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業界・職種研究

電力・ガス業界へ転職|第二新卒が「安定」の中身を確かめて職種を選ぶ【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月6日 読了 約15分
電力・ガス業界へ転職|第二新卒が「安定」の中身を確かめて職種を選ぶ【2026年版】

電力・ガス業界を志望する人の理由は、だいたい共通しています。

「生活に不可欠なインフラで、安定して働きたい」

この理由自体は間違っていません。実際、需要がなくなる産業ではありません。

ただし、「安定」の中身は、以前とは変わっています。

小売の自由化以降、この業界には新規参入が続き、価格の競争が起きました。大手も、以前のように顧客が自動的に維持される構造ではなくなっています。

つまり、業界としての安定性と、個社の安定性は別の話になりました。

そして、この変化は第二新卒にとって悪い話ではありません。

競争が起きたことで、営業、企画、システム、カスタマーサポートといった職種の中途採用が増えました。技術系以外の入口が広がっています。

この記事では、業態の違い、職種ごとの入口、働き方と年収の実際、他業界からの翻訳方法を整理します。

1. 結論:確認することは3つ

1. 業態を決める。大手、新電力、工事・保守で全く違います。

2. 職種を決める。技術系か、それ以外かで要件が変わります。

3. 「安定」を、業界ではなく個社で確認する。これが最も重要です。

3番目を飛ばさないでください。

新規参入した小売事業者の中には、事業の継続が難しくなった会社もあります。

「電力・ガス業界だから安定」という判断は、現在では成立しません。

確認すること見る場所
設立年と資本構成会社概要
事業の柱が複数あるか事業内容
従業員数の推移採用ページ、公開情報
親会社の有無会社概要

親会社が大手のグループ会社であれば、単独の新規事業者より安定性が高い傾向があります。

2. 業態の違い

業態内容未経験の入口
大手(旧一般電気・ガス事業者)発電・供給・小売中途枠は限定的
新電力・新規小売小売に特化営業・企画が広い
工事・保守会社設備の工事と維持技術系が広い
設備メーカー機器の製造・販売営業・技術が中〜広
エネルギー商社燃料の調達・販売営業が中

2行目と3行目が、第二新卒の現実的な入口です。

大手は新卒採用が中心で、中途の枠は職種が限られる傾向があります。ただし、グループ会社であれば枠が広い場合があります。

新電力・新規小売の実態

営業と企画の採用が中心です。

仕事の中身は、法人や個人に対して契約の切り替えを提案することです。

つまり、実態は営業職です。インフラ業界ではありますが、日々の業務は他業界の営業と大きく変わりません。

ここを理解せずに「安定した業界だから」で入ると、ずれが生じます。

工事・保守会社の実態

設備の工事と、点検・保守が中心です。

資格が評価される構造があり、経験年数と資格で年収が上がりやすい。

電気工事士などの資格は、入社後に取得を支援する会社が多い。未経験からの入口として現実的です。

3. 職種ごとの入口

職種入りやすさ求められること
法人営業広い営業経験、数字の管理
個人営業広い接客・提案の経験
工事・保守広い資格は入社後で可
設備の設計理系・実務経験
企画・料金設計数字の分析
カスタマーサポート広い対応件数、説明する力
システム・ITIT実務経験

1行目と6行目が、他業界からの転換で最も入りやすい。

法人営業では、業界知識より営業としての実績が見られます。

カスタマーサポートは、契約や料金に関する問い合わせが中心です。制度を理解して正確に説明する仕事であり、窓口業務の経験がそのまま活きます。

企画・料金設計という職種

自由化以降に生まれた職種です。

どんな料金プランを作れば選ばれるかを設計する仕事で、数字の分析が中心になります。

他業界でマーケティングや商品企画を経験した人が移るケースがあります。入口は広くありませんが、選択肢として知っておく価値があります。

4. 自由化後に何が変わったか

この業界を理解する上で、押さえておくべき変化です。

変わったこと影響
小売の自由化顧客が事業者を選べるようになった
新規参入価格とサービスの競争が起きた
発送電の分離送配電の部門が分離された
燃料価格の変動収益が外部要因に左右される

4行目が、近年の大きな要素です。

燃料価格の変動により、小売事業者の収益が大きく揺れる構造があります。

だから、面接では「安定していますね」という言い方をしないでください。

業界の変化を理解していないと判断されます。

志望動機での触れ方

「生活に不可欠なインフラである一方、自由化以降は事業者が選ばれる立場になったと理解しています。選ばれるための提案が必要になった領域で、営業として関わりたいと考えています」

