第二新卒のキャリアを深掘りする。
業界・職種研究

自動車ディーラーからの転職|個人営業を数字にする【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月6日 読了 約15分
自動車ディーラーからの転職|個人営業を数字にする【2026年版】

自動車ディーラーの営業として2年。店頭での接客、試乗の対応、見積もりの作成、納車、そして車検や点検の案内。

やっていることは多いのに、職務経歴書には「新車販売の営業を担当」としか書けない。

これは、業務を分解していないことが原因です。

ディーラー営業の仕事は、個人向けの高額商品の販売と、その後の継続的な関係の維持という2つの要素でできています。どちらも、他業界でそのまま評価される経験です。

この記事では、書ける数字、業界用語の置き換え、狙える職種、そして労働条件についての説明のしかたを整理します。

1. 結論:武器は3つ

①高額商品を個人に売った経験。数百万円の商品を、個人の判断で買ってもらう営業は、無形商材の営業より説明の難易度が高い領域です。

②継続的な関係の維持。点検、車検、次の買い替え。数年単位で顧客と関係を続ける経験は、顧客維持の仕事に直結します。

③来店対応と追客の両方。待つ営業と、追いかける営業の両方をやっています。これは、法人営業でも個人営業でも使えます。

この3つは、車という言葉を使わずに説明できます。

2. 業務を分解する

業務実際にやっていること
来店対応希望と条件のヒアリング
商品の説明選択肢の提示と比較
見積もりの作成条件の組み合わせと金額の提示
契約手続きと、必要書類の確認
納車引き渡しと、使い方の説明
点検・車検の案内定期的な接触と、再提案
買い替えの提案タイミングを見た再販

言い換えると、次のようになります。

  • 来店対応 → 顧客のヒアリング
  • 見積もりの作成 → 提案書の作成
  • 点検・車検の案内 → 既存顧客へのフォロー
  • 買い替えの提案 → リピートの獲得

職務経歴書では、後者の言葉で書いてください。

3. 編集長の実体験:台数以外を書いた

私の知人に、自動車ディーラーの営業から法人営業に転職した人がいます。仮にKさんとします。

Kさんの最初の職務経歴書は、次の内容でした。

「新車販売の営業として、月〇台の販売を担当」

5社出して、書類が通ったのは1社でした。

私が聞きました。

私「台数以外に、何を担当していましたか」

Kさん「既存のお客様の点検や車検の案内もやっていました」

私「何件くらいですか」

Kさん「担当が約250件です」

私「そのうち、車検で来店される率は」

Kさん「7割くらいですね。連絡の仕方を工夫したので」

私「どう工夫したんですか」

Kさん「電話だけだと出てもらえないので、はがきを出してから電話する形にしました」

この工夫が、書類に一言も書かれていませんでした。

書き直した内容は、こうです。

「個人のお客様約250名を担当し、新規の販売と、既存のお客様へのフォローを担当。

車検・点検の入庫率が課題だったため、案内の方法を郵送と電話の組み合わせに変更。担当エリアの入庫率を7割まで引き上げました。

新規の販売では、月〇件の成約を継続。ご来店の対応から、条件の組み立て、契約、引き渡しまでを一貫して担当しています」

次の4社で、3社の書類が通りました。

面接では、入庫率の話を必ず聞かれたそうです。

面接官「入庫率を上げるために、案内の方法を変えたということですね」

Kさん「はい。電話だけだと出ていただけないので、先にはがきを送って、その後に電話する形にしました」

面接官「その方法は、他の方も使うようになりましたか」

Kさん「店舗全体でやるようになりました」

台数より、この工夫のほうが評価されていました。

この分解ができると、応募できる職種が広がります。「車を売っていた人」ではなく「個人向けの提案営業と、顧客のフォローをしていた人」として読まれます。

4. 書ける数字

数字
担当していた顧客数「個人のお客様約250名を担当」
月の成約件数「月〇件の成約」
来店から成約までの率「来店対応のうち〇%が成約」
再来店・入庫の率「車検の入庫率7割」
買い替えの件数「担当顧客からの買い替え年〇件」
単価の規模「1件あたり〇〇万円規模の商品」
店舗の人数「営業〇名体制」

台数だけを書かないでください。台数は業界の中での指標であり、他業界の読み手にはピンときません。

「担当顧客数」と「継続率」のほうが、他業界では伝わります。

単価を書く意味

「1件あたり数百万円規模の商品を、個人のお客様に販売」と書いてください。

これは、他業界の営業から見ると分かりやすい指標です。高額商品を個人に売る営業は、法人向けより意思決定の説明が難しい領域だと理解されています。

また、下取りの査定を担当していた場合は、それも書けます。「買い取りの査定と、金額の提示を担当」という形で、価格の判断をしていた経験として扱えます。

5. 狙いやすい職種

職種使える経験入りやすさ
法人営業提案、条件の組み立て、契約入りやすい
個人向け営業(他業界)高額商品の販売経験入りやすい
カスタマーサクセス継続的なフォロー、再提案入りやすい
店舗管理・エリア管理店舗運営の経験があれば経験次第
営業事務・業務推進見積もり、書類、手続き入りやすい
メーカーの営業業界知識相性がよい

