リース・クレジット業界へ転職する|第二新卒が収益の仕組みと職種を知る【2026年版】
〜金融の中で、最も知られていないのにメーカーとの距離が近い領域です〜
リース会社やクレジット会社は、名前を聞いたことはあっても、何をしているかを説明できる人は多くありません。就職・転職の候補として最初から視野に入れている人も、あまり多くないのが実情です。
ただし、この業界は法人向けの営業と、審査という専門性の両方を経験できる領域です。そして、銀行とは違う角度で企業に関わります。
「お金を貸す」のではなく、「設備を買って貸す」「支払いを立て替える」という形で企業や個人に関わります。この違いが、仕事の性質を決めています。
この記事では、収益の仕組みから整理して、職種と入口をまとめます。
1. 結論:押さえるべきは3点
この業界を理解する3つの軸
① 収益は「貸す期間の中で受け取る差」から生まれる
② 営業と審査という、性質の違う2つの職種がある
③ メーカーや販売店との関係が事業の基盤にある
③が、この業界の特徴です。
リース会社は、設備を売りたいメーカーや販売店と、それを使いたい企業の間に入ります。そのため、営業の相手が「使う企業」だけでなく「売る側」でもあります。
この構造を理解していると、志望動機の質が変わります。
なお、金融やクレジットに関する事項には法令上の定めがあり、内容が改正されることがあります。この記事は一般的な整理であり、個別の判断は専門機関に確認してください。
2. 収益がどこから生まれるか
| 事業 | 収益の仕組み |
|---|---|
| リース | 設備を購入して貸し出し、期間中に受け取る料金 |
| 割賦・クレジット | 支払いを立て替え、期間に応じた手数料を受け取る |
| 加盟店からの手数料 | 決済を扱うことで販売側から受け取る |
| 保険や関連サービス | 付帯するサービスの提供 |
共通しているのは、「先に資金を出して、時間をかけて回収する」という構造です。
そのため、回収できるかどうかを見極める仕事、つまり審査が事業の中心になります。
営業が案件を取ってきても、審査が通らなければ成立しません。この2つの職種が両輪になっている点が、この業界の特徴です。
リースと購入の違い
企業が設備を使うとき、買う方法とリースを使う方法があります。
| 購入 | リース | |
|---|---|---|
| 初期の支出 | 大きい | 抑えられる |
| 所有 | 自社 | リース会社 |
| 期間終了後 | 手元に残る | 返却または再契約 |
| 管理の手間 | 自社で対応 | 契約により異なる |
「なぜ企業がリースを使うのか」を説明できると、面接での理解が伝わります。
初期の支出を抑えられること、設備の入れ替えがしやすいことが主な理由になります。会計や税務上の扱いにも関わりますが、この点は専門的な領域です。
3. 職種の全体像
| 職種 | 仕事の中身 | 未経験の可否 |
|---|---|---|
| 法人営業 | 企業や販売店への提案 | 可能 |
| 加盟店営業 | 販売店との関係作り | 可能 |
| 審査 | 財務内容や信用状況の確認 | 経験により可 |
| 債権の管理 | 回収の状況の管理 | 可能 |
| 商品企画 | 新しい仕組みの設計 | 経験者中心 |
| 事務・オペレーション | 契約の処理 | 可能 |
第二新卒の入口として広いのは、法人営業と事務・オペレーションです。
審査は、この業界特有の専門性が身につく職種です。企業の決算書を読み、返済の見通しを判断する仕事で、経験を積むと他の金融領域でも通用します。
営業から審査へ移る道筋も一般的にあります。まず営業で顧客と案件を知り、その後に審査へ移る形です。
4. 銀行との違い
| 銀行 | リース・クレジット | |
|---|---|---|
| 提供するもの | 資金 | 設備の使用、支払いの立て替え |
| 顧客との接点 | 資金の相談 | 設備の導入、購入の場面 |
| 販売側との関係 | 限定的 | 事業の基盤 |
| 審査の対象 | 財務内容 | 財務内容と、対象となる物件 |
| 事業の範囲 | 規制が厳格 | 比較的幅がある |
最大の違いは、「販売の現場に近い」という点です。
企業が設備を買おうとしている場面、個人が商品を買おうとしている場面に、この業界は直接関わります。そのため、モノや商流に対する関心が仕事につながります。
金融の別の型として、銀行側の構造は銀行・信用金庫の業界研究|第二新卒が収益構造と職種を理解する、保険側は保険業界研究|第二新卒が3つの型で理解する収益構造と職種にまとめています。
5. 話を聞いた例:メーカー営業から移った人
知人に、産業機器メーカーの営業からリース会社へ移った人がいます。
その人が書類に書いたのは、次のような内容でした。
前職から出した材料
・設備を導入する企業に、費用の相談を受けていた
・顧客が予算の都合で導入を見送る場面を何度も見た
・販売店を経由した商流を担当していた
・見積から契約までの流れを一人で回していた
2つ目が志望動機の中心になりました。
