20代のキャリアの考え方|第二新卒が「何を積むか」で30代を決める【2026年版】
〜20代で決まるのは、到達点ではなく「何を積んだか」です〜
第二新卒で転職を考えるとき、多くの人が長期的な視点を持てずに悩みます。
「この選択が、10年後にどう効くのか分からない」
分からないのは当然です。10年後を見通せる人はいません。ただし、20代のキャリアには、比較的はっきりした構造があります。
20代で積んだ経験が、30代で選べる選択肢を決めます。年収でも役職でもなく、「何を経験したか」です。
この記事では、その構造と、選ぶときの軸を整理します。
1. 結論:選ぶときの軸は3つ
20代の選択で見るべき3つ
① 経験が積み上がるか(年数が実績に変わる職種か)
② 職種を変えるなら、早いほうがいいか(年齢の制約がある)
③ 3年後に何を語れるか(次に移るときの材料)
年収は4番目です。20代では、経験のほうが効きます。
「年収を上げること」を最優先にすると、30代で選択肢が減ることがあります。理由を後述します。
2. なぜ年収より経験なのか
2-1. 30代の年収は、20代の経験で決まる
これが構造の核心です。
30代の転職市場では、「何ができるか」で年収が決まります。そして「何ができるか」は、20代に何を経験したかで決まります。
| 20代の過ごし方 | 30代の選択肢 |
|---|---|
| 専門性が積み上がる職種で3〜5年 | その領域で選べる。年収も上がる |
| 複数の職種を1年ずつ | 一貫性の説明が要る。選択肢は狭まる |
| 年収は高いが、経験が積み上がらない仕事 | 同じ仕事しか選べなくなる |
| 未経験の職種に移り、そこで3年 | その職種の経験者として選べる |
3行目に注意してください。20代で年収が高くても、その経験が他で通用しないなら、30代で動けなくなります。
2-2. 「積み上がる」とはどういうことか
| 積み上がる経験 | 積み上がりにくい経験 |
|---|---|
| 専門知識(会計、法務、技術) | 特定の社内システムの操作 |
| 資格が実務と結びつく職種 | 資格が不要な定型作業 |
| 数字に責任を持った経験 | 指示された作業のみ |
| 顧客との折衝 | 社内だけで完結する作業 |
| 仕組みを作った経験 | 決まった手順の実行のみ |
判断基準は「他社でも通用するか」です。その会社でしか使えないスキルは、積み上がりにくくなります。
3. 20代前半と後半で変わること
| 年齢 | 立ち位置 | 選び方 |
|---|---|---|
| 22〜25歳 | 最も枠が広い。未経験の職種に移りやすい | 職種を変えるなら、この時期 |
| 26〜28歳 | ポテンシャル枠の終盤 | 職種を変えるなら早く決める |
| 29〜30歳 | 経験者採用が中心に | 経験を活かす方向に切り替える |
「未経験の職種に移る」という選択だけが、年齢で急速に難しくなります。
同じ職種での転職は、年齢の影響が小さくなります。だから、職種を変えるかどうかの判断だけは、先に済ませてください。
年齢の線引きは第二新卒はいつまで?にまとめています。
4. 「遠回り」の捉え方
第二新卒で転職する人の多くが、自分は遠回りをしていると感じています。
新卒で入った会社を数年で辞めることを、失敗だと考えている。
これは、キャリアを一直線で捉えているから生じる感覚です。
4-1. 実際には、組み合わせで価値が出る
| 経歴 | 見え方 |
|---|---|
| 「営業だけ5年」 | 営業の経験者 |
| 「営業2年 → 営業企画3年」 | 現場を知っている企画職。希少 |
| 「販売2年 → 事務3年」 | 顧客対応ができる事務 |
| 「介護2年 → 医療系SaaS営業3年」 | 現場を知っている営業。強い |
| 「製造2年 → 生産管理3年」 | 現場が分かる管理職候補 |
組み合わせが希少であるほど、市場価値は上がります。
1社目の経験は、消えるのではなく、2社目の文脈になります。
4-2. 私自身の場合
私は新卒で入った上場企業の子会社で、メディア広告の営業を2年やりました。そして25歳で、SaaS企業の営業企画に移りました。
当時は「営業として中途半端なまま辞めることになる」と思っていました。
ただ、営業企画に移ってから分かったことがあります。企画側には、現場の数字がどう作られているかを知らない人が多いということです。
上司「この施策、現場は本当に回せると思う?」
私「訪問件数が1日8件だとすると、これを追加でやるのは厳しいと思います。移動の時間があるので」
上司「それ、営業をやってた人にしか分からない感覚だよ。」
2年の営業経験は、企画職では「捨てた経験」ではなく「前提知識」でした。
遠回りに見える経歴ほど、組み合わせたときに希少になります。
5. 20代でやっておくべき3つ
職種にかかわらず、次の3つは効きます。
5-1. ①数字に責任を持つ経験
売上、コスト、時間、件数——何でも構いません。
