に関わって受け取る
自己勘定の収益自社での売買
運用報酬運用を任された資産に対して

2つ目と5つ目が、近年重みを増している部分です。

この形では、顧客の資産が減れば会社の収益も減ります。そのため、短期の売買を促すより、長く預けてもらうことが事業の関心になります。

金融の別の型として、銀行側の構造は銀行・信用金庫の業界研究|第二新卒が収益構造と職種を理解する、保険側は保険業界研究|第二新卒が3つの型で理解する収益構造と職種にまとめています。

3. リテールとホールセールの違い

リテール(個人向け)ホールセール(法人向け)
顧客個人、資産を持つ層企業、機関投資家
仕事資産の相談、商品の提案資金調達、企業の課題解決
数値目標設定される設定されるが性質が違う
必要な知識商品と制度財務、業界動向
中途採用一定数ある経験者中心

第二新卒の中途採用で入口が広いのは、リテールです。

「きつい」という評判の多くは、この領域の話です。ただし、収益の形が変わるにつれて、評価の方法も変わりつつあります。

面接では、評価が「取引の回数」と「預かり資産の残高」のどちらで決まるかを確認してください。ここが働き方を大きく左右します。

対面型とネット型

対面型ネット型
顧客との接点訪問、来店、電話オンライン中心
収益の作り方提案による手数料の安さと利用者数
主な職種営業企画、開発、サポート
未経験の入口営業サポート、企画、IT

ネット型は、IT寄りの職種が中心になります。営業を希望しない場合、こちらのほうが接点があります。

4. 職種の全体像

職種仕事の中身未経験の可否
リテール営業個人向けの資産の相談可能
法人営業企業の資金調達の支援経験者中心
商品・企画商品の設計、販売の戦略経験者中心
調査・分析企業や市場の分析専門性が必要
運用資産の運用判断専門性が必要
事務・管理約定の処理、記録の管理可能
コンプライアンス法令への適合の確認経験により可
IT・システム取引の仕組みの構築IT経験者

見落とされているのは、事務・管理とIT・システムです。

証券会社は取引の仕組みを大量に抱えており、IT人材の需要があります。IT側からの転職先としても成立します。

社内のIT部門の仕事は社内SEへの転職|第二新卒が知る仕事の実態と未経験からの入口を参照してください。

5. 話を聞いた例:営業から管理部門へ移った人

知人に、証券会社のリテール営業から、同じ業界の管理部門へ移った人がいます。

その人が使った材料は、次のとおりです。

実際に出した内容

・営業として、制度と商品の説明を毎日していた

・記録の残し方について、社内の手順を整理した

・確認漏れが起きやすい箇所を洗い出し、チェック表を作った

・関連する資格を働きながら取得した

3つ目が効きました。

金融業界の管理部門は、「決められた手続きを、記録に残る形で正確に回す」ことが仕事の中心です。営業として現場のリスクを知っている人は、その理解を持っています。

営業がつらいから離れる、ではなく、現場で見た課題を管理側で扱いたい、という説明にしたことで、話が前向きになりました。

同じ業界の中で職種を変えるという選択肢は、見落とされがちです。出る側の視点は証券会社から転職|第二新卒がノルマ以外の経験を言語化する5ステップにまとめています。

6. 確認する6項目

確認する6項目

リテールかホールセールか

対面型かネット型か

評価が取引の回数か、預かり資産の残高か

数値目標の設定と、達成しなかった場合の扱い

転勤の範囲

資格取得の要件と、いつまでに取るか

③が、この業界で最も確認すべき項目です。

評価が預かり資産の残高で決まる会社では、短期の売買を促す動機が働きません。働き方が大きく変わるため、面接で必ず聞いてください。

⑥については、業務に必要な資格の取得を入社後に求められるのが一般的です。期限と支援の有無を確認してください。

7. 待遇と働き方の実態

項目傾向
給与成果に連動する部分がある
数値目標設定されるのが一般的
転勤全国に拠点を持つ会社では異動がある
勤務時間市場の時間に影響される
資格入社後の取得が前提になる

「成果に連動する部分がある」という点は、事前に理解しておく必要があります。

固定給の比率と、成果に応じた部分の比率を確認してください。求人票の年収欄だけでは判断できません。

読み方は求人票の年収の読み方|第二新卒が6項目に分解して比較する手順、提示額と手取りの差は給与明細の見方|提示年収と手取りの差を埋めるを参照してください。

8. 面接で聞かれることと答え方

質問見られていること答え方の軸
なぜこの業界か理解の深さ収益構造の変化に触れる
ノルマは大丈夫か認識の確認前職の目標管理で話す
数字を扱った経験適性前職の管理業務で話す
資格取得の意思継続性具体的に答える
リテールとホールセールどちらか業界理解分けて答える

「金融に興味がある」だけでは、ほぼ通りません。

代わりに、「取引ごとの手数料から、預かり資産に応じた収益へ移る流れがある。顧客の資産が増えることと会社の収益が同じ方向を向く形に関心がある」という説明ができると、水準がまったく変わります。

企業研究の手順は企業研究のやり方|第二新卒が30分で終わらせる5つの情報源を参照してください。

9. よくある質問

未経験でも入れますか

リテール営業と事務・管理は、中途で未経験を受け入れる求人があります。ただし、資格の取得が前提になります。

ノルマは本当に厳しいですか

会社と部署によって差があります。評価が取引の回数で決まるか、預かり資産の残高で決まるかを確認するのが、最も実態に近づく方法です。

簿記や金融の資格は必要ですか

入社後に業務に必要な資格を取得するのが一般的です。応募段階では必須でないことが多いですが、持っていると意欲の証明になります。簿記の使い方は簿記を活かして転職する|第二新卒が2級で届く仕事と届かない仕事を参照してください。

ネット型の会社はどうですか

営業以外の職種が中心になります。企画、サポート、ITの募集があるため、営業を希望しない場合の選択肢になります。

銀行とどちらがいいですか

扱うものと収益の形が違います。資産の運用に関わりたいなら証券、資金の貸し借りに関わりたいなら銀行という分け方ができます。銀行・信用金庫の業界研究|第二新卒が収益構造と職種を理解するも参照してください。

離職率が高いと聞きました

領域と会社によって差があります。面接で、直近の定着の状況や、入社後の教育の仕組みを確認してください。

IT人材の募集はありますか

あります。取引の仕組みを支えるシステムがあるため、IT側からの転職先として成立します。

投資の知識がないと不利ですか

入社後に学ぶ前提の求人が多くあります。ただし、収益の仕組みを説明できるかどうかは、面接で差がつきます。

10. まとめ:面接前にやる3つのこと

証券業界は、収益の形が変わりつつあることを理解しているかどうかで、面接の水準が変わります。

面接前にやる3つのこと

収益の2つの形(取引ごとと、預かり資産に応じたもの)を説明できるようにする

応募先がリテールかホールセール、対面かネットかを確認する

面接で「評価は取引の回数か、残高か」を聞く準備をする

③が、入社後の働き方を最も大きく左右します。遠慮せずに聞いてください。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。