「予算が理由で導入できない顧客がいた。リースという方法があれば導入できたケースがあったと思う」という話は、この業界の存在意義そのものです。
前職で商品を売っていた経験は、この業界では強い材料になります。販売の現場を知っていることが、そのまま業務の理解につながるためです。
自己PRの翻訳の仕方は未経験職種の自己PR|第二新卒が経験を翻訳する3手順と例文7パターンを参照してください。
6. 審査という仕事
この業界で専門性が身につくのは、審査の領域です。
審査で見ること
① 申込者の財務内容や信用の状況
② 対象となる物件の性質と価値
③ 事業の継続性
④ 過去の取引の状況
⑤ 業界全体の動向
②が、銀行の審査との違いです。リースでは対象となる設備そのものも判断の材料になります。
この仕事で身につく「決算書を読む力」は、他の領域でも通用します。経理、財務、金融、経営企画といった職種へ移る際の材料になります。
決算書を読む土台としては、簿記が有効です。使い方は簿記を活かして転職する|第二新卒が2級で届く仕事と届かない仕事にまとめています。
7. 求人票で確認する6項目
確認する6項目
① 扱う分野(法人向けの設備か、個人向けのクレジットか)
② 職種が営業か、審査か、事務か
③ 営業の相手(使う企業か、販売店か)
④ 数値目標の設定と評価の方法
⑤ 転勤の範囲
⑥ 親会社との関係(メーカー系か、銀行系か、独立系か)
⑥が、この業界の見え方を大きく変えます。
メーカーの系列にある会社は、そのメーカーの製品を中心に扱います。銀行の系列にある会社は、銀行の取引先が顧客になります。独立系はその制約がない代わりに、自力で顧客を開拓します。
どの型かによって、営業のやり方がまったく違います。
企業の見方は企業の将来性をどう見るか|公開情報から読む手順、求人票の読み方は求人票の読み方|第二新卒が9項目をこの順で読むと外さないを参照してください。
8. 面接で聞かれることと答え方
| 質問 | 見られていること | 答え方の軸 |
|---|---|---|
| なぜこの業界か | 理解の深さ | 「なぜ企業がリースを使うか」で答える |
| 営業と審査どちらを希望するか | 適性と希望 | 希望を曖昧にしない |
| 数字を扱った経験 | 適性 | 前職の管理業務で話す |
| 数値目標は大丈夫か | 認識の確認 | 前職の目標管理で話す |
| 金融の知識は | 学習の姿勢 | 現状を正直に、学ぶ意思とともに |
「金融業界に興味があります」だけでは弱いです。
代わりに、「企業が設備を導入したいが初期の支出を抑えたい、という場面に応える仕組み」という理解を示してください。この説明ができる応募者は多くありません。
9. よくある質問
未経験でも入れますか
入れます。法人営業と事務・オペレーションは、中途の未経験を受け入れる求人があります。
簿記は必要ですか
必須ではありませんが、審査や法人営業では決算書を読む場面があるため、評価されやすくなります。
銀行とどちらがいいですか
顧客との接点が違います。販売の現場に近い仕事をしたいならリース・クレジット、資金の相談を中心にしたいなら銀行という分け方ができます。
ノルマはありますか
営業職では数値目標が設定されるのが一般的です。程度は会社と部署によって違うため、面接で評価の方法を確認してください。
審査職に未経験で入れますか
求人によります。営業を数年経験してから移る道筋のほうが一般的です。
転勤はありますか
全国に拠点を持つ会社では異動があります。範囲は会社によって違うため、確認してください。判断は転勤あり・なしをどう決めるか|求人票の1行を確かめる手順を参照してください。
将来性はどう見ればいいですか
企業が設備を導入する需要がある限り、事業は続きます。ただし、会社ごとの状況は親会社との関係や扱う分野によって違います。
求人が少ない気がします
大量採用をする業界ではありません。企業の採用ページを直接確認するのが確実です。手順は企業の採用ページから直接応募|第二新卒が使うべき場面と手順にまとめています。
10. まとめ:面接前にやる3つのこと
この業界は、「なぜ企業がリースを使うのか」を説明できるかどうかで、面接の水準が変わります。
面接前にやる3つのこと
① 企業がリースを選ぶ理由を、自分の言葉で説明できるようにする
② 応募先がメーカー系・銀行系・独立系のどれかを確認する
③ 前職でモノを売った、または導入に関わった場面を書き出す
②は公式サイトの会社概要で確認できます。系列によって営業のやり方が変わるため、志望動機の中身も変わります。
この先、読むべき記事
- 銀行・信用金庫の業界研究|第二新卒が収益構造と職種を理解する(金融の別の型)
- 保険業界研究|第二新卒が3つの型で理解する収益構造と職種(同じく金融の別の型)
- 簿記を活かして転職する|第二新卒が2級で届く仕事と届かない仕事(審査で効く資格)
- 未経験職種の自己PR|第二新卒が経験を翻訳する3手順と例文7パターン(前職を材料にする)
- 求人票の読み方|第二新卒が9項目をこの順で読むと外さない(求人票の見方)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。