保険営業への転職|第二新卒が知るべき給与体系と「入る前に確認する5つ」【2026年版】
〜求人票の「月給30万円以上」に、期限が書かれていないか確認してください〜
保険営業は、第二新卒が転職活動をしていると必ず目に入る職種です。
未経験可、学歴不問、研修充実、そして提示年収が同年代の他職種より明らかに高い。求人サイトを開けば、上位に何件も並びます。
そして同時に、「保険営業はやめとけ」という声も、検索すればいくらでも出てきます。
この記事は、保険営業を勧める記事でも、やめさせる記事でもありません。保険営業には明確に向く人と向かない人がいて、その差は「性格」ではなく「どの会社のどの契約形態で入るか」でほぼ決まる——ということを、求人票のどこを見れば判別できるかまで含めて書いています。
1. 結論:第二新卒が確認すべきは3つだけ
保険営業の求人を見るとき、判断を分けるのは次の3点です。
① 給与が「固定給」か「フルコミッション」か、そして固定給には期限があるか
もっとも重要です。同じ「保険営業」でも、月給25万円が定年まで保証される会社と、1年経つと歩合だけになる会社が、同じ求人サイトに並んでいます。
② 見込み客を会社が用意するのか、自分で開拓するのか
来店型ショップの窓口と、個人宅を回る営業では、仕事の中身がまったく別物です。求人票の「新規開拓」「既存顧客のフォロー」「来店対応」という言葉で区別できます。
③ 3年後に何が残るか
保険営業で身につくスキルは、次の転職で評価されるものとされにくいものがはっきり分かれます。ここを意識せずに入ると、3年後に選択肢が狭まります。
この3点を、順番に分解していきます。
2. なぜ「保険営業はやめとけ」と「保険営業は最高」が同時に存在するのか
同じ職種名なのに評価が真っ二つに割れるのは、実態がまったく違うものを同じ名前で呼んでいるからです。
| 呼び方 | 実際の中身 | 給与の形 | 見込み客 |
|---|---|---|---|
| 国内大手生保の営業職員 | 個人向け。地域を担当し訪問中心 | 初期は固定給あり、数年で歩合比率が上がる | 基本は自分で開拓 |
| 外資系・国内生保の営業(代理店型) | 個人・法人向け。完全に自分で開拓 | フルコミッションが多い | 完全に自分で開拓 |
| 保険代理店(来店型ショップ) | 来店客に複数社の商品を比較提案 | 固定給+インセンティブ | 会社が集客する |
| 損保の代理店営業(法人営業) | 代理店を支援・管理する法人向け | 固定給中心 | 既存の代理店を担当 |
| 保険会社の内勤(事務・査定・企画) | 営業ではない。契約管理や商品企画 | 固定給 | 該当なし |
「やめとけ」と言われているのは、主に上から2つ目です。「最高」と言っている人も、多くは同じ2つ目にいて、成功した側の人です。
第二新卒が最初に検討すべきは、下から3つのゾーンです。来店型ショップ、損保の代理店営業、保険会社の内勤。ここは固定給が中心で、営業経験を積みながら 営業の基礎を作れます。
「稼げる保険営業」に行くとしても、順番として先に固定給のゾーンで商品知識と資格を取ってから移る方が、生存率は明確に上がります。いきなりフルコミッションに飛び込んで、商品知識も人脈もない状態で個人開拓を始めるのが、いちばん苦しい入り方です。
3. 編集長の実体験:知人が入った2社の違い
私が第二新卒で転職活動をしていた頃、同じ大学の同期が2人、ほぼ同時期に保険業界に入りました。片方は3年目で年収900万円になり、もう片方は1年半で辞めました。
2人の違いは、能力ではありませんでした。
Aさん(3年目で年収900万円)
「最初の2年は来店型の代理店にいた。給料は月24万で、正直安かった。でもその2年で、生保・損保の商品を20社分くらい覚えて、FP2級も取った。来る人の相談に答えるだけだから、営業というより接客だった。
3年目に外資系に移った。ここは完全に歩合。でも、前の2年で覚えた比較の知識があるから、『他社ならこうなります』が全部言える。それが強い。移った初年度から数字が出た」
Bさん(1年半で退職)
