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業界・職種研究

MRから転職|第二新卒が3年目までに動くべき理由と狙える職種【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月5日 読了 約18分
MRから転職|第二新卒が3年目までに動くべき理由と狙える職種【2026年版】

〜MRの転職で最大の障壁は、経験でも年齢でもなく「年収」です。そこから整理します〜

MRから転職を考えるとき、多くの人が同じ壁にぶつかります。

「年収が下がるのが分かっているから、動けない」

これは事実です。MRは20代でも比較的高い水準にあり、住宅手当や社有車といった待遇も手厚い。他業界に移ると、額面が下がるケースが大半です。

だからこそ、動くなら早いほうが有利です。年収が上がるほど、下げる決断は難しくなります。そして年齢が上がるほど、未経験の職種に移る難度も上がります。

この記事では、翻訳の型と、年収の考え方を整理します。

1. 結論:MRの転職は「翻訳」と「年収の整理」

MRから転職・5ステップ

① 担当業務を、他業界の言葉に翻訳する(情報提供→提案営業、KOL→キーパーソン)

数字を書き出す(担当施設数、シェア、処方数の変化)

③ 狙う職種を絞る(医療系SaaS/人材/法人営業/マーケ/CRA・CRC)

年収の下限を、生活費から逆算して決める

⑤ 「なぜMRを辞めるのか」に、業界批判でない答えを用意する

④を先に決めてください。下限が決まっていないと、条件で迷い続けて動けません。

2. MRの経験を翻訳する

MRの言葉他業界の言葉への翻訳
情報提供活動提案営業。専門性の高い顧客への説明
医師への面談決裁権を持つ層への直接アプローチ
KOL・キーパーソンの開拓意思決定に影響する人物の特定と関係構築
説明会・講演会の企画運営イベント企画、関係者調整
担当施設のシェア管理担当エリアの数値管理、シェア分析
副作用情報の収集・報告情報収集、正確な報告
コンプライアンス(販売情報提供活動GL)規制の厳しい環境での業務遂行
卸との連携代理店・チャネルとの折衝
学術情報の理解と説明専門的な内容を、相手に合わせて説明する力

特に「医師にアポを取って、限られた時間で伝える」経験は、他業界では希少です。決裁者に直接アプローチする営業は、どの業界でも難度が高いためです。

2-1. 数字を必ず書く

書くこと
担当施設数基幹病院◯施設、開業医◯施設
担当領域◯◯領域(循環器・糖尿病など)
シェアの変化担当品目の施設内シェア◯%→◯%
社内での順位支店◯名中◯位
説明会の実施回数年間◯回

「情報提供活動を行いました」ではなく、数字で書いてください。MRの職務経歴書は、業界内では通じても業界外では伝わりません。

3. 狙える職種

職種相性活きる経験
医療系SaaS・ヘルステックの営業/CS医療機関の実態を知っていることが直接の武器
CRA(臨床開発モニター)製薬内での職種転換。年収も維持しやすい
医療機器メーカーの営業顧客が同じ。業界知識が活きる
人材(医療・製薬特化)業界の構造を知っている
法人営業(無形商材・SaaS)提案営業の経験
マーケティング(製薬内)社内公募がある場合も
コンサル(ヘルスケア領域)業界知識+分析力が要る
一般事業会社の営業年収が下がりやすい

3-1. まず考えるべき:社内での職種転換

製薬会社内での異動は、最も年収を維持しやすい選択です。

  • CRA(臨床開発モニター)
  • マーケティング(プロダクトマネージャー)
  • 学術・メディカルアフェアーズ
  • 営業企画

社内公募制度がある企業も多くあります。会社を辞める前に、制度の有無を確認してください。

3-2. 特に狙い目:医療系SaaS・ヘルステック

MRの経験が最も高く評価される異業種です。

理由は、顧客が同じだからです。電子カルテ、予約システム、オンライン診療、医療機関向けの経営支援——これらの顧客は病院・クリニックです。

MRは、医療機関にアポを取って話を聞いてもらう方法を知っています。これは、他業界から来た営業には最も難しい部分です。

年収も、成長中のSaaS企業なら維持できる可能性があります。IT営業の志望動機カスタマーサクセスの志望動機を参照してください。

4. 年収の整理

ここを先に決めてください。

やること内容
1現在の年収を、固定給・賞与・各種手当に分解する
2住宅手当、社有車、単身赴任手当など、金銭以外の待遇を金額換算する
3生活費から、下限のラインを決める
43年後の見通しで比較する(下がっても伸びる職種か)

4-1. 手当の金額換算を忘れない

MRの待遇は、額面以外の部分が大きいのが特徴です。

  • 住宅手当・社宅(月◯万円相当)
  • 社有車(維持費・ガソリン代を含めると年間数十万円相当)
  • 単身赴任手当
  • 営業手当・日当

額面が同じでも、これらがなくなると実質は下がります。転職先の条件を見るときは、手当込みで比較してください。

4-2. 下がっても受けるべきか

受けてよい場合慎重に判断すべき場合
3年後に伸びる職種(SaaS営業、CRA)下がったまま伸びる見込みがない
減額が生活を圧迫しない減額幅が20%を超える
業界知識が活きる領域完全に未経験の領域

