福祉用具・介護用品の会社へ転職する|第二新卒が知る職種と入口【2026年版】
〜介護の現場に入らずに、介護に関わる仕事です〜
車いす、介護ベッド、手すり、歩行器。
これらを必要な人に届けるのが、福祉用具の会社です。介護保険の制度に支えられており、高齢化とともに需要が続いています。
そして、身体の介助を伴わない職種が多い領域です。「介護に関わりたいが、現場の仕事は続けられない」という人の選択肢になります。
この記事では、事業の型と職種を整理します。
なお、介護保険制度や資格の要件は制度によって定められています。ここに書いているのは一般的な整理です。詳細は所管の機関に確認してください。
1. 結論:押さえるのは3つ
この業界を見るときの3つの視点
① レンタルと販売で、事業の性質が違う
② 顧客は利用者本人だけでなく、ケアマネジャーでもある
③ 制度に支えられた需要があり、変動が小さい
②が、この業界の特徴です。
利用者に直接売り込むのではなく、介護支援専門員(ケアマネジャー)を通じて依頼が来ることが多くあります。
2. 事業の4つの型
同じ「福祉用具」でも、扱いが違います。
| 型 | 内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| レンタル | 車いす、ベッドなどを貸し出す | 介護保険の対象。継続的な関係 |
| 販売 | 入浴補助具、ポータブルトイレなど | 貸与になじまない品目 |
| 住宅改修 | 手すりの設置、段差の解消 | 工事を伴う |
| メーカー | 用具を作る | 開発、生産、営業 |
1つめが、この業界で最も規模の大きい領域です。
介護保険の給付対象になるため、制度にもとづいた継続的な需要があります。
レンタルと販売の違い
- レンタル:定期的に訪問し、状態を確認する。関係が続く
- 販売:一度の取引で終わることが多い
レンタルでは、利用者の状態の変化に応じて用具を替えます。
長く関わる仕事になります。
3. 無資格で入れる職種
資格がなくても入口があります。
| 職種 | 業務 | 資格 |
|---|---|---|
| 営業(ケアマネジャー担当) | 事業所を訪問し、依頼を受ける | 不要から始められる |
| 福祉用具専門相談員 | 利用者に合う用具を選定する | 指定の講習が必要 |
| 配送・設置 | 用具を届け、組み立てる | 運転免許 |
| メンテナンス | 回収した用具の点検、清掃 | 不要 |
| 事務・受注 | 依頼の受付、書類の作成 | 不要 |
第二新卒が未経験から入りやすいのは、1つめと3つめです。
営業から入り、働きながら相談員の資格を取る形が一般的です。
福祉用具専門相談員という資格
指定の講習を受けることで取得できます。
実務経験や学歴の要件がないため、社会人からでも取りやすい資格です。
会社が費用を負担する制度があることが多いため、面接で確認してください。
なお、資格の要件や講習の内容は制度で定められています。詳細は各都道府県や講習の実施機関に確認してください。
会社の規模で変わること
規模によって、担当する範囲が違います。
| 規模 | 特徴 |
|---|---|
| 地域密着の会社 | 営業から搬入まで幅広く担当する |
| 中規模のチェーン | 職種が分かれている |
| 大手 | エリアが広い。品目が多い |
| メーカー直系 | 自社製品が中心 |
1つめでは、一人で完結する分だけ経験の幅が広がります。
一方、体への負担も大きくなります。どちらを取るかで、選ぶ会社が変わります。
4. 顧客との関係
一般の営業とは、相手が違います。
| 相手 | 関係 |
|---|---|
| ケアマネジャー | 依頼の入口。関係作りが中心 |
| 利用者本人 | 用具を使う人。要望を聞く |
| 家族 | 介護をする人。使いやすさが重要 |
| 病院・施設 | 退院時の連携 |
1つめとの関係が、受注の量を決めます。
ケアマネジャーは複数の福祉用具の会社と関わっており、対応の早さや丁寧さで依頼先を選びます。
求められる姿勢
- 依頼への対応が早い
- 利用者の状態に合った提案ができる
- 困ったときに連絡が取れる
1つめが最も重視されます。
退院の日程が決まっていると、用具の手配に期限があります。
5. 働き方の実際
訪問が中心の仕事です。
| 項目 | 実際 |
|---|---|
| 移動 | 社用車での訪問が中心 |
| 訪問先 | 利用者宅、ケアマネジャーの事業所、病院 |
| 体力 | 用具の搬入がある職種は使う |
| 緊急対応 | 用具の不具合で呼ばれることがある |
| 繁忙 | 退院や入所の時期に集中する |
1つめのため、運転免許はほぼ必須です。
面接で確かめること
- 「1日に何件ほど訪問しますか」
- 「担当するエリアはどのくらいの範囲ですか」
- 「用具の搬入は、営業も行いますか」
- 「緊急の対応は、当番制ですか」
3つめは、会社によって分かれます。
配送の担当が別にいる会社と、営業が兼ねる会社があります。
6. 求められる経験
未経験から入る場合の材料です。
| 経験 | どこで評価されるか |
|---|---|
| 対人の仕事 | 利用者と家族への対応 |
| 法人営業 | ケアマネジャーとの関係作り |
| 期限のある仕事 | 退院日に合わせた手配 |
| 提案の経験 | 状態に合う用具の選定 |
| 体を使う仕事 | 搬入と設置 |
1つめと3つめが最も直結します。
小売、飲食、介護、医療事務などの経験は、そのまま材料になります。
介護の経験がある場合