「最初から外資系に入った。研修は3ヶ月あって、そこまでは固定給が出た。研修が終わってから、『まず身近な人に話してみましょう』と言われた。
家族と、大学の友達と、前職の同僚に順番に連絡した。数件は契約になった。でもそこで名簿が尽きた。次の見込み客の作り方は、正直、誰も教えてくれなかった。『紹介をもらってください』としか言われない。
収入が月10万を切った月があって、そこで辞めた」
Bさんの会社が悪質だったわけではありません。研修もあり、固定給の期間もありました。
問題は順番です。商品知識も、比較して語れる材料も、営業の型もない状態で、いきなり自分の人脈を消費させられた。人脈は一度使うと補充が効きません。
第二新卒で保険営業に入るなら、「最初の2〜3年は稼ぐ期間ではなく、商品知識と資格を仕込む期間」と割り切れる会社を選ぶこと。これが、2人を分けた唯一の差でした。
4. 求人票の読み方:この5行を必ず確認する
保険営業の求人票には、判断に必要な情報がほぼ全部書いてあります。ただし、目立たない場所に書いてあります。
① 給与欄の「※」以下
「月給300,000円以上」の下に小さく書かれる注記です。
- 「※固定給部分は入社後12ヶ月」→ 1年後から歩合中心になります
- 「※試用期間3ヶ月は月給250,000円」→ これは普通です
- 「※歩合給を含む」→ 30万円が保証額ではなく見込み額です
- 注記が何もなく「月給30万円〜」だけ → 面接で必ず聞いてください。「固定給部分はいくらで、何年続きますか」
② 雇用形態の欄
「正社員」以外の表記に注意します。「業務委託」「個人事業主」「委任契約」と書かれていたら、それは雇用ではありません。社会保険も雇用保険も労働時間の保護もない働き方です。第二新卒の1社目の転職先としては、私は勧めません。
③ 仕事内容の「開拓」という語
「新規開拓」「マーケット開拓」「見込み客の創出」——これらは全部、自分で客を見つけることを意味します。逆に「来店されたお客様への提案」「既存契約者へのフォロー」「担当代理店の支援」なら、会社が客の入り口を持っています。
④ 応募資格の「普通自動車免許」
免許必須なら、訪問型です。車で回ります。来店型ショップなら免許は不要なことが多いです。仕事の形が一行で分かります。
⑤ 「研修」の説明の長さ
研修期間の長さより、研修後に何をするかが書いてあるかを見ます。「3ヶ月の充実研修」とだけ書いて、その後の営業活動の進め方に一切触れていない求人は、面接で必ず「研修後、最初のお客様はどうやって見つけますか」と聞いてください。ここで具体的な答えが返ってこない会社は、答えが「自分の人脈」です。
5. 面接で聞くべき7つの質問
保険営業の面接は、こちらから聞く側に回ったほうが良い結果になる珍しい職種です。応募者が少なく採用意欲が高いため、質問を歓迎されます。
| 質問 | 何が分かるか |
|---|---|
| 「固定給の部分はいくらで、いつまで続きますか」 | 生活が成り立つ期間 |
| 「入社1年目の方の、平均的な年収実績を教えてください」 | 上位者ではなく中央値。渋られたら理由を考える |
| 「直近3年の1年目定着率はどのくらいですか」 | 数字が出ない会社は出せない理由がある |
| 「研修後、最初のお客様はどう見つけますか」 | 人脈依存かどうかの核心 |
| 「取扱いは自社商品のみですか、複数社ですか」 | 提案の自由度と、身につく知識の幅 |
| 「営業活動の経費は自己負担ですか」 | 交通費・営業ツール・食事代の扱い。フルコミ型は自己負担が多い |
| 「この会社で3年働いた方は、次にどこへ行かれていますか」 | 出口。答えられる会社は人を育てている |
最後の質問は特に効きます。「うちは辞めませんから」と答えを避ける会社より、「代理店として独立した人と、他業界の法人営業に移った人がいます」と具体的に答える会社のほうが、健全です。
6. 落ちる志望動機の型5つ
保険営業の選考は通りやすい部類ですが、それでも落ちる書き方はあります。
| 落ちる型 | なぜ落ちるか | どう直すか |
|---|---|---|