年収の考え方は第二新卒の年収、交渉は第二新卒の年収交渉にまとめています。

5. 「なぜMRを辞めるのか」への答え方

5-1. 避けるべき答え

答えなぜダメか
「MRの将来性が不安」業界批判。他責に聞こえる
「転勤が嫌」条件面
「数字を追うのがきつい」営業職を志望する場合は致命的
「医師に会えない」環境のせいにしている
「規制が厳しい」ルールへの姿勢を疑われる

5-2. 使える答え

医療系SaaS・ヘルステックを志望する場合

「担当施設を訪問するなかで、先生方が診療以外の事務作業に時間を取られている場面を何度も見ました。MRの立場では、自社製品の情報提供しかできません。医療機関の業務そのものを支える側に回りたいと考え、志望しています」

提案の幅を広げたい場合

「MRとして、限られた面談時間で情報を伝える難しさを経験しました。ただ、提案できるのは自社の製品情報に限られており、先生が抱えている課題に対して他の選択肢を出すことができませんでした。顧客の課題に対して、複数の選択肢から提案できる立場に移りたいと考えています」

CRA・社内転換を志望する場合

「情報を伝える立場から、その情報が生まれる段階に関わりたいと考えるようになりました。臨床試験の進行に関わることで、医療に対する貢献の仕方が変わると考えています」

共通するのは、MRを否定しないことです。変換の型は退職理由の伝え方にまとめています。

6. 落ちる書き方・答え方5つ

具体例なぜ落ちるか
業界用語のまま型「KOL開拓」「情報提供活動」だけ業界外には伝わらない
数字なし型施設数・シェア・順位を書かない実績が伝わらない
業界批判型「MRはもう将来がない」他責。次も同じと読まれる
年収未整理型下限を決めずに活動する条件で迷い続けて決まらない
手当無視型額面だけで比較する実質の減額に後から気づく

最も多いのが業界用語のまま型です。MRの職務経歴書は、業界内では完璧でも業界外では読めません。

7. 面接で必ず聞かれる3問

7-1. 「なぜMRを辞めるのですか」

5-2の型で答えてください。業界を否定しないことが前提です。

7-2. 「年収が下がりますが、大丈夫ですか」

必ず聞かれます。ここで曖昧だと、条件で辞めると判断されます。

「承知しています。現在の年収と手当を含めて計算したうえで、◯◯万円までであれば生活に支障がないと判断しています。目先の額面より、この領域で経験を積むことのほうが、3年後の市場価値につながると考えています」

「大丈夫です」だけでは弱いです。計算したうえでの判断だと示してください。

7-3. 「うちの製品を、どう売りますか」

「まだ理解が浅いので前提が違うかもしれませんが、と前置きしたうえで申し上げます。MRの経験から言えるのは、忙しい相手には『何ができるか』より『何が減るか』のほうが伝わるということです。医師の面談時間は数分しかないので、常に結論から話す訓練をしてきました。同じ考え方で、まず相手の困りごとを聞くところから始めたいと考えています」

8. 資格・スキルの扱い

項目扱い
MR認定資格製薬・医療系では有効。業界外では説明が必要
普通自動車免許営業職では必須級
TOEIC外資系製薬・CRAでは重視される
医療系の学術知識医療系SaaS・機器では直接の武器
エクセルMRは意外と使っていない。触っておく価値がある

「MR認定資格」は業界外では通じません。「医薬品の適正使用に関する知識を証明する資格」といった説明を1行添えてください。

9. よくある質問

MRから異業種に転職できますか

できます。特に医療系SaaS・医療機器・人材(医療特化)では、業界知識が直接の武器になります。

何年目に動くのがいいですか

3年目までが最も動きやすい時期です。年収が上がるほど下げる決断が難しくなり、年齢が上がるほど未経験の職種に移る難度も上がります。

年収はどのくらい下がりますか

職種によりますが、10〜25%程度下がるケースが多いのが実情です。ただし医療系SaaSやCRAでは、維持または上がる可能性もあります。手当込みで比較してください。

社内で職種を変えるほうがいいですか

検討する価値があります。CRA、マーケティング、学術への異動は、年収を維持しやすい選択です。社内公募制度の有無を確認してください。

CRAとMR、どちらがいいですか

働き方が違います。CRAは出張が多いものの、医療機関との関係の作り方はMRの経験が活きます。年収も維持しやすい傾向があります。

一般企業の営業に移れますか

移れます。ただし年収は下がりやすくなります。決裁者へのアプローチ経験は評価されるので、その部分を前面に出してください。

在籍1年で辞めても大丈夫ですか

大丈夫です。第二新卒枠では、在籍の短さより退職理由の一貫性が見られます。書き方は在籍半年・1年未満の職務経歴書を参照してください。

製薬業界の求人しか紹介されません

製薬特化のエージェントを使っている可能性があります。異業種を狙うなら、第二新卒向けの総合エージェントも併用してください。第二新卒の転職エージェントおすすめ9選を参照してください。

10. まとめ

MRの転職は、翻訳と、年収の下限を先に決めることで動けます。

今夜やる3つのこと

① 現在の年収を、固定給・賞与・手当(住宅・社有車を含む)に分解する

生活費から、受けられる下限のラインを決める。ここが決まらないと、条件で迷い続けます

③ 担当施設数・領域・シェアの変化を、数字で書き出す

②が最も重要です。「下がるから動けない」ではなく「いくらまでなら受けられるか」に問いを変えてください。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。