「自分が動かした数字」を語れる人は、どの職種でも評価されます。逆に、数字を持ったことがないと、30代で管理職の候補になりにくくなります。
5-2. ②仕組みを作った経験
「言われたことをやった」ではなく「やり方を変えた」経験です。
規模は関係ありません。エクセルで自動化した、手順書を作った、発注の基準を決めた——これらは全部、30代で「改善できる人」として評価される材料になります。
5-3. ③記録に残す習慣
意外に軽視されますが、最も効きます。
- 担当した内容を、その場で記録する
- 数字(件数、金額、時間)を残す
- 変えたこと、その結果を書き留める
30代で転職するとき、20代の実績を思い出せない人が非常に多くいます。記録があるかどうかで、職務経歴書の質がまったく変わります。
いまから、月1回でいいので書き留めてください。
6. 選ぶときに避けたい3つ
| 避けたいこと | 理由 |
|---|---|
| 年収だけで選ぶ | 経験が積み上がらないと、30代で動けなくなる |
| 楽さだけで選ぶ | 30代で「できること」が増えない |
| 1年ごとに職種を変える | 一貫性の説明が難しくなる |
特に3つ目です。「合わなかったから変える」を繰り返すと、どの職種でも経験が積み上がりません。
1つの職種で最低3年——これが、次に移るときの目安になります。
転職回数が多い場合の整理は転職回数が多い第二新卒にまとめています。
7. 「やりたいこと」は後から決まる
20代でやりたいことが明確な人は、少数です。
そして、明確でなくても問題ありません。やりたいことは、やってみた後に見つかることのほうが多いからです。
| 順番 | 実際に起きること |
|---|---|
| やりたいことを決める → 動く | 決まらず、動けない |
| 動く → 向き不向きが分かる → 方向が決まる | ◎ こちらが現実的 |
「何が苦にならなかったか」から探すほうが、はるかに早く決まります。探し方は自分に合う仕事の探し方にまとめています。
8. 30代を見据えた3年の設計
次の職場で、3年後に何を語れるかを先に決めてください。
3年後に語れるようにするもの
① 担当した領域と、動かした数字
② 自分で変えたこと(仕組み・手順)とその結果
③ その職種の専門性(資格・扱える範囲)
この3つが揃っていれば、30代の転職市場で選ぶ側に回れます。
逆に、3年経っても「言われたことをやっていました」しか語れないなら、選択肢は狭まります。
9. よくある質問
年収を上げるのは間違いですか
間違いではありません。ただし20代では、優先度を4番目にしてください。30代の年収は、20代の経験で決まります。
何年で転職するのが適切ですか
1つの職種で最低3年が目安です。ただし、経験が積み上がらない環境なら、早く動くほうが合理的です。
やりたいことが分かりません
それで問題ありません。「苦にならなかったこと」から探してください。やりたいことは、やってみた後に見つかります。
遠回りしたと感じています
組み合わせで価値が出ます。1社目の経験は消えるのではなく、2社目の文脈になります。むしろ、組み合わせが希少なほど市場価値は上がります。
専門性がない職種にいます
「数字を持った経験」と「仕組みを作った経験」を作ってください。この2つは職種を問わず評価されます。
30代で未経験の職種に移れますか
難度は上がりますが、不可能ではありません。ただし20代のほうが圧倒的に有利なので、変えるなら早く決めてください。
大企業と中小企業、どちらがいいですか
「経験が積み上がるか」で判断してください。大企業は分業のため一つを深く、中小企業は幅広く経験できます。どちらが良いかは、積みたい経験によります。
記録は何を残せばいいですか
月1回、担当した内容・数字・変えたことの3つを書き留めてください。3行で構いません。転職時の職務経歴書が、まったく違うものになります。
10. まとめ
20代で決まるのは、到達点ではなく「何を積んだか」です。
今夜やる3つのこと
① いまの仕事で「他社でも通用する経験」が積み上がっているかを1行で書く
② 職種を変えるかどうかを、今週中に決める(変えるなら、年齢の影響が大きい判断です)
③ 今月担当したこと・数字・変えたことを、3行で書き留める(今日から始める記録)
③は、いますぐできて、3年後に最も効きます。20代の実績を思い出せずに困る人が、非常に多くいます。
この先、読むべき記事
- 自分に合う仕事の探し方|第二新卒が「やりたいこと」から探すのをやめる理由(職種の絞り方)
- 第二新卒はいつまで?|年齢と在籍年数の本当の線引きと求人票からの見極め方(年齢の影響)
- 第二新卒の年収|下がるのか上がるのか、職種転換のときの実態(年収の考え方)
- 強みの見つけ方|第二新卒が自分では気づけない3つの探し方(積み上がった経験の言語化)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。