| 「人の役に立ちたい」だけ | 全職種に言える。保険である理由がない | 「形のない商品を、必要になる前に届ける仕事に関心がある」まで具体化 |
| 「稼ぎたい」だけ | 歓迎されそうで、実は続かない印象を与える | 稼ぎたい理由と、そのために何を身につけるかをセットで |
| 「前職が辛かったので」 | 逃避と読まれる。保険営業も楽ではない | 前職で身につけた対人スキルの話に転換 |
| 「保険に助けられた経験があるので」だけ | 実話でも、それだけでは営業への適性が見えない | 経験+「だから自分は説明を尽くす営業をしたい」まで |
| 御社の理念に共感、で終わる | どの保険会社にも同じ理念が書いてある | 商品ラインナップや取扱社数など、具体的な違いに触れる |
7. 志望動機の例文3パターン
例文①:販売職から来店型代理店へ
前職ではアパレル店舗で3年間、接客と店舗運営を担当していました。売り場に立つなかで、お客様が本当に必要としているものと、最初に口にされる要望が違うことが多いと感じるようになりました。「この色が欲しい」と言われた方に、実際の使う場面を伺ってから別の提案をして、そちらを選んでいただけたことが何度もあります。
保険は、必要になる場面を先に想像しないと選べない商品だと理解しています。来店される方が漠然とした不安を持って来られたときに、状況を伺って形にするという点で、前職で身につけた聞き方が活かせると考えました。
御社を志望したのは、複数社の商品を比較して提案できる形をとられているためです。一社の商品を売り切る形より、比較の材料を持って説明する仕事のほうが、自分の納得と一致すると考えています。
例文②:法人営業から損保の代理店営業へ
前職では中小企業向けにオフィス機器の法人営業を2年間担当していました。担当エリアの既存顧客を50社ほど持ち、更新提案と新規開拓を並行していました。
転職を考えたのは、自社製品を売るだけでなく、取引先の事業そのものに関わる仕事をしたいと感じたためです。機器の入替を提案する際、その企業の設備投資計画や、繁忙期の業務量まで伺うことが多く、その部分の話が最も面白いと感じていました。
代理店営業は、代理店の販売力そのものを一緒に作る仕事だと理解しています。単発の売上ではなく、相手の事業を継続的に支援する形に近く、前職で最も手応えのあった部分と重なります。
例文③:事務職から保険会社の内勤へ
前職では建設会社で契約書類と請求処理を担当していました。月に約200件の書類を処理し、記載不備の差し戻しを減らすため、営業担当向けに記入例を作成して共有した結果、差し戻し件数を月40件から15件程度まで減らすことができました。
この経験のなかで、書類の正確さが最終的にお客様への支払いの速さに直結すると実感しました。保険の査定・契約管理は、まさにその部分を担う仕事だと理解しています。
御社の求人で「契約内容の確認と支払査定」と記載があった点に関心を持ちました。ルールに沿って正確に処理することと、判断が必要な場面を見分けることの両方が求められる仕事だと考えており、前職で身につけた確認の手順が活かせると考えています。
8. 3年後に何が残るか
保険営業で得られるものは、明確に2つに分かれます。
次の転職で評価されるもの
- 金融商品の知識(FP2級・生保専門課程・損保資格)
- 無形商材の提案経験。これはSaaS営業・人材営業・広告営業への転職で強い評価対象です
- 個人・法人問わず、決裁者と直接話した経験
- 数字を追い続けた実績(具体的な数値で語れる場合)
評価されにくいもの
- 自社商品だけの深い知識(他社では使えません)
- 人脈で作った契約実績(再現性がないと見られます)
- 「頑張った」「粘った」という定性的な話だけ
したがって、保険営業に入るなら、初年度からFP資格と、数字で語れる実績の両方を意識して積んでおくこと。これがあれば、3年後の選択肢はかなり広く残ります。逆に、この2つがないまま3年経つと、転職市場では「保険営業経験3年」というラベルだけが残り、それは残念ながら強いラベルではありません。
9. よくある質問
保険営業は本当に「やめとけ」ですか?