最も相性がよいのは、法人営業と個人向け営業です。

高額商品の販売経験は、住宅、保険、通信、設備といった領域で評価されます。いずれも、個人が大きな金額の判断をする商材です。

業界内で職種を変える選択

ディーラーの中で、店長、サービス、本部の企画に移る道もあります。業界の知識をそのまま使えるため、難易度は下がります。

何を変えたいのかを先に決めてください。労働時間や休日を変えたいのか、仕事の中身を変えたいのかで、方向が変わります。

なお、担当していたブランドや車種は、書いても書かなくても構いません。他業界の読み手には情報になりませんが、自動車関連の企業に応募する場合は書いてください。

6. 業界用語を置き換える

業界の言葉書き換えの例
台数成約件数
入庫再来店/サービスの利用
下取り買い取りの査定
代替買い替え
追客継続的なフォロー
ユーザー担当顧客
展示会販促イベント

「入庫」「代替」「追客」は、業界外では通じません。

ただし、自動車関連の企業やメーカーに応募する場合は、そのまま使って構いません。応募先によって書き分けてください。

面接で聞かれる3問

  • 「1件の商談は、どのくらいの期間かかりますか」
  • 「成約に至らなかったお客様には、どう対応していましたか」
  • 「既存のお客様との関係を、どう続けていましたか」

2問目が最も評価される質問です。断られた後の対応を答えられると、追客の力が伝わります。

「その場で決まらない場合は、検討の材料が足りていないことが多いので、比較の表を作ってお送りしていました。その後、1か月に1回の頻度で連絡を続けて、半年後に成約したケースもあります。」

期間と頻度を入れると、具体的になります。

7. 労働条件についての説明

ディーラーの営業は、土日が出勤で、平日が休みという勤務形態が一般的です。

転職の理由として、この点を挙げたくなりますが、伝え方に注意してください。

伝え方どう受け取られるか
「土日が休めないので」条件だけで選ぶ人
「残業が多くて」環境のせいにする人
「個人のノルマがきつくて」数字から逃げる人
「法人向けの提案に関わりたい」やりたいことがある人
「継続的な関係の構築に時間を使いたい」目的がある人

条件面が理由であっても、面接では「やりたいこと」に変換してください。

「個人のお客様への販売を2年やってきて、継続的な関係を作る部分に手応えを感じました。次は、法人のお客様に対して、より長い期間で関わる営業をしたいと考えています。」

嘘ではありません。事実のうち、前向きな部分を選んで話しているだけです。

展示会やイベントの経験も書ける

店舗のイベントや展示会を担当した経験があれば、それも書いてください。集客の企画と実行の経験として扱えます。

「店舗の販促イベントの企画と運営を担当。案内の送付先の選定から、当日の来場者対応までを行い、〇件の来場につなげました」

販促や企画職を狙う場合、この経験が入口になります。

8. 進め方と時間配分

段階時間やること
数字の棚卸し60分顧客数、成約件数、継続率
用語の置き換え30分業界用語を一般語に変換
工夫の整理45分自分で変えたことを2つ
職務経歴書3時間数字入りで作成
求人の選定90分法人営業と個人向け営業を中心に

「工夫の整理」を飛ばさないでください。台数より、自分で変えたことのほうが評価されます。

数字が思い出せない場合は、1か月だけ記録を取ってください。担当顧客数、月の成約件数、再来店の件数。1か月分あれば書けます。

9. よくある質問

ディーラー営業の経験は評価されますか

高額商品を個人に販売した経験として評価されます。評価されないのは、台数だけを書いて中身が伝わらない場合です。

台数を書かないほうがいいですか

書いても構いませんが、それだけにしないでください。担当顧客数、継続率、単価の規模のほうが、他業界では伝わります。

土日休みの仕事に移れますか

移れます。ただし、面接では「土日が休めないから」を理由にしないでください。やりたいことの話に変えてください。

ノルマがきつかったことを話していいですか

避けてください。「数字から逃げる人」と受け取られます。数字を追ってきた経験は、むしろ強みとして書けます。

メーカーに移れますか

業界知識が使えるため、相性は良い領域です。ただし、求人は限られます。営業職としての実績を数字で書いてください。

整備や事務の経験でも転職できますか

できます。整備なら技術と手順の遵守、事務なら書類と手続きの正確さとして書いてください。この記事の営業以外の職種にも、同じ考え方が使えます。

何年目で動くのがよいですか

2〜3年目です。1年未満だと、担当顧客数と継続の実績が積み上がりません。

資格は必要ですか

営業職への転職では、運転免許以外は必須ではありません。数字と工夫を書けるようにするほうが優先度が高くなります。

10. まとめ:今週やる3つのこと

自動車ディーラーの営業経験は、台数以外を書けば、他業界でそのまま通用します。

1. 数字を4つ数える。担当顧客数、月の成約件数、再来店や継続の率、1件あたりの単価。台数だけにしないでください。

2. 業界用語を全部消す。入庫、代替、追客、台数。これらを「再来店」「買い替え」「継続的なフォロー」「成約件数」に置き換えてください。

3. 自分で変えたことを2つ書き出す。案内の方法、来店後の連絡の順番、資料の作り方。小さいことで構いません。面接で最も聞かれる部分です。

持っているのは「車を売る力」ではなく、高額商品を個人に売り、その関係を数年続ける力です。

この先、読むべき記事

この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。