IT営業の面接|第二新卒が聞かれる想定問答14と評価される答え方【2026年版】
〜IT営業の面接で技術知識を問われることは、ほとんどありません。問われるのは業務の理解です〜
IT営業の面接を控えて、多くの人が心配するのは「技術的な質問をされたらどうしよう」ということです。
結論から言うと、未経験者に技術の深い質問をする企業はほとんどありません。製品知識は入社後の研修でまかなえるからです。
代わりに問われるのは、「お客様の業務を理解できるか」です。IT営業は、システムを売る仕事ではなく、お客様の業務課題を聞き出して、それをシステムで解決できる形にする仕事だからです。
そして、この理解を示せるかどうかで、書類が同じでも結果が変わります。
この記事では、段階別の想定問答14と、未経験での答え方を整理します。
1. 結論:IT営業の面接は3つの軸で採点されている
軸①:課題を聞き出せるか
最も重視される点です。IT営業では、お客様が「システムを入れたい」と言っても、実際に困っていることは別のところにあることが多くあります。要望をそのまま受けるのではなく、業務の実態を確認してから提案できるか。
軸②:分からないことをどう扱うか
技術的な質問をお客様から受けることは日常的にあります。その場で答えられないとき、どう対応するか。「持ち帰って確認する」ことを適切にできるかが問われます。
軸③:受注後まで考えているか
SaaSやシステムの営業では、売った後に使われないと解約・失敗になります。「売れればいい」ではなく「使われる状態まで見届ける」という視点があるかを見られます。
2. 一次面接(人事・営業メンバー)で聞かれる5問
2-1. Q1「自己紹介をお願いします」
1分。前職の実績を数字で1つ入れてください。
回答例
「◯◯と申します。前職ではメーカーの法人営業として2年間、中小企業向けにオフィス機器の提案を担当しておりました。担当社数は約50社、担当エリアの売上を前年比112%まで伸ばしました。機器の入替提案の際、お客様の業務量や繁忙期を伺うことが多く、その部分の会話が最も手応えのある業務でした。業務の中身に踏み込む提案をより本格的に行いたいと考え、IT営業を志望しております。」
2-2. Q2「なぜIT業界を志望するのですか」
回答例
「前職ではハードウェアを扱っており、お客様の業務効率の課題に対して、機器の入替という手段でしか応えられませんでした。実際には、業務の手順やデータの扱い方に原因があることが多く、そこに踏み込めないもどかしさがありました。業務の流れ自体を変える提案ができる点が、IT・システムの営業の本質だと理解しており、そこに移りたいと考えています。」
「成長業界だから」は避けてください。前職での具体的な場面から説明してください。
2-3. Q3「なぜ弊社ですか」
製品を実際に触ったかどうかが、ここで分かります。
回答例
「御社の製品は中小企業向けで、導入時の設定を最小限にする設計になっていると理解しています。無料プランに登録して操作しましたが、初期設定が10分程度で完了する点は、IT担当者がいない企業にとって重要な要素だと感じました。前職で担当していたお客様も、社内にIT担当がいない企業がほとんどでした。その層への提案は、前職の経験がそのまま活かせる領域だと考えています。」
製品を触っていない応募者と、触った応募者では、この質問の答えがまったく違います。
2-4. Q4「営業として大事にしていることは何ですか」
回答例
「お客様の要望をそのまま受けないことです。前職では『とにかく安いものを』と言われた案件で、実際の使用状況を伺ったところ、印刷量が想定より多く、安い機種だとランニングコストで逆転することが分かりました。その試算をお見せして上位機種をご提案し、結果的にご納得いただけました。言われたことをそのまま持ち帰るのではなく、背景を確認してから提案することを意識しています。」
2-5. Q5「IT・システムの知識はどのくらいありますか」
正直に答えて構いません。ただし、学習の形跡を添えてください。
回答例
「実務での経験はありません。基礎知識としてITパスポートを取得しており、クラウドサービスの仕組みと、システム導入の一般的な流れについては学習しました。あわせて、御社の製品と、競合とされる2社のサービスを実際に触って比較しております。技術の詳細については入社後に学ぶ前提で、まずお客様の業務を正確に理解することを優先したいと考えています。」
3. 二次面接(営業責任者)で聞かれる5問
3-1. Q6「お客様から技術的な質問をされて、答えられなかったらどうしますか」
IT営業の面接で最頻出の質問です。
回答例
「その場で推測で答えることはしません。誤った情報をお伝えすると、導入後の不信につながるためです。『確認してご連絡します』とお伝えし、いつまでに回答するかを必ずその場で約束します。社内のエンジニアに確認する際は、お客様が何を懸念しているのかを一緒に伝えるようにしたいと考えています。単に質問を転送するだけだと、意図がずれた回答になることがあるためです。」
「その場で調べます」「分かる範囲で答えます」は減点されます。推測で答えることが、この業界で最も避けるべき行為だからです。