利用者の状態を理解できることは、大きな強みです。
現場を離れたい介護職の人にとって、経験が活きる転職先の一つです。
身体の介助を伴わない働き方に移れます。
制度の知識が必要になる
介護保険の仕組みを理解していないと、提案ができません。
- 要介護度によって、使える用具が変わる
- 給付の対象になる品目と、ならない品目がある
- 利用者の自己負担の割合
これらは入社後に学ぶ前提の会社がほとんどです。
ただし、面接の前に基本的な仕組みを調べておくと、志望動機に具体性が出ます。制度の詳細は所管の機関の情報を確認してください。
7. 求人票で確かめる7項目
読むべき箇所は決まっています。
| 項目 | 見るところ |
|---|---|
| 事業の型 | レンタル、販売、住宅改修、メーカー |
| 職種 | 営業、相談員、配送のどれか |
| 資格 | 相談員の資格が必須か、取得支援があるか |
| 免許 | 運転免許の要否 |
| エリア | 担当する範囲 |
| 訪問件数 | 1日あたりの目安 |
| 搬入の有無 | 営業が用具を運ぶか |
7つめが、体への負担を決めます。
介護ベッドの搬入は、複数人で行う作業になります。
記載がない場合
訪問件数や搬入の有無が書かれていない求人は多くあります。
面接の逆質問でまとめて聞いてください。
8. 志望動機の作り方
未経験からの応募では、3つを組み立てます。
| 要素 | 書く内容 |
|---|---|
| なぜこの領域か | 前職の経験とのつながり |
| なぜ福祉用具か | 介護の現場ではなく、用具を選ぶ理由 |
| なぜこの会社か | 扱う品目、エリア、教育の設計 |
2つめが最も差がつきます。
「人の役に立ちたい」だけだと、介護職と区別がつきません。用具という手段を通じて関わる、という点を明確にしてください。
例文の骨組み
「前職では住宅設備の営業として、施主のご要望を聞いて商品を提案していました。同じ商品でも、住む方の体格や生活の動線によって合うものが変わると実感していました。福祉用具は、利用者の状態に合わせて選ぶ点が共通していると考えています。御社はレンタルを中心に扱われており、状態の変化に合わせて長く関われる環境だと感じています。」
相手に合わせて選んだ経験と、この業界を選んだ理由がつながる形にしてください。
なお、介護保険制度に関する記述は一般的な整理です。詳細は所管の機関に確認してください。
9. よくある質問
介護の資格がなくても働けますか
働けます。営業、配送、メンテナンス、事務は資格なしで担当できます。用具の選定を行う福祉用具専門相談員は指定の講習が必要ですが、実務経験や学歴の要件がないため、働きながら取得する人が多くいます。会社が費用を負担する制度があることも多くあります。
身体の介助はありますか
福祉用具の会社では、身体の介助は通常業務に含まれません。用具を届け、設置し、使い方を説明するのが役割です。介護の現場を離れたい人にとって、経験を活かせる転職先の一つになります。ただし、用具の搬入で体を使う場面はあります。
顧客は誰になりますか
利用者本人と家族に加えて、介護支援専門員(ケアマネジャー)が重要な相手になります。依頼の多くはケアマネジャー経由で来るため、事業所への訪問と関係作りが業務の中心になることがあります。一般の消費者向け営業とは、性質が違います。
運転免許は必要ですか
ほぼ必須です。利用者宅やケアマネジャーの事業所への訪問に社用車を使うためです。取得予定であれば、その旨を書類に書き、入社日までに間に合うかを相談してください。内勤の事務職であれば、必須でない場合もあります。
体力に自信がありません
職種によります。配送や設置を担当する場合は、介護ベッドなどの搬入で体を使います。営業でも、会社によっては搬入を兼ねることがあります。面接で「用具の搬入は、営業も行いますか」と必ず確認してください。事務や内勤の職種もあります。
介護職からの転職に向いていますか
向いています。利用者の状態を理解できることは大きな強みで、どの用具が合うかの判断に直結します。身体の介助を伴わない働き方に移れるため、現場を離れたい人の選択肢になります。介護の経験は、書類でも具体的に書いてください。
需要は安定していますか
介護保険制度に支えられた需要があるため、他業界と比べて変動は小さいとされます。ただし、制度の改定や報酬の見直しの影響は受けます。安定を求める場合も、会社の事業の構成(レンタル中心か販売中心か)を確認してください。
3年後、どんな選択肢がありますか
社内で管理職に進む道、メーカーの営業へ移る道、介護施設や医療機関の相談員へ移る道があります。制度の知識と、利用者の状態に合わせた提案の経験は、介護・医療の領域で広く評価されます。担当した件数と、扱った品目を記録しておいてください。
10. まとめ:介護に関わる、現場以外の入口
今週やる3つのこと
① レンタル中心か販売中心か、見る会社の型を決める
② 相手に合わせて提案した経験を、具体的に書き出す
③ 求人票で、搬入の有無と担当エリアを確認する
福祉用具の会社は、身体の介助を伴わずに介護に関わる仕事です。
そして、資格がなくても営業や配送から入れます。働きながら相談員の資格を取る形が一般的です。
なお、介護保険制度や資格の要件は制度によって定められています。詳細は所管の機関に確認してください。
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この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。