「安定」を理由にせず、変化を理解していることを示してください。

これだけで、他の応募者との差が明確に出ます。

5. 働き方と年収の実際

業態によって差が大きい。

業態働き方の傾向
大手内勤中心、比較的安定
新電力営業職、他業界の営業と同様
工事・保守現場、当番や夜間対応がある場合
設備メーカー営業は外勤、技術は内勤中心

3行目に注意してください。

インフラの保守では、24時間の対応体制が必要な場合があります。

当番の頻度と、夜間・休日の対応があるかを、必ず面接で確認してください。

年収については、業態と企業規模で幅が大きく、一律には言えません。

求人票では、次の3点を確認してください。

  1. 固定残業代の有無と時間数
  2. 当番手当・資格手当の有無
  3. 賞与の実績

2行目は、この業界特有の項目です。資格手当と当番手当が、年収に与える影響が小さくありません。

6. 他業界からの翻訳

前職翻訳できる経験
法人営業契約の管理、価格の交渉、既存顧客の維持
個人営業提案、継続契約の管理
通信業界契約の切り替え、料金プランの説明
保険継続契約、制度の説明
窓口・事務制度に基づく説明、書類の処理
設備・製造点検、記録、安全管理

3行目と4行目が、特に相性が良い。

通信と保険は、電力・ガスと構造が似ています。

継続的に課金され、契約の切り替えがあり、料金プランが複数ある。顧客への説明の仕方がほぼ同じです。

「前職では通信サービスの契約を担当し、料金プランの説明と切り替えの提案を行っていました。複数のプランがある中で、お客様の使用状況に合わせて提案する進め方は、電力の小売でも同じだと考えています」

この一文は、新電力の営業職で強く効きます。

「継続する契約」を扱った経験

この業界の商材は、一度契約すると長く続きます。

だから、短期で数を取る営業より、続く契約を作る営業が評価されます。

前職で解約率や継続率を意識していた経験があれば、必ず書いてください。

7. 応募先の選び方

基準見る場所
事業の柱が複数あるか事業内容
親会社の有無会社概要
設立年会社概要
従業員数採用ページ
対象顧客法人か個人か

1行目が最も重要です。

電力の小売だけを行っている会社は、燃料価格の変動の影響を直接受けます。

ガス、通信、保守など複数の事業を持つ会社のほうが、事業の変動に対する耐性があります。

5行目にも注意してください。

個人向けの営業では、訪問や電話による営業が中心になる場合があります。働き方が大きく変わるため、対象顧客を確認してください。

8. 進め方と時間配分

時期やること
1週目業態と職種を決める
2週目応募先の事業構成と親会社を調べる
3週目前職の「継続契約」の経験を書き出す
4週目応募、面接で当番と働き方を確認

2週目を飛ばさないでください。

この業界では、会社ごとの安定性の差が大きい。

公開されている会社概要と事業内容を読むだけで、かなり判断できます。

面接で聞くこと

次の3つを聞いてください。

  1. 「事業の構成比を教えていただけますか」(何で収益を得ているか)
  2. 「当番や夜間の対応はありますか。頻度も教えてください」
  3. 「直近で新しく始めた事業があれば教えてください」

3番目の答えで、その会社が変化に対応しているかが分かります。

9. よくある質問

Q. 未経験でも電力・ガス業界に入れますか

職種を選べば、入口はあります。

営業、カスタマーサポート、工事・保守は、未経験からの採用が継続的にあります。大手の中途枠は限定的な傾向があります。

Q. 文系でも大丈夫ですか

職種によります。

営業、企画、カスタマーサポートでは問われません。設備の設計や技術系では、理系の要件がある場合があります。

Q. 本当に安定していますか

業界として需要がなくなることは考えにくい一方、個社の安定性は会社によって差があります。

自由化以降、事業の継続が難しくなった小売事業者もあります。会社単位で確認してください。

Q. 資格は必要ですか

技術系の職種では評価されますが、応募の段階では必須でない場合が多い。

電気工事士などは、入社後に取得を支援する会社が多くあります。

Q. 年収はどのくらいですか

業態と規模で幅が大きく、一律には言えません。

資格手当と当番手当が年収に与える影響が小さくないため、求人票でこれらの記載を確認してください。

Q. 転勤はありますか

会社によります。

供給エリアが限定されている会社では転勤の範囲が狭く、全国展開している会社では広くなります。求人票の勤務地の欄を確認してください。

Q. 新電力は将来性がありますか

会社によって差が大きい。

単独で小売のみを行う会社と、複数の事業を持つ会社では、変動への耐性が違います。事業構成を確認して判断してください。

Q. 通信業界の経験は活きますか

強く活きます。

継続課金、料金プラン、契約の切り替え。構造がほぼ同じです。必ず書いてください。

10. まとめ:今週やる3つのこと

1. 業態を決める。大手、新電力、工事・保守で仕事が全く違います。

2. 応募候補の事業構成と親会社を調べる。「業界が安定」ではなく「この会社が安定か」を見てください。

3. 前職から「継続する契約を扱った経験」を探す。通信、保険、サブスク型のサービスの経験は直結します。

志望動機で「安定しているから」と書かないでください。自由化後の変化を理解していることを示すほうが、はるかに評価されます。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。