3-2. Q7「お客様が『システムを入れたい』と言ってきたら、最初に何を聞きますか」
回答例
「なぜ入れたいのか、その背景を伺います。具体的には、現在どのような手順で業務を行っているか、そのどこに時間がかかっているか、誰が困っているかの3点です。システムを入れること自体が目的になっていると、導入後に使われなくなることが多いと理解しています。現状の業務を確認したうえで、システムで解決すべき部分と、運用の変更で解決できる部分を切り分けたいと考えています。」
この答えができると、業務理解の深さが明確に伝わります。
3-3. Q8「導入したものの、使われていないお客様がいたらどうしますか」
回答例
「まず、なぜ使われていないのかを確認します。操作が分からないのか、業務の流れに合っていないのか、そもそも担当者が変わったのか。原因によって打ち手が変わるためです。前職でも、納品した機器の機能が使われていないケースがあり、訪問して確認したところ、設定が初期状態のままだったことがありました。売って終わりにせず、使われている状態を確認しに行くことが必要だと考えています。」
3-4. Q9「無形商材の営業は初めてですが、違いをどう捉えていますか」
回答例
「現物を見せられないため、お客様が導入後の状態を想像できるように説明する必要があると理解しています。前職の機器の営業では、実機をお見せすれば伝わりました。システムの場合は、実際の業務の流れに沿って『この作業がこう変わります』と説明する必要があると考えています。そのためには、お客様の現在の業務を先に正確に把握することが前提になります。」
3-5. Q10「受注できなかった案件は、どう振り返りますか」
回答例
「前職では、失注した案件の理由を記録して、四半期ごとに集計していました。当初は『価格』が最多という結果でしたが、業種別に分けて集計したところ、業種によって理由が違うことが分かりました。以降、業種ごとに初回の提案内容を変えるようにしています。1件ごとの反省より、まとめて見たときに構造が見えると考えています。」
4. 最終面接(役員)で聞かれる4問
4-1. Q11「3年後、どうなっていたいですか」
回答例
「まず1年で、中小企業向けの提案を単独で完結できる状態を目指します。3年後には、特定の業界に詳しい営業として、その業界のお客様から継続的にご相談いただける状態になりたいと考えています。前職で飲食・小売のお客様を担当していたため、その領域を軸にしたいと考えています。」
4-2. Q12「弊社の課題は何だと思いますか」
調べていないと答えられない質問です。批判ではなく、事実の指摘+質問の形にしてください。
回答例
「競合の◯◯社と比較すると、御社は導入の手軽さで優位性があると理解しています。一方、機能の拡張性については、大企業向けの案件で競合が有利になる場面があるのではないかと想像しています。この点について、現在どのような方針で進められているか伺えますでしょうか。」
4-3. Q13「他社の選考状況を教えてください」
正直に、社数と段階を答えてください。「3社を並行しており、うち1社が最終面接です」。社名を出す必要はありません。
4-4. Q14「入社時期はいつになりますか」
在職中なら「内定をいただいてから1〜2ヶ月」が標準です。引き継ぎの期間を具体的に説明できると、段取りができている印象になります。
5. 面接前日の準備(90分)
| 時間 | やること |
|---|---|
| 30分 | 応募先の製品を触る(無料プラン・体験版があれば必ず) |
| 20分 | 導入事例を3本読む(誰が、どんな課題で、どう使っているか) |
| 15分 | 競合2社を調べ、違いを1行で言えるようにする |
| 15分 | 前職での「課題を聞き出して提案した経験」を3分で話せる形に |
| 10分 | 逆質問を3つ用意 |
最初の30分が、最も効果があります。「製品を使ってみましたか」という質問は、IT営業の面接で頻繁に出ます。具体的な感想で答えられる応募者は、ほとんどいません。
6. 落ちる回答の型5つ
| 型 | 具体例 | なぜ落ちるか |
|---|---|---|
| 成長業界型 | 「IT業界は成長しているので」 | 全員が言う。自分との接続がない |
| 技術に詳しくなりたい型 | 「技術を身につけたい」 | 営業職の志望動機になっていない |
| 製品未確認型 | 応募先の製品を触っていない | 志望度が低いと判断される |
| 推測で答える型 | 技術的な質問に想像で答える | この業界で最も避けるべき行為 |
| 売り切り発想型 | 受注までの話しかしない | 導入後の定着に触れていない |
5番目が、IT営業で最も見られる点です。SaaSやシステムの営業は、契約後に使われないと解約されます。「受注がゴール」という発想の応募者は、この業界の構造を理解していないと判断されます。
7. 未経験でも使える「IT営業に近い経験」
| 前職の経験 | IT営業への翻訳 |
|---|---|
| 法人営業(有形商材) | 提案、決裁者の把握、価格交渉 |
