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逃げの転職と言われたとき|判断の分け方【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月6日 読了 約15分
逃げの転職と言われたとき|判断の分け方【2026年版】

転職を考えていることを話すと、こう言われることがあります。「それは逃げじゃないか」

上司から言われることもあれば、親や友人から言われることもあります。そして、自分でもそう思ってしまう。

この言葉が扱いにくいのは、定義がないからです。何をもって「逃げ」なのか、言った本人も説明できないことがほとんどです。

そして、この言葉に引きずられると、判断すべきことを判断しないまま時間が過ぎます。

この記事では、逃げと前向きの境界がどこにあるのか、周囲の言葉をどう扱うか、そして面接で不利にならない説明のしかたを整理します。

1. 結論:分けるのは3つ

①その状況を変える手を打ったか。打っていないなら、環境を変えても同じことが起きる可能性があります。

②次に何をしたいかが言えるか。「今がつらいから」だけだと、次の会社も同じ理由で辞めることになります。

③辞めることが正しい状況もある。健康や安全に関わる場合、我慢する理由はありません。

「逃げかどうか」ではなく、「同じことが繰り返されるか」で判断してください。これが実務的な基準です。

2. 「逃げ」という言葉の中身

この言葉を使う人が言いたいことは、たいてい次のどれかです。

言いたいこと実際の意味
「まだ努力が足りない」もう少し続けられるのでは
「次でも同じことになる」原因が自分にある可能性
「3年は続けるべき」慣習に基づく助言
「今の環境を評価していない」良い部分も見てほしい
「自分もそうだった」経験の投影

このうち、判断材料になるのは2番目だけです。他は、その人の価値観か、慣習の話です。

「次でも同じことになるか」を、自分で検証してください。それができれば、他人の言葉に振り回されなくなります。

誰が言っているかで意味が変わる

言った人その言葉の性質
直属の上司引き止めの一環であることが多い
心配から出た言葉
同僚自分も辞めたい気持ちの反映のことがある
転職経験のある人経験に基づく助言。聞く価値がある
自分自身迷いの表れ

上司からの「逃げじゃないか」は、判断材料ではありません。引き止めの文脈で出ている言葉です。

3. 編集長の実体験:言われて3か月止まった

私が第二新卒で辞めようとしたとき、上司にこう言われました。

上司「今の状況から逃げるだけじゃないか。次の会社でも同じことが起きるぞ」

この一言で、3か月止まりました。

その間、私は同じ状況で働き続けました。何も変わりませんでした。

3か月後、前職の先輩に相談しました。

先輩「その上司の言葉、検証した?」

私「検証、ですか」

先輩「『次でも同じことが起きる』が本当かどうか。何が原因で辞めたいのか、それは次の会社にもあるのか」

私が辞めたかった理由は、担当業務が固定されていて、範囲が広がらないことでした。

先輩「それは会社の体制の話? それとも、君が広げる交渉をしていないから?」

私「……交渉は、していないです」

ここで初めて、検証すべき点が分かりました。

私は上司に、担当範囲を広げたいと相談しました。回答は明確でした。

上司「今の体制では難しい。人数が足りないから、今のポジションを動かせない」

体制の問題でした。

この時点で、転職は「逃げ」ではなくなりました。状況を変える手を打ったうえで、変わらないことが確認できたからです。

先輩「これで面接でも説明できるようになったね。『相談したが体制上むずかしいという回答だった』と言えるから」

3か月止まったことは無駄でしたが、検証したこと自体は無駄ではありませんでした。

4. 検証する3つの質問

質問判定
「その状況を変える手を打ったか」打っていないなら、まず打つ
「同じ状況は、次の会社にもあるか」あるなら、対処法を身につける必要がある
「次に何をしたいか言えるか」言えないなら、まず整理する

1番目が最も重要です。

打つべき手の例は次の通りです。

  • 担当範囲について上司に相談する
  • 異動の希望を出す
  • 人間関係の問題を、具体的な業務の話として整理する
  • 労働時間の問題を、記録を取ったうえで相談する

1回相談して断られたら、それは「手を打った」に入ります。何度も交渉する必要はありません。

打つ必要がない場合

次の状況では、手を打たずに動いて構いません。

  • 健康や安全に影響が出ている
  • 法令に反する状態が続いている
  • 相談する相手そのものが問題の原因である
  • すでに何度も相談して変わらなかった

この場合、「逃げ」という言葉は当てはまりません。離れることが適切な判断です。

5. 面接での説明

面接で「逃げ」と受け取られる説明と、そうでない説明があります。

説明どう受け取られるか
「人間関係が合わなかった」次も同じことを言う人
「残業が多かった」条件だけで選ぶ人
「評価されなかった」不満を持ちやすい人
「範囲を広げたいと相談したが、体制上むずかしいと言われた」交渉した人
「〇〇の経験を積みたいが、今の環境では機会がない」目的がある人

差は、「手を打ったか」と「次の目的があるか」の2点だけです。

同じ状況でも、次のように言い換えられます。

「人間関係が合わなかった」 ↓ 「業務の進め方について認識を合わせる場を作りたいと相談しましたが、体制上むずかしいという回答でした。次は、チームで進め方を決められる環境で働きたいと考えています」