会社と契約形態によります。固定給があり会社が集客する形(来店型代理店・損保の代理店営業・内勤)は、第二新卒の転職先として普通に検討対象です。フルコミッションで自分の人脈から始める形は、商品知識も営業の型もない状態で入ると苦しくなります。「やめとけ」と言われているのは主に後者です。
ノルマはどのくらい厳しいですか?
会社差が大きいですが、来店型ショップは「来店数に対する成約率」で見られることが多く、訪問型は「月あたりの新規契約件数」で見られます。面接で「1年目の方の目標件数はどのくらいですか」と具体的に聞いてください。数字を明示できない会社は、目標が実態として上限なしになっている可能性があります。
資格は入社前に取っておくべきですか?
生保・損保の販売に必要な資格は、入社後に会社負担で取得するのが一般的なので、事前取得は不要です。ただしFP3級を先に取っておくと、面接での本気度の証明として明確に効きます。独学で1〜2ヶ月、費用は1万円以下です。第二新卒で未経験なら、費用対効果はかなり高い部類です。
女性が多い職種というイメージがありますが、実際は?
国内大手生保の営業職員は女性比率が高い一方、外資系・代理店・損保の法人営業は男女比が比較的均衡しています。来店型ショップも両方います。求人票の写真だけで判断せず、面接で「配属予定の拠点のメンバー構成」を聞くのが確実です。
前職の人脈を使わないと無理ですか?
来店型ショップと法人向けの代理店営業なら、人脈は不要です。会社が客の入り口を持っているためです。人脈が必要になるのは、自分で開拓する個人向け営業の形です。求人票の「新規開拓」という語と、面接での「最初のお客様はどう見つけますか」の答えで見分けられます。
保険営業から他業界へ転職できますか?
できます。特に無形商材のBtoB営業(SaaS・人材・広告)への転職では、保険営業経験は評価されます。形のない商品を説明して契約まで持っていく経験が、そのまま重なるためです。ただし条件があり、「具体的な数字で実績を語れること」と「自社商品以外の知識があること」の2つを満たしている必要があります。
未経験でも本当に採用されますか?
保険営業は、第二新卒・未経験の採用ニーズが最も大きい職種のひとつです。書類選考の通過率は他職種より明らかに高いです。ただし、採用されやすいことと、続けやすいことは別です。採用ハードルが低い理由には離職率の高さも含まれるため、入社前の確認(この記事の第4章・第5章)を省略しないでください。
副業や兼業はできますか?
雇用形態によります。正社員なら会社の就業規則次第で、金融業界は情報管理の観点から副業に厳しい会社が多めです。業務委託・個人事業主の形なら制限はありませんが、その場合は社会保険や労働時間の保護がないという別の論点が発生します。求人票の雇用形態欄を必ず確認してください。
10. まとめ:今夜やる3つのこと
保険営業は、入り方さえ間違えなければ、第二新卒にとって現実的な選択肢です。逆に、入り方を間違えると回復に時間がかかります。分かれ目は求人票と面接で確認できます。
今夜やること
① 検討中の保険営業求人を開き、給与欄の「※」以下を全部読む(固定給の額と期限を書き出す)
② 同じ求人の雇用形態欄を確認する(「業務委託」「個人事業主」なら一度立ち止まる)
③ 面接で聞く質問を3つメモに書いておく(第5章の表から選ぶ。「研修後、最初のお客様はどう見つけますか」は必ず入れる)
③が最も重要です。この質問への答えが具体的かどうかで、その会社が人を育てているか、人脈を消費させているかがほぼ判別できます。
この先、読むべき記事
- 営業職の自己PR|第二新卒の書類が通る例文6パターンと数字の出し方(営業職の自己PRの型)
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- 求人票からブラック企業を見抜く|第二新卒が2社目を外さない15のチェック(求人票の読み方全般)
- 未経験職種の志望動機の書き方|第二新卒が3ブロックで作る型と例文6パターン(志望動機の型)
- 保険業界研究|第二新卒が3つの型で理解する収益構造と職種(保険業界の構造)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。