| 個人向け営業 | ヒアリング、提案、クロージング |
| 販売・接客 | 顧客の要望の背景を聞き出す |
| カスタマーサポート | 顧客の困りごとの理解、製品知識 |
| 事務・業務改善 | 業務フローの理解(IT営業で最も重要) |
| 人材業界の営業 | 顧客の課題整理、無形商材の提案 |
| 広告営業 | 無形商材、成果への責任 |
特に「事務・業務改善」の経験は、IT営業で強く評価されます。お客様の業務がどう回っているかを、自分の経験として理解しているためです。
「前職で表計算ファイルの集計を自動化して、月8時間を2時間に減らした」——この経験は、そのままIT営業の提案の話になります。
8. 面接の場での振る舞いで見られていること
| 項目 | 見られている点 |
|---|---|
| 質問の量 | こちらから業務について質問しているか |
| 分からないことへの対応 | 素直に「分かりません」と言えるか |
| 話の構成 | 結論から話しているか |
| 製品への関心 | 具体的な機能や画面に触れているか |
| 導入後への言及 | 受注後の話をしているか |
「分かりません」と言えるかは、意外に重視されます。IT営業では、知らないことを知ったふりをするのが最も危険だからです。面接で技術的な質問をされて分からない場合、「申し訳ありません、その点は理解できておりません。入社後に優先して学習したい領域です」と答えるほうが、曖昧に取り繕うより評価されます。
9. よくある質問
技術的な質問はどのくらい来ますか?
未経験者への技術的な質問は、ほとんどありません。あっても「クラウドとは何か説明できますか」といった基礎レベルです。ITパスポート程度の知識があれば対応できます。問われるのは、業務理解と課題を聞き出す力です。
製品は必ず触るべきですか?
無料プランや体験版があるなら、必ず触ってください。「使ってみましたか」という質問は頻繁に出ます。30分でも構いません。触れない製品(大企業向けの大規模システムなど)の場合は、製品ページと導入事例を読み込んでください。
営業経験がなくても大丈夫ですか?
大丈夫です。特にインサイドセールスは未経験採用が活発です。接客・販売・サポート・事務のいずれの経験も、翻訳して語れます。第7章の表を参考にしてください。
SIerとSaaS企業の営業は違いますか?
違います。SIerは受託開発の提案で、商談期間が長く、要件定義に近い会話になります。SaaSは既製のサービスの提案で、商談期間が短く、導入後の活用まで責任を持ちます。応募先がどちらかで、志望動機の書き方が変わります。
インセンティブはどのくらいですか?
企業によって幅が大きいです。固定給が高くインセンティブが小さい企業と、その逆があります。面接では「基本給と、インセンティブの割合」を確認してください。また、「未経験で入社された方の初年度の年収実績」を聞くと、実際の水準が分かります。
「なぜIT業界か」に、どう答えれば差がつきますか?
前職での具体的な場面から説明してください。「業務の課題に対して、自社製品では解決できない範囲があった」「効率化の提案をしたかったが、手段を持っていなかった」。抽象的な「成長業界だから」を、具体的な体験に置き換えるだけで、明確に差がつきます。
逆質問は何を聞けばいいですか?
業務の進め方について聞いてください。「1人あたりの担当社数はどのくらいですか」「初回の商談から受注までの平均期間を教えてください」「導入後のフォローは、営業とカスタマーサクセスでどう分担されていますか」。最後の質問は、導入後まで考えていることが伝わるため、特に有効です。
未経験だと年収は下がりますか?
営業経験があれば、維持または上昇するケースが多いです。IT営業は無形商材の提案経験が評価されるため、前職が営業なら年収を維持しやすい領域です。完全な未経験(接客・事務など)からの場合、一時的に下がることがありますが、3年後の伸び幅は大きい傾向があります。
10. まとめ:前日にやる3つのこと
IT営業の面接は、技術知識ではなく業務理解と、製品を触ったかどうかで差がつきます。
前日にやること
① 応募先の製品に無料プランがあれば登録して触る(30分。感想を1つメモする)
② 前職で「お客様の要望をそのまま受けず、背景を確認して提案した経験」を3分で話せる形にする
③ 逆質問を3つ用意する(「導入後のフォローは、営業とカスタマーサクセスでどう分担されていますか」は必ず入れる)
③の質問が、IT営業の面接で最も効きます。受注後まで考えている応募者だと伝わるためです。この視点を持つ応募者は多くありません。
この先、読むべき記事
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- SaaS業界研究|第二新卒が面接前に押さえる3つの数字と職種の全体像(業界の構造)
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この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。