事実は変えていません。交渉した事実と、次の希望を足しただけです。

「逃げ」だと自分で言わない

面接で「逃げだったかもしれませんが」と前置きする人がいます。これは自分から不利にする発言です。

事実を述べて、次の目的を言う。それで十分です。

なお、面接官から「逃げではないですか」と直接聞かれることは、ほとんどありません。聞かれるのは「なぜ辞めるのか」と「次に何をしたいか」です。この2つに答えられれば、逃げかどうかは議題になりません。

6. 周囲の言葉の扱い方

相手対応
上司引き止めの一部として受け止める。議論しない
心配への回答として、計画を説明する
同僚深く話さない
転職経験のある人具体的に聞く。判断材料になる

上司との議論は避けてください。「そう思われるかもしれませんが、決めています」で足ります。

親への説明は、感情ではなく計画で行ってください。

「在職中に活動して、決まってから辞めるつもりです。今の会社で〇〇について相談したけれど、体制上むずかしいという回答だった。次は〇〇の経験を積める会社を探している」

心配の内容は「無職になるのでは」「次で失敗するのでは」の2つです。この2つに答えれば、多くの場合は納得されます。

「逃げ」だと感じる理由

自分で「逃げかもしれない」と思うとき、その多くは次にやりたいことが定まっていない状態から来ています。

「今がつらい」は理由として成立しますが、それだけだと、次の会社を選ぶ基準がありません。基準がないまま選ぶと、同じ環境を選ぶ可能性があります。

だから、辞めたい理由と同じくらい、「次に何をしたいか」を書き出してください。書けたら、その時点で迷いは減ります。

7. 判断が難しいときの整理

判断できない場合、次の順で整理してください。

  1. 辞めたい理由を3つ書き出す。順位をつけます。
  2. 1番目の理由について、手を打ったか確認する。打っていなければ、まず打ちます。
  3. 手を打った結果を待つ。1〜3か月です。
  4. 変わらなければ、動く。この時点で「逃げ」ではありません。

3番目の期間を長くしすぎないでください。3か月を超えると、待つこと自体が判断の先送りになります。

「石の上にも三年」について

年数そのものに意味はありません。3年いても、範囲が広がらなければ書けることは増えません。

見るべきは年数ではなく、「この1年で何が積み上がったか」です。積み上がっていない状態が続くなら、年数を重ねる意味は小さくなります。

手を打った記録を残す

上司に相談した日付と、返ってきた回答を書き留めてください。これが、面接での説明材料になります。

「〇月に、担当範囲について上長に相談しました。人員の都合で今のポジションを動かせないという回答でした」

日付と回答があると、説明が具体的になります。「相談したけど無理でした」だけだと、印象が薄くなります。

8. 進め方と時間配分

段階時間やること
理由の書き出し30分辞めたい理由を3つ、順位をつけて
検証30分3つの質問に答える
手を打つ1回30分上司に相談する
結果を待つ1〜3か月変化を観察
判断30分変わらなければ動く

最初の1時間で、大半は整理できます。「逃げかどうか」を考えている時間より、この1時間のほうが前に進みます。

9. よくある質問

逃げの転職は不利になりますか

「逃げ」という分類が選考にあるわけではありません。不利になるのは、次に何をしたいか説明できない場合だけです。

上司に「逃げだ」と言われました

引き止めの一環であることが多くあります。議論せず、「決めています」と伝えてください。説得しようとすると、話が長引きます。

自分でも逃げだと思ってしまいます

3つの質問で検証してください。手を打ったか、次の会社にも同じ状況があるか、次に何をしたいか。答えられれば、それは逃げではありません。

手を打つ余裕がありません

健康や安全に影響が出ている場合は、手を打たずに離れて構いません。その状況で我慢することに、意味はありません。

3年は続けるべきですか

年数そのものに意味はありません。見るべきは、この1年で何が積み上がったかです。積み上がっていないなら、年数を重ねても評価は上がりません。

親に反対されています

計画を説明してください。「在職中に活動する」「決まってから辞める」の2点を伝えると、心配の大半は解消します。

面接で退職理由をどう言えばいいですか

事実と、次の目的を言ってください。「〇〇について相談したが、体制上むずかしいという回答だった。次は〇〇の経験を積みたい」という形です。

逃げだったと後から気づいたらどうしますか

次の会社で同じ状況になったときに、対処すればよいだけです。その経験自体が、対処法を身につける材料になります。

10. まとめ:今週やる3つのこと

「逃げの転職」という言葉には、定義がありません。使うべき基準は「同じことが繰り返されるか」です。

1. 辞めたい理由を3つ書き出す。順位をつけてください。1番目が、検証すべき対象です。

2. 1番目について、手を打ったか確認する。打っていなければ、まず打ってください。上司への相談1回で構いません。

3. 結果を1〜3か月見て、変わらなければ動く。この時点で「逃げ」ではありません。交渉した事実は、面接でも説明材料になります。

ただし、健康や安全に関わる場合は、手を打つ必要はありません。離れてください。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。